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もう少しだけブームは続きそうです。
8話 ブーム、襲来
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すみません、間違えて《サイドストーリー》の方に公開していました。
:;(∩´﹏`∩);:
===========================
龍轟院流暗殺術……それが生まれてから17年、俺が叩き込まれて来た『業』だ。
平和を謳歌する現代では一切必要無い技術ではあるが、代々の慣わしで本家の長男である俺はこれを受け継いだのである。
「すみません、遅くなりました」
俺はもたれ掛かっていた壁から背を離し、こちらに小走りで駆けてくる少女を迎える。
彼女、足花 栞は大人しげで綺麗と言うより可愛いと表現するべき少女だ。
俺は栞と連れだって校門を出る。
「あ、帰りにスーパーに寄っても良いですか?
お醤油を買わないと……」
トテトテと歩きながら嬉しそうに買い物の予定を諳んじる栞に相槌を返す。
俺と栞の関係は一言では説明し辛い所がある。
遠縁の親類であり、幼馴染であり、恋人であり、両親が決めた婚約者……許嫁なのだ。
更に俺達の両親4人が17回目の新婚旅行に行ってしまった為、現在は2人で暮らしている。
勿論、周囲には秘密だ。
おっと、まだ自己紹介をしていなかったな。
俺の名前は龍轟院 天馬、何処にでも居る普通の高校生だ!
その声が聞こえて来たのは、買い物を終えた天馬と栞が近道をしようと葬儀場の隣の公園を通り抜けようとした時だった。
「キャーーー、坂道でストッパーを掛けていない赤ちゃんが乗ったベビーカーが車道に!」
「大変だ!
居眠り運転のトラックが猛スピードでベビーカーに向かって突っ込んで来るぞ!」
もの凄く説明的な悲鳴が聞こえて来たのだ。
天馬と栞が慌てて周囲を見回すと手すりの先、5メートル程の崖下の道路に赤ちゃんが乗ったベビーカーが有った。
「不味い!」
「天馬さん!」
天馬は咄嗟に手すりを飛び越えて崖を駆け下りる。
まさか暗殺術の修行が役に立つ日が来るとは思わなかった。
ベビーカーに駆け寄った天馬は渾身の力でベビーカーを歩道に押し出した。
しかし、天馬自身が逃げるには時間が足りなかった。
ドガッ!
トラックは壁に突っ込んで停車した。
ベビーカーに乗った赤ちゃんの泣き声が周囲に響く。
俺はトラックのすぐそばで尻餅をついていた。
「天馬さん!」
栞が涙を浮かべながら駆け寄って来た。
「無事ですか⁉︎怪我とかは⁉︎」
「あ、ああ、大丈夫……」
唖然としていた天馬だったが、トラックの前方から周囲に広がる赤黒い水溜りを目にして、あの時自分を突き飛ばした喪服姿の青年が実在していたのだと認識するのだった。
孝介は走っていた。
背後から迫る醜悪な異形から全力で逃げていた。
どうしてこんな事になったのか。
孝介には幼馴染が居た。
小柄で可愛く、とても優しいが何処か冷徹な一面を持つ女の子だった。
彼女は昔から喧嘩が強く、孝介はよく泣かされていた。
そんな彼女の両親が事故で亡くなってしまった。
孝介もお世話になった人達だ。
両親を亡くした幼馴染はショックで引きこもってしまった。
そんな彼女に孝介は毎日会いに行った。
少しでも気が紛れればと思い、自分の好きなファンタジー小説を貸したりもした。
その甲斐あってかどうかは分からないが、彼女は立ち直る事が出来た。
高校を卒業し、同じ大学に進学した。
その間、ずっと友達以上恋人未満な状況が続いていたが、その関係も終わりにしようと、この想いを伝えようと決めた矢先の事だった。
彼女が死んだのだ。
就寝中の心臓発作だった。
それから数日、現実間の無い時間が過ぎた。
そして、彼女の葬儀の帰り、俺は高校生を庇ってトラックに轢かれて死んだのだ。
ところが!
ところが、だ!
なんと、死後何処までも続く白い部屋で神を名乗るよく分からない奴に出会った。
そこからはテンプレ、チートを貰って異世界転移の流れだ。
そして、到着した異世界を彷徨っていると、この魔物、多分ゴブリンに見つかり絶賛襲われているところなのだ。
「ギョギョギョぶれっ!」
ん?
