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神々の間では異世界転移がブームらしいです。第4部《新たなる神話》
29話 俺と勇者
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激しい剣戟の音が響く。
時折、マーリンの魔法が邪神の動きを阻害する。
ブォッ!
「ぐっ!」
邪神が槍を大きく振り、周囲を薙ぎ払う。
俺とマーリンも一旦邪神から距離を離す。
「がぁ!」
しかし、邪神はたった一足で俺の懐に飛び込んで来た。
「シールド!」
パリン
「がっは!」
邪神の蹴りはマーリンの防御魔法を砕いて俺に吹き飛ばす。
幸い防御魔法で威力が削がれていた為、大きなダメージは無い。
数メートル先ではマーリンが邪神の攻撃を必死に凌いでいる。
「アビスチェーン」
マーリンの周囲に魔方陣が現れ、黒い鎖が邪神を巻き取ろうとするが、振るわれる剣にすぐさま断ち切られる。
「 ⁉︎ 」
「はは!」
邪神が剣を振り上げる。
不味い、間に合わない!
邪神の剣は、マーリンを両断する様に脳天を目掛けて落とされる。
「マーリン!」
しかし、邪神の剣はマーリンをそれ、すく側の地面を砕いた。
「マーリン、無事か!」
「ええ、大丈夫よ」
「…………運のいい女だ」
邪神は苛立ちながら言う。
だが、マーリンはそれに反論する。
「偶然なんかじゃ無いわ。
あれはあんたが外してくれたのよ」
「………………」
「どう言う事だ?」
「あいつの中には2つの魂があるわ。
1つは邪神の魂、もう1つは勇者ヒロシの魂。
そして、魔力とは魂から生まれる物。
魔力を削って行けば邪神の魂の力が低下する。
そうなれば勇者ヒロシの魂が体の中での主導権をてにする事が出来るはずよ」
「……………………正解だよ、君の言う通りだ」
邪神が口を開く。
しかし、さっきまでとは口調が違う。
「あなたは…………勇者様……」
「ああ、君も勇者だろ?
悪いな、俺達が邪神を倒し切れなかったせいで君達には迷惑をかける。
今は弱った邪神の魂を抑えているが長くは持たない。
身体の自由も完全に奪い取る事が出来ない。
頼む、君達の力で邪神を…………
ちっ、余計な真似を」
どうやら魂の主導権が邪神へと戻った様だ。
しかし、このまま魔力を削れれば邪神の魂を消滅させられるかも知れない。
「マーリン……」
「ええ、やるわよ!」
「はっ!」
俺は速度を重視しし、鋭く剣を突き出す。
更に挟み込む様にマーリンが魔法を打ち込む。
そのまま更に数撃、マーリンと連携して攻撃を放つ。
邪神はそれを躱そうとするが、勇者ヒロシが邪魔をしているのか攻撃はことごとく邪神に当たる。
「アビスチェーン」
「くっ!」
咄嗟に拘束魔法を避けようとする邪神だったが、不意に邪神の動きが止まりマーリンの魔法で拘束される。
「勇者様は影からずっとフォローしてくれていたのよ。
その証拠に私たちの仲間は誰もまだしんでないわ」
俺は素早く視線を巡らせる。
仲間達は確かに生きている。
直ぐに動く事は難しいかも知れないが、みな意識はある。
ユウさんから貰ったポーションの効果で回復していたのだろう。
「後は邪神の魂にダメージを与え、勇者ヒロシの魂を活性化すればいい。
エリオ、私たちの精霊の力をあなたに託すわ」
マーリンが、ソフィアが、ジンがバッカスが、ランスが俺に手を翳す。
そして、俺の身体に今まで感じたことの無い力が流れ込んで来た。
「これが……」
「そう、それが全ての精霊の力、真の勇者のちからだよ」
邪神を抑えた勇者ヒロシが告げる。
俺は剣を掲げるとそこに俺とみんなの精霊の力を剣に流し込む。
6色の光を宿した剣を振りかぶる。
「迷わす振り下ろすんだ!
………やめろ!!!」
「はぁぁあ!!」
邪神は剣の光の中へと消えて行く。
「がぁぁぁぁあ!!!!」
光が治るとそこには倒れている勇者の身体があるだけだった。
俺はちらりとマーリンみる。
すると……
「大丈夫、勇者ヒロシの魂だけが残っているわ」
「邪神の魂はどうなったんだ?」
「もう、この世界に邪神の魂に火を受け入れられる器なんて無いでしょう。
私たちの勝利よ!」
俺とマーリンは勇者ヒロシを安全な位置まで運ぶと、まだ動けない仲間達を助けに向かうのだった。
時折、マーリンの魔法が邪神の動きを阻害する。
ブォッ!
