14 / 418
神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第1部 《漆黒の少女》
13話 報告とわたし
しおりを挟む
「助けて頂ぎありがとうございます」
そう言ってわたしに頭を下げるのは、Fランクパーティ《大樹の絆》の3人です。
剣士のカイ、槍使いのマルク、魔法使いのレナと言うお手本のようなバランスの良いパーティです。
「たまたま近くに居ただけだから気にしないで良いよ。君たちはあのゴブリンを討伐しに来たの?」
「いえ、僕たちはまだFランクなので街の近くで薬草を採取してたんです」
「そろそろ切り上げ様としてた時にゴブリンに見つかってしまって」
「1匹、2匹なら兎も角、5匹もいたんじゃ私達では、とても勝てないから全力で逃げたんです」
なるほど、剣士に槍使いと聞きはした物の彼等は剣も槍も持っていません。
恐らく少しでも身軽になる為に棄てたのでしょう。
その判断が正しいかは分かりませんが、今回に限っては正解だった様です。
「ユウさんはなぜ森に居たのですか?」
「わたしも依頼ですよ。薬草採取の指名依頼です」
「薬草採取の指名依頼!?」
「ええ。こう言う薬草やキノコを採取して居ました」
わたしが採取した薬草やキノコの一部を見せると3人は驚きの声を上げました。
「えぇ!この薬草、採取方法が特殊で扱いが難しいものじゃないですか!」
「ん?このキノコは毒キノコじゃないのか?」
「いや。たしか、あの毒キノコには良く似た薬効が高いキノコが有ったはずだ」
「わたしは薬師ですからね。それでこの依頼を持ち掛けられたんですよ」
「く、薬師…あの強さで……」
「まじかよ……」
おぉ、このままでは若者たちの自信を打ち砕いてしまいます。
話を逸らさなくては。
「まぁ、それより街に戻りましょう。
早くしないと完全に暗くなってしまいます」
既に日は沈み辺りは薄暗くなっています。
しかしここでひとつの問題が有ります。彼等3人の内前衛2人の武器が有りません。
さらにわたしのショートソードもなんだか違和感を感じるのです。
このまま使い続けるのは危険でしょう。
そうなると戦力はわたしとレナの魔法のみになっしまいます。
ここは『ひのきのぼう』で行くしかないかと思っていた所、わたしはある事を思い出しました。
わたしにはこの世界に来た時に盗賊から奪った武器が有ったのです。
ばっちいので、さっさと売る積りだったのですがすっかり忘れていました。
何にせよラッキーです。
わたしは剣と槍を取り出すとカイとマルクにわたします。
「街に帰るまで丸腰は不味いですよ。これを使って下さい」
カイとマルクはお礼を言って受け取ります。
そして、わたしは盗賊の頭が使っていた戦斧を取り出すと2、3回振り回してみます。
「なかなか悪くないですね」
戦斧を背中に背負っているとカイたちが苦笑いしていました。
一体どうしたのでしょうか?
その後、わたしは数匹のゴブリンを戦斧で叩き切りながら《大樹の絆》の3人と共にギルドへと帰って来ました。3人はずっと苦笑いでした。解せぬ。
ギルドに入ると丁度ラティさんと筋肉……ギルドマスターが何やら話しています。
わたし達がラティさんの前までいくとこちらに気づきました。
「おぉ、嬢ちゃん。帰ったか」
「はい。今戻りました。これが今回の納品分です」
わたしはカバンから薬草やキノコ、木ノ実などを取り出します。
「助かるぜ。これだけ有れば暫くは大丈夫だ」
「ところで森で彼らがゴブリンに襲われたのですが……」
「なに!お前らはたしか、Fランクの《大樹の絆》だな、怪我はないか?」
「はい。危ない所をユウさんに助けて頂いて……」
「そうか。嬢ちゃんありがとな。しかしこんな近くの森までゴブリンが出るとはなぁ」
「帰りにも何匹か出ましたし、かなりの数がいるのではないでしょうか?」
「こりゃぁしっかりと調査する必要があるな。
ラティ、俺は調査隊を編成するから嬢ちゃんの依頼完了の手続きを頼む」
「は、はい」
どうも大ごとになってきましたね。
「あの……なんでユウさんは戦斧を背負っているですか?」
そう言ってわたしに頭を下げるのは、Fランクパーティ《大樹の絆》の3人です。
剣士のカイ、槍使いのマルク、魔法使いのレナと言うお手本のようなバランスの良いパーティです。
「たまたま近くに居ただけだから気にしないで良いよ。君たちはあのゴブリンを討伐しに来たの?」
「いえ、僕たちはまだFランクなので街の近くで薬草を採取してたんです」
「そろそろ切り上げ様としてた時にゴブリンに見つかってしまって」
「1匹、2匹なら兎も角、5匹もいたんじゃ私達では、とても勝てないから全力で逃げたんです」
なるほど、剣士に槍使いと聞きはした物の彼等は剣も槍も持っていません。
恐らく少しでも身軽になる為に棄てたのでしょう。
その判断が正しいかは分かりませんが、今回に限っては正解だった様です。
「ユウさんはなぜ森に居たのですか?」
「わたしも依頼ですよ。薬草採取の指名依頼です」
「薬草採取の指名依頼!?」
「ええ。こう言う薬草やキノコを採取して居ました」
わたしが採取した薬草やキノコの一部を見せると3人は驚きの声を上げました。
「えぇ!この薬草、採取方法が特殊で扱いが難しいものじゃないですか!」
「ん?このキノコは毒キノコじゃないのか?」
「いや。たしか、あの毒キノコには良く似た薬効が高いキノコが有ったはずだ」
「わたしは薬師ですからね。それでこの依頼を持ち掛けられたんですよ」
「く、薬師…あの強さで……」
「まじかよ……」
おぉ、このままでは若者たちの自信を打ち砕いてしまいます。
話を逸らさなくては。
「まぁ、それより街に戻りましょう。
早くしないと完全に暗くなってしまいます」
既に日は沈み辺りは薄暗くなっています。
しかしここでひとつの問題が有ります。彼等3人の内前衛2人の武器が有りません。
さらにわたしのショートソードもなんだか違和感を感じるのです。
このまま使い続けるのは危険でしょう。
そうなると戦力はわたしとレナの魔法のみになっしまいます。
