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神々の間では異世界転移がブームらしいです。第4部《新たなる神話》

19話 俺とマンティコア

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  地面を蹴って俺とヤナギの爺さんが飛び出す。

「プロテクション」

  そこにジャギとかいうファンキーな格好の冒険者が防御力上昇の魔法を掛ける。
  ジャギはスラム街のチンピラの様な格好をしているが治癒と補助魔法を得意としているらしい。
  全く似合わないが、ユウの推薦らしいから実力は確かだろう。

「水槍」

「獅子戸流  虚」

「キシャァァア!!!」

  俺とヤナギの爺さんの攻撃はマンティコアの強靭な毛皮に弾かれて傷をつける事も出来なかった。
  マンティコアの横腹には赤い筋がある。
  既に塞がりかけているが、先ほどユウが戦斧で付けた傷だ。
  以前、手にしていた戦斧は魔王の襲撃で砕かれてしまった。
  ドワーフの職人に新しい戦斧を作ってもらったと聞いていたが、とんでもない逸品だ。
  チラリと見ただけだが、恐ろしいさと同時に不思議な感動を覚えた。
  この戦いが終わったら是非俺も槍を作って貰いたいものだ。
  そんな、すげぇ戦斧で付けられた傷だが、既に治り掛けていると言う事実が、マンティコアの回復力を物語っている。

「グル、ブフゥ~!!」

  マンティコアが物凄い勢いで煙を吹き出した。

「なんだ⁉︎」

「吸うな、ポイズンブレスだ!」
  
  戸惑う俺の耳にジャギの声が届く。
  
「獅子戸流  斬気」

  ヤナギの爺さんが刀とか言う変わった剣を振ると、どう言う訳か気体であるはずの煙がひと塊りになって斬り裂かれる。

「今だ、退がれ小僧」

「お、おう!」

  ヤナギの爺さんが作ってくれた隙を逃さず、ジャギのいる場所まで退がる。
  
「あのポイズンブレスは厄介だな」

「うむ……お主は何か策はないか?」

「取り敢えずこのまま通路で戦うのは不味い、中庭に戻るべきだな。
  雨の中なら煙状のポイズンブレスの被害は減るはずだ」

「よし、戻るぞ!」

  俺達はマンティコアを誘導しながら雨が降り続く中庭へと戻った。

「水よ」

  俺は得意な水属性魔法で周囲の水を集め、弾丸に変えて撃ち出す。  
  毛皮に弾かれてしまうが衝撃だけは伝わっている…………と願いたい。
  
「はっ!」

  俺の水弾に紛れて接近したジャギが棍を振り下ろす。

「グルゥ!」

  しかし、マンティコアはジャギの棍を己の蠍の尻尾で止める。
  ジャギの棍もかなりの業物だと思うが、マンティコアの尻尾には傷を付けるまでにはいたっていない。

「まだだ!」

「グル!」

  ジャギが棍に魔力を注ぐ。
  すると棍の重量が増えたのか、マンティコアの足に力が入る。

「今だ!」

「おう!」

  俺とヤナギの爺さんはこの隙を逃すまいと武器を振り上げてマンティコアに迫るのだった。
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