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神々の間では異世界転移がブームらしいです。第4部《新たなる神話》
22話 俺と邪眼の男
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「舐めてんじゃねぇぞ、クソガキ共ぉ!!!」
怒りの咆哮を上げながら砂煙の中からコルダールが飛び出して来た。
俺は腹の底から湧き上がる怒りと興奮を理性で押さえ込む。
キリナを助けるには冷静になる事が重要だ。
大精霊の試練をこなし【精霊術】を会得した俺達だったが、それでも単独で魔王に勝つ事は難しいだろう。
コルダールを倒すには仲間との連携が必須なのだ。
「オラぁ!!」
コルダールは1番近くに居た俺にナイフを突き出す。
「ふっ!」
ナイフを持つ手を下から打ち上げ、ボディを狙い拳を出す。
しかし、コルダールはギリギリの所で拳が当たる前に後ろに跳ぶ。
ヒュ
俺を追い越す様に矢がコルダールを追う。
ギンッ!
コルダールが矢を斬り払うと、ソフィアとバッカスが左右から剣と戦鎚を振り上げる。
「『苦痛の邪眼』」
「きゃっ!」
「うぅ!」
「ソフィア、バッカス!」
コルダールの邪眼を受けてソフィアとバッカスの動きが止まる。
「マテリアルシールド」
コルダールがソフィアとバッカスにナイフを振るが、マーリンの障壁に阻まれ傷を付けることは出来ない。
そして、エリオが光の精霊術を使いソフィアとバッカスに掛けられていた邪眼を解除する。
精霊術とは精霊の力を自在に操る術だ。
精霊と友誼を結ぶ事で、精霊に頼み魔法を使って貰う精霊魔法と似ている様に思うが、実態はかなり違う。
精霊術とは自身と精霊を同化させて、一時的に精霊化することで、人の身でありながら精霊の力を自在に操る術だ。
「ふっ!」
クルスが投擲した短剣がコルダールに迫るがコルダールが睨み付けると弾かれてしまう。
多分だが『衝撃の邪眼』だろう。
「空歩!」
なんと、コルダールは空中を走り天井付近まで登って行った。
「逃すかい!」
そこに戦鎚を構えたバッカスの周囲の地面が突然隆起しバッカスを天井まで押し上げる。
「なに⁉︎」
「どっせい!」
バッカスの戦鎚がコルダールを捉え撃ち落とす。
「ソフィア!」
俺が声を掛けるとソフィアは頷きを返し、盾を構えた。
ガンッ!
俺が盾を蹴ると同時にソフィアが水の精霊術で盾を押し上げる。
その勢いで地上に向かって落ちるコルダールに正面から拳を叩き込む。
「がぁ!!」
骨の折れる感覚があり、コルダールの吐き出した血が宙を舞う。
動きのキレやパワーなども以前よりかなり落ちている。
以前、コルダールと戦い死んだと聞くエリオ達の仲間、カートと言う冒険者が命と引き替えに与えた傷に依るものだろう。
そのまま空中でコルダールと位置を入れ替えると足を振り上げる。
更に精霊術により、俺の足が炎に包まれる。
精霊化しているお陰で俺は熱を感じないが、常人なら炭も残らず消し去る程の高温を帯びた足をコルダールに叩きつけた。
「紅蓮の刻印」
肩を消し炭にしながら地面に落ちるコルダールをエリオとマーリンが待ち受ける。
「コルダール……カートの仇だ」
「今ここで、死になさい!」
エリオの手には光の剣、マーリンの杖には闇が纏ってある。
「裁きの光」
「深淵からの呼び声」
既に抵抗するだけの力を失っているコルダールは、光と闇に蹂躙される。
そして、後に残っとはズタボロになったコルダールの姿だった。
「う……ぐぅ……ク……ソガキ……がぁ……」
「アレを食らってまだ意識があるのか、腐っても魔王だな」
エリオがコルダールのしぶとさに少し感心する。
「エリオ」
「分かってる」
俺が声をかけるとエリオは場所を開けてくれる。
俺は倒れているコルダールの襟元を掴み上げ吊り上げる。
「ぐっ、お前…………そうか……あの村の……」
「ああ…………そろそろ死んで貰う」
俺は自らの身体ごと炎で包み込む。
コルダールの最後の矜持なのだろう悲鳴などは上げることなくニヤリと笑いながら燃え尽きて行った。
炎を消し、静寂が戻った部屋の中で少しだけ残っていた煤が風で散らされていった。
「キリナ…………コレで……」
怒りの咆哮を上げながら砂煙の中からコルダールが飛び出して来た。
俺は腹の底から湧き上がる怒りと興奮を理性で押さえ込む。
キリナを助けるには冷静になる事が重要だ。
大精霊の試練をこなし【精霊術】を会得した俺達だったが、それでも単独で魔王に勝つ事は難しいだろう。
コルダールを倒すには仲間との連携が必須なのだ。
「オラぁ!!」
コルダールは1番近くに居た俺にナイフを突き出す。
「ふっ!」
ナイフを持つ手を下から打ち上げ、ボディを狙い拳を出す。
しかし、コルダールはギリギリの所で拳が当たる前に後ろに跳ぶ。
ヒュ
俺を追い越す様に矢がコルダールを追う。
ギンッ!
コルダールが矢を斬り払うと、ソフィアとバッカスが左右から剣と戦鎚を振り上げる。
「『苦痛の邪眼』」
「きゃっ!」
「うぅ!」
「ソフィア、バッカス!」
コルダールの邪眼を受けてソフィアとバッカスの動きが止まる。
「マテリアルシールド」
コルダールがソフィアとバッカスにナイフを振るが、マーリンの障壁に阻まれ傷を付けることは出来ない。
そして、エリオが光の精霊術を使いソフィアとバッカスに掛けられていた邪眼を解除する。
精霊術とは精霊の力を自在に操る術だ。
精霊と友誼を結ぶ事で、精霊に頼み魔法を使って貰う精霊魔法と似ている様に思うが、実態はかなり違う。
精霊術とは自身と精霊を同化させて、一時的に精霊化することで、人の身でありながら精霊の力を自在に操る術だ。
「ふっ!」
クルスが投擲した短剣がコルダールに迫るがコルダールが睨み付けると弾かれてしまう。
多分だが『衝撃の邪眼』だろう。
「空歩!」
なんと、コルダールは空中を走り天井付近まで登って行った。
「逃すかい!」
そこに戦鎚を構えたバッカスの周囲の地面が突然隆起しバッカスを天井まで押し上げる。
「なに⁉︎」
「どっせい!」
バッカスの戦鎚がコルダールを捉え撃ち落とす。
「ソフィア!」
俺が声を掛けるとソフィアは頷きを返し、盾を構えた。
ガンッ!
俺が盾を蹴ると同時にソフィアが水の精霊術で盾を押し上げる。
その勢いで地上に向かって落ちるコルダールに正面から拳を叩き込む。
「がぁ!!」
骨の折れる感覚があり、コルダールの吐き出した血が宙を舞う。
動きのキレやパワーなども以前よりかなり落ちている。
以前、コルダールと戦い死んだと聞くエリオ達の仲間、カートと言う冒険者が命と引き替えに与えた傷に依るものだろう。
そのまま空中でコルダールと位置を入れ替えると足を振り上げる。
更に精霊術により、俺の足が炎に包まれる。
精霊化しているお陰で俺は熱を感じないが、常人なら炭も残らず消し去る程の高温を帯びた足をコルダールに叩きつけた。
「紅蓮の刻印」
肩を消し炭にしながら地面に落ちるコルダールをエリオとマーリンが待ち受ける。
「コルダール……カートの仇だ」
「今ここで、死になさい!」
エリオの手には光の剣、マーリンの杖には闇が纏ってある。
「裁きの光」
「深淵からの呼び声」
既に抵抗するだけの力を失っているコルダールは、光と闇に蹂躙される。
そして、後に残っとはズタボロになったコルダールの姿だった。
「う……ぐぅ……ク……ソガキ……がぁ……」
「アレを食らってまだ意識があるのか、腐っても魔王だな」
エリオがコルダールのしぶとさに少し感心する。
「エリオ」
「分かってる」
俺が声をかけるとエリオは場所を開けてくれる。
俺は倒れているコルダールの襟元を掴み上げ吊り上げる。
「ぐっ、お前…………そうか……あの村の……」
「ああ…………そろそろ死んで貰う」
俺は自らの身体ごと炎で包み込む。
コルダールの最後の矜持なのだろう悲鳴などは上げることなくニヤリと笑いながら燃え尽きて行った。
炎を消し、静寂が戻った部屋の中で少しだけ残っていた煤が風で散らされていった。
「キリナ…………コレで……」
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