ここは『ひのきのぼう』で行くしかないかと思っていた所、わたしはある事を思い出しました。
わたしにはこの世界に来た時に盗賊から奪った武器が有ったのです。
ばっちいので、さっさと売る積りだったのですがすっかり忘れていました。
何にせよラッキーです。
わたしは剣と槍を取り出すとカイとマルクにわたします。
「街に帰るまで丸腰は不味いですよ。これを使って下さい」
カイとマルクはお礼を言って受け取ります。
そして、わたしは盗賊の頭が使っていた戦斧を取り出すと2、3回振り回してみます。
「なかなか悪くないですね」
戦斧を背中に背負っているとカイたちが苦笑いしていました。
一体どうしたのでしょうか?
その後、わたしは数匹のゴブリンを戦斧で叩き切りながら《大樹の絆》の3人と共にギルドへと帰って来ました。3人はずっと苦笑いでした。解せぬ。
ギルドに入ると丁度ラティさんと筋肉……ギルドマスターが何やら話しています。
わたし達がラティさんの前までいくとこちらに気づきました。
「おぉ、嬢ちゃん。帰ったか」
「はい。今戻りました。これが今回の納品分です」
わたしはカバンから薬草やキノコ、木ノ実などを取り出します。
「助かるぜ。これだけ有れば暫くは大丈夫だ」
「ところで森で彼らがゴブリンに襲われたのですが……」
「なに!お前らはたしか、Fランクの《大樹の絆》だな、怪我はないか?」
「はい。危ない所をユウさんに助けて頂いて……」
「そうか。嬢ちゃんありがとな。しかしこんな近くの森までゴブリンが出るとはなぁ」
「帰りにも何匹か出ましたし、かなりの数がいるのではないでしょうか?」
「こりゃぁしっかりと調査する必要があるな。
ラティ、俺は調査隊を編成するから嬢ちゃんの依頼完了の手続きを頼む」
「は、はい」
どうも大ごとになってきましたね。
「あの……なんでユウさんは戦斧を背負っているですか?」
6
お気に入りに追加
2,354
あなたにおすすめの小説
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
神々の間では異世界転移がブームらしいです。《サイドストーリー》
はぐれメタボ
ファンタジー
《番外編》
神々の間では異世界転移がブームらしいです。の番外編です。
《マーリンさんの学業奮闘記》
大賢者イナミの弟子、マーリンは師匠の命令でミルミット王国の学院に入学する事になった。
マーリンは、そこで出会った友人達と事件に巻き込まれて行く。
《迷宮都市の盾使い》
ミルミット王国最大の迷宮都市ダイダロスで迷宮に挑む冒険者達と全身鎧を身に付けた謎の冒険者の物語り。
《炎の継承者》
田舎に暮らす少年、カートは憧れの父親の背中を追って成長して行く。
《盃を満たすは神の酒》
エルフのジンとドワーフのバッカスは2人組の冒険者である。
彼等は神が醸造したと言われる伝説の酒を探して旅を続けていた。
そんな彼等が居た帝国の街に、とてつもない数の魔物が迫っていた。
《1人と1振り》
冒険者のヴァインはある日、奇抜な冒険者アークと出会う。
やがて共に旅をする様になった2人はミルミット王国のある街でとある依頼を受ける事になった。
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~
ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。
異世界転生しちゃいました。
そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど
チート無いみたいだけど?
おばあちゃんよく分かんないわぁ。
頭は老人 体は子供
乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。
当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。
訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。
おばあちゃん奮闘記です。
果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか?
[第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。
第二章 学園編 始まりました。
いよいよゲームスタートです!
[1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。
話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。
おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので)
初投稿です
不慣れですが宜しくお願いします。
最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。
申し訳ございません。
少しづつ修正して纏めていこうと思います。
完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-
ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。
断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。
彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。
通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。
お惣菜お安いですよ?いかがです?
物語はまったり、のんびりと進みます。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる