神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ

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もう少しだけブームは続きそうです。

2話 ガールズトーク

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  グリント帝国の帝都に入ったわたしは目的のお店に向かいって歩いています。
  何度か行ったことは有るので大丈夫だと思うのですが……
  大通りを外れ、裏通りに入り少し歩くと見覚えのある建物が見えて来ました。
  開店中と書かれた札が下げられたドアを押し開きお店に入ります。
  
  チリン

  ドアを開けるとベルの音が響き、わたしの来店を伝えました。
  店の中は様々な薬草や蛇や蜘蛛の干物、ガラス瓶に納められたポーションなどが所狭しと並べられていました。

「いらっしゃいませ」

  ベルの音を聞いてカウンターに居た少女が反射的に歓迎の言葉を告げますが、私の顔をみると、少し驚いた顔をして、カウンターから出て来ました。

「わぁ、久しぶり、もう着いたのね」

「はい、つい先程着いたばかりです」

「今、師匠を呼ぶから待ってて!」

  このお店、『雷鳥の翼』で薬師見習いをしているアルルは駆け足で店の奥へと向かいました。
  彼女は私と同い年くらいに見えますが、実はもっと年上らしいです。
  アルルに連れられて現れた店主は、わたしより頭2つ程背の高い20代後半の女性で、調合用のエプロンを付けています。

「お久し振りです、リリ姉さん」

「久しぶりねユリ、随分大きく……なって無いわね……」

「何を言いますか!
  これからですよ、これから!
  ぐんぐん伸びてすぐにナイスなバディになります」

「……無理だと思うわよ。
  あなた、お母さんにそっくりだから」

  ぐふっ!
  確かにわたしとお母さんの身長は同じぐらいです。
  顔立ちも似ています。
  その後、わたしは久しぶりに再会したリリ姉さん、アルルと薬草茶を飲みながら談笑を始めました。

「ユリはアカデミーに入学するのよね?
  なら今年で14かぁ。
  早いなぁ」

「リリ姉さんも早く結婚しないと行き遅れるってお母さんが言ってましたよ?」

「……まさか師匠がサクッと結婚して子供産んで、その子供がもう14歳で、私に結婚しろと言ってくるなんて……信じれないわ」

「誰か良い人は居ないのですか?」

「良い人ねぇ……」

「クフフ、それが実は居るんだよね」

「ちょっと、アルル!」

「おお、本当ですか?」

  口を塞ごうとする頬を染めたリリ姉さんの手を躱してニヨニヨと笑みを浮かべたアルルが教えてくれました。

「ククイさんって言う帝国の騎士様で~(中略)訓練の時にお弁当を~(中略)この前も師匠に花束を~(中略)」

「ほうほう」

「そ、そろそろ勘弁して……」

 わたし達のガールズトークは、リリ姉さんがギブアップするまで続きました。





【おまけ:人物紹介】

○リリ
  ポーション屋《雷鳥の翼》の店主、グリント帝国宮廷薬師相談役。
  最近、お弁当を作っては騎士団の訓練に治療師として参加しているらしい。


○アルル
  ポーション屋《雷鳥の翼》の看板娘。
  リリの弟子であり、見習い薬師。
  明るい性格で、近所の老人に人気がある。
  子供たちの間では、彼女は口から火を噴くと噂である。


○ククイ
  グリント帝国の騎士。
  戦場で命を救ってくれた少女に一目惚れした。
  『彼女に相応しい男になる』と宣言し、鍛錬を積み功績を挙げて騎士になった。
  訓練の度に手作り弁当を差し入れされ、同僚の騎士達の嫉妬を買っている。
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