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もう少しだけブームは続きそうです。

9話 冒険者が2人

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「優香……」

「はい?」

「あっ、いや、その……」

  たまたまフラリと立ち寄ったミルミット王国の森の中、ゴブリンに襲われていた人を助けたのですが、なんだか様子がおかしいですね?
  ユウカ……ですか……
  黒髪、黒い瞳、浅い顔立ち……

「あなた……もしかしてニホンジンですか?」

「え⁉︎」

  あ、やっぱり。
  
「君は日本人を知っているのか?」

「ええ、わたしのお母さんはニホンジンですよ」

「え⁉︎」

「今、ユウカって言っていましたけど、もしかしてクスノキ ユウカの事ですか?」

「知っているのか⁉︎」

「わたしのお母さんです」

「おかっ⁉︎」

  あ、固まってしまいました。
  如何しましょうか?

  これがわたしと彼、コースケとの出会いでした。





「グゴォォオ!!!」

「退避!退避!」

「防衛ラインまで退がれ!」

  慌ただしく動き回る騎士達に指示を出しながら目の前の化け物を睨む。

「隊長!第2から第6分隊、防衛ラインまで撤退完了しました!」

「よし、第1分隊!
  可能な限り攻撃を加えて撤退!
  魔法使いは魔力を使い切っていい、全力で攻撃しろ!
  目標、名前持ちの魔物ネームドモンスター、『ガルガシア』!
  詠唱開始!」

  隊長の指揮により、魔法使い達は一斉に詠唱を始める。
  時間を稼いでいる間に防衛ラインを構築する事に成功した。
  後は防衛ラインを死守して援軍が到着するまでなんとか持ち堪えなければならない。
  指定A+を付けらたベヒーモス『ガルガシア』の進行を防ぐ為に街にいた騎士を全員引き連れて来たのだ。
  近くの街の騎士団や冒険者ギルドにも援軍を要請している。

「放て!」

  魔法使い達の渾身の魔法が放たれる。
  流石に倒す事は出来ないが怯ませる事くらいは出来るだろう。
  かなりの魔力を使ってフラつく魔法使い達を庇いながら防衛ラインまで走る。
  
「はぁ、はあ、はぁ、第1分隊の魔法使いは魔力回復ポーションを使用して休息を取れ。
  シモンズ、負傷者を退げて部隊を再編成しろ!
  カミナル、援軍は如何なっている?」

「はっ!先程、冒険者ギルドから鳥が着きました。
  現在、ギルドが連絡を取れるなかで最も高ランクの冒険者がこちらに向かっています!」

  報告を受けた隊長は、素早く指示を出してガルガシアを待ち受ける。
  そして、ガルガシアは直ぐに現れる。
 
「クソ、もう来やがったのか⁉︎」

「グゴォ、ガァア⁉︎」

  防衛ラインに迫るガルガシアだったが、突如高速で飛来した3本の槍と2本の剣が突き刺さる。

「な、何だ⁉︎」

「何とか間に合った様ですね」

  その声が聞こえたのは頭上から、隊長が咄嗟に上を見上げると、そこには蝙蝠の様な羽を持った巨大な蛇が存在していた。
  しかし、その巨大な影は隊長が見ている前で搔き消える。
  代わりに隊長の前に2つの影が降り立った。

「き、君達は⁉︎」

「援軍ですよ、冒険者ギルドからの」

「さっさと終わらせよう、急いで出て来たから昼飯まだ食って無いし」


「え、援軍は君達だけなのか?」

  2人しかいない援軍にシモンズが問いかけるが、少女は何でも無い事の様に返す。

「はい、直ぐに終わりますから皆さんは休んでいて下さい」

「な、何を……」

「シモンズ、大丈夫だ。
  彼らに任せよう」

「隊長⁉︎」

  シモンズはそんな事を言う隊長に驚愕する。

「あの2人なら大丈夫だ」

  シモンズは隊長の言葉に視線を2人に移す。

「契約により顕現せよ  紅蓮の僕よ  幻獣召喚『火蜥蜴サラマンダー』」

「げ、幻獣召喚魔法⁉︎」

  非常に使い手の少ない魔法に驚愕するシモンズに隊長は言う。

「彼は最近、名を挙げている幻獣使い、『幻魔』の二つ名で呼ばれるコースケと言う男だ」

  サラマンダーが生み出した業火がガルガシアの足を止める。

「はぁぁああ!!!」

  周囲に現れた召喚魔法の魔方陣から次々と召喚される剣や槍、ナイフ、斧。
  少女はそれを片っ端からガルガシアへと投げつけて行く。
  その威力はまるで攻城用の迫撃砲の様だった。
  更に少女は怯んだガルガシアの周囲を回り、大剣で、鞭で、ハルバードで、グレイブで、他にもシモンズが見たことも無い武器でガルガシアを攻撃して行く。
  
「彼女はユリ殿だ。
  星の数程の武器を使いこなす事から『星空』と呼ばれている。
  2人共トップクラスの冒険者だ、この場は任せても大丈夫だろう」

  隊長の言葉通り、その後数分でガルガシアは討伐されたのだった。
  
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