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神々の間では異世界転移がブームらしいです。第4部《新たなる神話》
15話 俺と我輩
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俺は目の前の怪しげな2人と対峙する。
既に多くの人間共を通してしまった。
さっさとこの2人を始末して後を追わなくてはならない。
「悪いが手加減はできんぞ」
「それは残念である。
可能な限り手加減して貰えれば我輩が貴殿を殺すのも簡単で有ったのに……」
「ぬかせ」
「はっはっは、ああ、それとやはりこう言う事は形式も大事なのである」
「形式だと?」
奴は俺の言葉には答えず、ただこちらを指差すだけだった。
奴が指差していたのは俺の腰の辺り、チラリと視線を遣るとそこには小さな紙切れが鎧の隙間に引っかかっていた。
そっと手に取り確認する。
『今宵、貴殿の命を頂戴する 怪人108面相』
「………………なんだコレは?」
「予告状である」
「予告状だと?」
「怪盗の美学と言うヤツだよ」
「理解できんな……さて、そろそろお前達を殺してさっきの奴の後を追うか」
「出来ると思うのかね?」
「はっ!」
パウロは我輩のレイピアを巧みに捌いているのである。
「法と秩序を司る者よ 我が剣に力を 正義の剣」
我輩の攻撃に集中していたパウロにキャッツ・愛が強力な攻撃を加えた。
しかし、それをもギリギリのところで避けられてしまったのである。
我輩とキャッツ・愛、そしてパウロはお互いに小さな傷を作りながらも決めてが無く膠着状態となっている。
たった1人で我輩とキャッツ・愛の2人と互角に戦うとは……1対1だと危険であったな。
お嬢さんが言うには奴は準魔王と言っても良い強者らしいが、確かにそれだけの実力は持っているな。
だが、我々にとって強さなどなんの意味も無いという事を教えてやろうでは無いか!
「食らうのである!」
目の前に迫るレイピアを軽く首を動かし躱す。
軽く頬を掠めたが、その程度だ。
「くそ!」
奇妙な格好をした男は今までよりも早い斬撃を繰り出した。
しかし、俺が先程の突きを避けた事に動揺したのか、スピードは上がっているが制度が落ちている。
「甘いぞ!」
「ぐぁぁあ!」
俺はすれ違いざまに男を切り裂く。
「主様!」
周囲で隙を伺っていた奇妙な格好の女が声を上げる。
「仲間をやられ動揺するとは、まだまだ二流だな」
「 ⁉︎ 」
戦技を使い高速で女の背後を取る。
「はっ!」
「きゃぁぁあ!」
俺は倒れ臥す2人を見ながら剣を振り、血を飛ばすと鞘に収めた。
「ん?」
なんだ……この……違和感は……
俺は自身の感に従い再び剣を抜き構えた。
すると……
「おや、もう気が付いたのかね?」
「な⁉︎」
目の前にはどこから持ってきたのか小さなテーブルを置き椅子に腰掛けた男が女が煎れた紅茶を口にしていた。
奴らの身体には俺との戦いで付いた傷も無い。
それどころか、俺自身の身体の傷も無くなっている。
「馬鹿な、幻術だと⁉︎
あの感覚や痛みまでも幻覚だというのか⁉︎
一体いつから……」
「ん?
決まっておるだろう、初めからさ」
男は事も投げにそう答えた。
あり得ない!
この俺が数瞬ならまだしも長時間幻術を掛けられて気が付かない筈が……
ザシュ!
突然の浮遊感、自身の視点が山なりに空を飛んでいる。
そして俺は、首の無い傷だらけ自身の身体と剣を振り抜いた傷だらけの男の姿、その側に居る傷だらけの女の姿を目にした時、自身が『幻術が解けて今までの戦闘が幻だった』と言う幻術を掛けられていた事を理解した。
俺は薄れゆく意識の中既に言葉を紡ぐ事の出来ない口で男に尋ねた。
宙を舞うパウロの首。
その口が動いた。
我輩はその唇を読む。
(こ れ は げ ん じ つ か?)