「ぐっ!」
邪神が槍を大きく振り、周囲を薙ぎ払う。
俺とマーリンも一旦邪神から距離を離す。
「がぁ!」
しかし、邪神はたった一足で俺の懐に飛び込んで来た。
「シールド!」
パリン
「がっは!」
邪神の蹴りはマーリンの防御魔法を砕いて俺に吹き飛ばす。
幸い防御魔法で威力が削がれていた為、大きなダメージは無い。
数メートル先ではマーリンが邪神の攻撃を必死に凌いでいる。
「アビスチェーン」
マーリンの周囲に魔方陣が現れ、黒い鎖が邪神を巻き取ろうとするが、振るわれる剣にすぐさま断ち切られる。
「 ⁉︎ 」
「はは!」
邪神が剣を振り上げる。
不味い、間に合わない!
邪神の剣は、マーリンを両断する様に脳天を目掛けて落とされる。
「マーリン!」
しかし、邪神の剣はマーリンをそれ、すく側の地面を砕いた。
「マーリン、無事か!」
「ええ、大丈夫よ」
「…………運のいい女だ」
邪神は苛立ちながら言う。
だが、マーリンはそれに反論する。
「偶然なんかじゃ無いわ。
あれはあんたが外してくれたのよ」
「………………」
「どう言う事だ?」
「あいつの中には2つの魂があるわ。
1つは邪神の魂、もう1つは勇者ヒロシの魂。
そして、魔力とは魂から生まれる物。
魔力を削って行けば邪神の魂の力が低下する。
そうなれば勇者ヒロシの魂が体の中での主導権をてにする事が出来るはずよ」
「……………………正解だよ、君の言う通りだ」
邪神が口を開く。
しかし、さっきまでとは口調が違う。
「あなたは…………勇者様……」
「ああ、君も勇者だろ?
悪いな、俺達が邪神を倒し切れなかったせいで君達には迷惑をかける。
今は弱った邪神の魂を抑えているが長くは持たない。
身体の自由も完全に奪い取る事が出来ない。
頼む、君達の力で邪神を…………
ちっ、余計な真似を」
どうやら魂の主導権が邪神へと戻った様だ。
しかし、このまま魔力を削れれば邪神の魂を消滅させられるかも知れない。
「マーリン……」
「ええ、やるわよ!」
「はっ!」
俺は速度を重視しし、鋭く剣を突き出す。
更に挟み込む様にマーリンが魔法を打ち込む。
そのまま更に数撃、マーリンと連携して攻撃を放つ。
邪神はそれを躱そうとするが、勇者ヒロシが邪魔をしているのか攻撃はことごとく邪神に当たる。
「アビスチェーン」
「くっ!」
咄嗟に拘束魔法を避けようとする邪神だったが、不意に邪神の動きが止まりマーリンの魔法で拘束される。
「勇者様は影からずっとフォローしてくれていたのよ。
その証拠に私たちの仲間は誰もまだしんでないわ」
俺は素早く視線を巡らせる。
仲間達は確かに生きている。
直ぐに動く事は難しいかも知れないが、みな意識はある。
ユウさんから貰ったポーションの効果で回復していたのだろう。
「後は邪神の魂にダメージを与え、勇者ヒロシの魂を活性化すればいい。
エリオ、私たちの精霊の力をあなたに託すわ」
マーリンが、ソフィアが、ジンがバッカスが、ランスが俺に手を翳す。
そして、俺の身体に今まで感じたことの無い力が流れ込んで来た。
「これが……」
「そう、それが全ての精霊の力、真の勇者のちからだよ」
邪神を抑えた勇者ヒロシが告げる。
俺は剣を掲げるとそこに俺とみんなの精霊の力を剣に流し込む。
6色の光を宿した剣を振りかぶる。
「迷わす振り下ろすんだ!
………やめろ!!!」
「はぁぁあ!!」
邪神は剣の光の中へと消えて行く。
「がぁぁぁぁあ!!!!」
光が治るとそこには倒れている勇者の身体があるだけだった。
俺はちらりとマーリンみる。
すると……
「大丈夫、勇者ヒロシの魂だけが残っているわ」
「邪神の魂はどうなったんだ?」
「もう、この世界に邪神の魂に火を受け入れられる器なんて無いでしょう。
私たちの勝利よ!」
俺とマーリンは勇者ヒロシを安全な位置まで運ぶと、まだ動けない仲間達を助けに向かうのだった。
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