あの、キモい笑い声が消えた。
背後を振り返ると、黒髪の少女が手にした真っ白い斧によってゴブリンは両断されていた。
「はぁ、はぁ、はぁ」
「大丈夫ですか?」
「うん、ありが……と……う」
息を整えてお礼を言おうとしたが、少女の顔を見て固まってしまった。
幼馴染の彼女とそっくりなのだ。
いや、細かな違いはある。
彼女と違い、助けてくれた少女の肌は薄いキャラメル色だし、よく見れば額には、小さな角まで生えている。
だが、その顔はまるで彼女の……優香の生き写しの様だった。
:;(∩´﹏`∩);:
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龍轟院流暗殺術……それが生まれてから17年、俺が叩き込まれて来た『業』だ。
平和を謳歌する現代では一切必要無い技術ではあるが、代々の慣わしで本家の長男である俺はこれを受け継いだのである。
「すみません、遅くなりました」
俺はもたれ掛かっていた壁から背を離し、こちらに小走りで駆けてくる少女を迎える。
彼女、足花 栞は大人しげで綺麗と言うより可愛いと表現するべき少女だ。
俺は栞と連れだって校門を出る。
「あ、帰りにスーパーに寄っても良いですか?
お醤油を買わないと……」
トテトテと歩きながら嬉しそうに買い物の予定を諳んじる栞に相槌を返す。
俺と栞の関係は一言では説明し辛い所がある。
遠縁の親類であり、幼馴染であり、恋人であり、両親が決めた婚約者……許嫁なのだ。
更に俺達の両親4人が17回目の新婚旅行に行ってしまった為、現在は2人で暮らしている。
勿論、周囲には秘密だ。
おっと、まだ自己紹介をしていなかったな。
俺の名前は龍轟院 天馬、何処にでも居る普通の高校生だ!
その声が聞こえて来たのは、買い物を終えた天馬と栞が近道をしようと葬儀場の隣の公園を通り抜けようとした時だった。
「キャーーー、坂道でストッパーを掛けていない赤ちゃんが乗ったベビーカーが車道に!」
「大変だ!
居眠り運転のトラックが猛スピードでベビーカーに向かって突っ込んで来るぞ!」
もの凄く説明的な悲鳴が聞こえて来たのだ。
天馬と栞が慌てて周囲を見回すと手すりの先、5メートル程の崖下の道路に赤ちゃんが乗ったベビーカーが有った。
「不味い!」
「天馬さん!」
天馬は咄嗟に手すりを飛び越えて崖を駆け下りる。
まさか暗殺術の修行が役に立つ日が来るとは思わなかった。
ベビーカーに駆け寄った天馬は渾身の力でベビーカーを歩道に押し出した。
しかし、天馬自身が逃げるには時間が足りなかった。
ドガッ!
トラックは壁に突っ込んで停車した。
ベビーカーに乗った赤ちゃんの泣き声が周囲に響く。
俺はトラックのすぐそばで尻餅をついていた。
「天馬さん!」
栞が涙を浮かべながら駆け寄って来た。
「無事ですか⁉︎怪我とかは⁉︎」
「あ、ああ、大丈夫……」
唖然としていた天馬だったが、トラックの前方から周囲に広がる赤黒い水溜りを目にして、あの時自分を突き飛ばした喪服姿の青年が実在していたのだと認識するのだった。
孝介は走っていた。
背後から迫る醜悪な異形から全力で逃げていた。
どうしてこんな事になったのか。
孝介には幼馴染が居た。
小柄で可愛く、とても優しいが何処か冷徹な一面を持つ女の子だった。
彼女は昔から喧嘩が強く、孝介はよく泣かされていた。
そんな彼女の両親が事故で亡くなってしまった。
孝介もお世話になった人達だ。
両親を亡くした幼馴染はショックで引きこもってしまった。
そんな彼女に孝介は毎日会いに行った。
少しでも気が紛れればと思い、自分の好きなファンタジー小説を貸したりもした。
その甲斐あってかどうかは分からないが、彼女は立ち直る事が出来た。
高校を卒業し、同じ大学に進学した。
その間、ずっと友達以上恋人未満な状況が続いていたが、その関係も終わりにしようと、この想いを伝えようと決めた矢先の事だった。
彼女が死んだのだ。
就寝中の心臓発作だった。
それから数日、現実間の無い時間が過ぎた。
そして、彼女の葬儀の帰り、俺は高校生を庇ってトラックに轢かれて死んだのだ。
ところが!
ところが、だ!
なんと、死後何処までも続く白い部屋で神を名乗るよく分からない奴に出会った。
そこからはテンプレ、チートを貰って異世界転移の流れだ。
そして、到着した異世界を彷徨っていると、この魔物、多分ゴブリンに見つかり絶賛襲われているところなのだ。
「ギョギョギョぶれっ!」
ん?
あの、キモい笑い声が消えた。
背後を振り返ると、黒髪の少女が手にした真っ白い斧によってゴブリンは両断されていた。
「はぁ、はぁ、はぁ」
「大丈夫ですか?」
「うん、ありが……と……う」
息を整えてお礼を言おうとしたが、少女の顔を見て固まってしまった。
幼馴染の彼女とそっくりなのだ。
いや、細かな違いはある。
彼女と違い、助けてくれた少女の肌は薄いキャラメル色だし、よく見れば額には、小さな角まで生えている。
だが、その顔はまるで彼女の……優香の生き写しの様だった。
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