神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ

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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第1部 《漆黒の少女》

22話 お見舞いとわたし

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「嬢ちゃん!大丈夫か!」

「はい。少し魔力を使い過ぎただけです。それより、ゴブリンの村に向かいましょう。まだ助けられる人がいるかも知れません」

 わたしはアルザックさんのバスターソードをアイテムボックスにしまい、ギルドマスターにゴブリンの村に行くよう提案します。

「そうだな。アリー、この場は任せる。ティナは俺たちと来い。他の者は怪我人を守れ」

 手早く指示をだしたギルドマスター、ティナさんとわたしはゴブリンの村へと駆けて行きます。


 ガナの街に帰還して2日が経ちました。流石にわたしも丸1日動けませんでした。
 身体強化の重ね掛けは身体の負担が大きいのです。
 あの後、ゴブリンの村で《導きの焔》は2人、亡くなっていました。アルザックさんを含め3人が重傷ながら生き残ったのはやはりベテラン故のものでしょうか?それとも亡くなった方が仲間を庇ったのでしょうか?3人は瀕死の重傷でしたがわたしのポーションとティナさんの治癒魔法で一命を取り留めました。
 現在は治療院に入院しています。《青き翼》は残念ながら全滅していました。
 その他にも何人か死者が出ています。しかし、その数は、この規模の戦闘では奇跡的な少なさらしいです。
 仕方ないですね。冒険者は自己責任です。
 動ける様になったわたしは治療院へ向かいます。
 アルザックさん達のお見舞いです。

「こんにちは。お加減はどうですか?」

「おぉ。嬢ちゃん達のお陰で命を拾ったからな。もうだいぶ良くなったぞ」

「今回ばかりは本当に死んだと思ったな。生き残ったのはユウちゃんとティナちゃん、そして、ロブとデールのおかげさ」
スイさんが感謝の言葉を掛けてくれました。ロブさんはとデールさんは亡くなった《導きの焔》のメンバーです。

「ええ、それにしてもユウちゃんの薬は凄かったわね。自作だって聞いたけど本当?」

「本当ですよ。わたしは薬師ですから」

「その年であれだけ効果の高いポーションが作れるなんてすごいわね」

リーシアさんもロブさんとデールさんが亡くなって悲しく無い筈が無いのですが、明るく接してくれます。

「そうだ。これを返しに来たのでした」

 わたしはバスターソードを取り出し、アルザックさんに差し出します。
 アルザックさんはバスターソードを少し寂しそうに見つめた後、首を振ります。

「良かったらそいつは嬢ちゃんが貰ってやってくれ」

「しかし……」

「良いんだ。おっさんの部屋に飾られるより嬢ちゃんに使って貰う方が剣も幸せってもんだ。俺達はもう冒険者は引退する。田舎に帰って門番にでもなるさ」

 アルザックさんはゴブリンロードとの戦いで右腕を失っていました。
 わたしのポーションでも失った腕は生やせません。

「ユウちゃんが気にすることじゃ無いよ。もともと誰かが死んだら引退すると決めていたんだ。それからこれも貰って欲しい。俺たちからの感謝の印だ」

スイさんはマジックバックからカンテラを取り出しました。

「これは俺たちが初めてパーティを組んだ時、迷宮都市ダイダロスのダンジョンで手に入れたマジックアイテム《導きの焔》だ」

「え!そんな大切なもの頂けませんよ」

「ユウちゃん。道具は使ってこそ意味が有るのよ。私たちの象徴であるこのアイテムがユウちゃんの力になれば嬉しいわ」

「皆さん………」

「使い方は簡単だ地面に置いて魔力を込めてみな」

わたしは言われた通り導きの焔を地面に置いて魔力を込めます。するとカンテラを中心に魔法陣が現れ、地面に吸い込まれる様に消えました。

「次に少し離れて、手に持ったまま魔力を込めな」

 魔法陣が吸い込まれた場所から少しはなれ、魔力を込めます。するとカンテラに炎がともります。
 炎は鳥の様な形になると魔法陣が吸い込まれた場所を指しました。

「これは………マーキングした場所を指すマジックアイテムですか?」

わたしは《導きの焔》を鑑定します。

〈導きの焔〉

遺物級アンティーク

天海の大迷宮で発見されたマジックアイテム

効果
魔方陣を仕掛けた場所を指す炎を灯す

遺物級アンティークのアイテムのようです。

「そうだ。ダンジョンのような場所では役に立つ筈だ。嬢ちゃんの冒険に役立ててくれ」

「ありがとうございます。大切にします」

わたしは3人にお礼を言って治療院をあとにしました。

次はギルドです。
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