上 下
377 / 418
神々の間では異世界転移がブームらしいです。第4部《新たなる神話》

9話 わたしと合流

しおりを挟む
  ぐんぐんスピードが上がる自由落下の最中、わたしはアイテムボックスからルービックキューブの様な物を取り出しました。
  コレはラグラーナとエンシェントトレントの魔石を加工して周囲に魔方陣を彫り込み、パズルの様に組み合わせて作った魔法の触媒です。

「君に決めた!」

  わたしはマサ○タウン出身の某魔物使いも顔負けのスローイングで触媒を魔物の群れの中心に向かって投げつけます。
  そして、イメージを強化する為の詠唱を紡ぎ、固有魔法オリジナルを発動させます。

「凍てつく大樹に座すは氷の女王  その微笑みは世界を白へと染める  全ての命に平等なる死を」

  魔法……特に固有魔法に大切な物はイメージです。
  しかし、人は知らない物をイメージする事は難しいのです。
  この世界の人間がイメージ出来る『寒さ、冷たさ』と言うのはせいぜい極寒の国々の吹雪くらいな物でしょう。
  しかし、わたしは知っています。
  物質の熱振動の最下限、理想気体のエントロピーとエンタルピーの最低値、-273.15℃の存在を。
  
氷の大樹アブソリュート・ゼロ

  魔物の群れの真ん中から氷の大木か生えて来ました。
  わたしはオリオンを召喚し、急いでその場から離れます。

ゴォッ!

  大木から放たれた冷気は周囲の魔物を凍らせて粉々に砕いて行きます。
  超寒いです。
  と言うか少しやり過ぎかも知れません。
  マーリンさん達は大丈夫でしょうか?
  一応、身を守る様に伝えた筈ですけど……
  マッピングスキルを使い、マーリンさん達を探すとちゃんと反応が有りました。
  わたしは安心すると彼らのところに向かいます。
  オリオンから飛び降りて勇者パーティの前に着地しました。

「みなさん、ご無事でしたか?」

「………………」

「………………」

「………………」

「………………」

「………………」

「はい……ユウ先生が来るまでは……」

  マーリンさんはジトッとした目でわたしを見ます。
  何故?

「おや、貴方が炎の紋章の持ち主ですね。
  初めまして、わたしはユウです」

  わたしが初めて会う白髪の男性に挨拶をすると、何故か白髪の男性はバツが悪そうに目を逸らします。

「?」

「ふぅ」

  白髪の男性は意を決した様に息を吐くと、わたしに深々と頭を下げました。

「ユウさん、その節は大変申し訳有りませんでした」

「え?」

「ユウ先生、かなり印象が変わっていますけど、彼はランスロットですよ」

「ランスロット?」

「え、せ、先生、まさか覚えていないのですか?」

「そ、そんな訳無いじゃないですか……お、覚えていますよ。
  ほら……あの……ねぇ……王都の……酒場で……ねぇ……」

「先生……彼は王宮で先生に絡んで王都を追放になった元子爵家の嫡男ですよ」

「…………ああ、なるほど。
  あれ、貴方は崖から落ちて死んだのでは?」

  ランスロットさんの詳しい話は後で聞く事になり、わたしは勇者さん達と着陸して来たスレイプニールへと向かうのでした。
しおりを挟む
感想 890

あなたにおすすめの小説

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

地獄の手違いで殺されてしまったが、閻魔大王が愛猫と一緒にネット環境付きで異世界転生させてくれました。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作、面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 高橋翔は地獄の官吏のミスで寿命でもないのに殺されてしまった。だが流石に地獄の十王達だった。配下の失敗にいち早く気付き、本来なら地獄の泰広王(不動明王)だけが初七日に審理する場に、十王全員が勢揃いして善後策を協議する事になった。だが、流石の十王達でも、配下の失敗に気がつくのに六日掛かっていた、高橋翔の身体は既に焼かれて灰となっていた。高橋翔は閻魔大王たちを相手に交渉した。現世で残されていた寿命を異世界で全うさせてくれる事。どのような異世界であろうと、異世界間ネットスーパーを利用して元の生活水準を保証してくれる事。死ぬまでに得ていた貯金と家屋敷、死亡保険金を保証して異世界で使えるようにする事。更には異世界に行く前に地獄で鍛錬させてもらう事まで要求し、権利を勝ち取った。そのお陰で異世界では楽々に生きる事ができた。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ユウ
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

器用さんと頑張り屋さんは異世界へ 〜魔剣の正しい作り方〜

白銀六花
ファンタジー
理科室に描かれた魔法陣。 光を放つ床に目を瞑る器用さんと頑張り屋さん。 目を開いてみればそこは異世界だった! 魔法のある世界で赤ちゃん並みの魔力を持つ二人は武器を作る。 あれ?武器作りって楽しいんじゃない? 武器を作って素手で戦う器用さんと、武器を振るって無双する頑張り屋さんの異世界生活。 なろうでも掲載中です。

処理中です...