我輩はレイピアを鞘に落としながらその問いに答えた。
「当然である」
我輩とキャッツ・愛は番人が居なくなった部屋から先へと進んだのである。
既に多くの人間共を通してしまった。
さっさとこの2人を始末して後を追わなくてはならない。
「悪いが手加減はできんぞ」
「それは残念である。
可能な限り手加減して貰えれば我輩が貴殿を殺すのも簡単で有ったのに……」
「ぬかせ」
「はっはっは、ああ、それとやはりこう言う事は形式も大事なのである」
「形式だと?」
奴は俺の言葉には答えず、ただこちらを指差すだけだった。
奴が指差していたのは俺の腰の辺り、チラリと視線を遣るとそこには小さな紙切れが鎧の隙間に引っかかっていた。
そっと手に取り確認する。
『今宵、貴殿の命を頂戴する 怪人108面相』
「………………なんだコレは?」
「予告状である」
「予告状だと?」
「怪盗の美学と言うヤツだよ」
「理解できんな……さて、そろそろお前達を殺してさっきの奴の後を追うか」
「出来ると思うのかね?」
「はっ!」
パウロは我輩のレイピアを巧みに捌いているのである。
「法と秩序を司る者よ 我が剣に力を 正義の剣」
我輩の攻撃に集中していたパウロにキャッツ・愛が強力な攻撃を加えた。
しかし、それをもギリギリのところで避けられてしまったのである。
我輩とキャッツ・愛、そしてパウロはお互いに小さな傷を作りながらも決めてが無く膠着状態となっている。
たった1人で我輩とキャッツ・愛の2人と互角に戦うとは……1対1だと危険であったな。
お嬢さんが言うには奴は準魔王と言っても良い強者らしいが、確かにそれだけの実力は持っているな。
だが、我々にとって強さなどなんの意味も無いという事を教えてやろうでは無いか!
「食らうのである!」
目の前に迫るレイピアを軽く首を動かし躱す。
軽く頬を掠めたが、その程度だ。
「くそ!」
奇妙な格好をした男は今までよりも早い斬撃を繰り出した。
しかし、俺が先程の突きを避けた事に動揺したのか、スピードは上がっているが制度が落ちている。
「甘いぞ!」
「ぐぁぁあ!」
俺はすれ違いざまに男を切り裂く。
「主様!」
周囲で隙を伺っていた奇妙な格好の女が声を上げる。
「仲間をやられ動揺するとは、まだまだ二流だな」
「 ⁉︎ 」
戦技を使い高速で女の背後を取る。
「はっ!」
「きゃぁぁあ!」
俺は倒れ臥す2人を見ながら剣を振り、血を飛ばすと鞘に収めた。
「ん?」
なんだ……この……違和感は……
俺は自身の感に従い再び剣を抜き構えた。
すると……
「おや、もう気が付いたのかね?」
「な⁉︎」
目の前にはどこから持ってきたのか小さなテーブルを置き椅子に腰掛けた男が女が煎れた紅茶を口にしていた。
奴らの身体には俺との戦いで付いた傷も無い。
それどころか、俺自身の身体の傷も無くなっている。
「馬鹿な、幻術だと⁉︎
あの感覚や痛みまでも幻覚だというのか⁉︎
一体いつから……」
「ん?
決まっておるだろう、初めからさ」
男は事も投げにそう答えた。
あり得ない!
この俺が数瞬ならまだしも長時間幻術を掛けられて気が付かない筈が……
ザシュ!
突然の浮遊感、自身の視点が山なりに空を飛んでいる。
そして俺は、首の無い傷だらけ自身の身体と剣を振り抜いた傷だらけの男の姿、その側に居る傷だらけの女の姿を目にした時、自身が『幻術が解けて今までの戦闘が幻だった』と言う幻術を掛けられていた事を理解した。
俺は薄れゆく意識の中既に言葉を紡ぐ事の出来ない口で男に尋ねた。
宙を舞うパウロの首。
その口が動いた。
我輩はその唇を読む。
(こ れ は げ ん じ つ か?)
我輩はレイピアを鞘に落としながらその問いに答えた。
「当然である」
我輩とキャッツ・愛は番人が居なくなった部屋から先へと進んだのである。
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