神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ

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神々の間では異世界転移がブームらしいです。第4部《新たなる神話》

7話 わたしと航行

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「ゆ、ユウ殿、ま、まさか目的地が分からないのか?」

  青い顔をしたクエントさんが聞いてきます。
  不味いですね。
  イケメン顔で『援軍に行こう!』などと言っておいて道が分からないとは言えません。
  何か………………
  いい手は……………
  無いものか…………………あ!

「は、はは、じょ、冗談に決まっているじょないですか」

  そう誤魔化しながらわたしはカンテラを取り出します。



「このカンテラは…………マジックアイテムですか?」

  ヘインズさんがカンテラを覗き込みます。

「はい、コレは導きの焰と言うアイテムです。
  コレにはマーキングした場所を指し示す効果が有るんです」

「マーキングした場所?」

「そうです。
  こんな事もあろうかと、エリオさん達に渡した薬箱には導きの焰でマーキングして置いたのです」

  わたしが導きの焰に魔力を注ぐと、鳥の形になった炎が勇者一行の居場所を示します。

〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰

《半年程前》


「う~ん、リリの練習の為のお手本とは言え、少し作り過ぎましたね」

  わたしの前には上級ポーションや魔力回復ポーション、解毒ポーションを始め様々な薬が並んでいます。
  あまり安く大量に売ると市場のバランスが崩れるとメイさんに怒られてしまいますし…………やはり、アイテムボックスに死蔵するしか……あ!
  いい事を思いつきました。
  現在、エイバ森林国で修行中のマーリンさん達にプレゼントしましょう。
  何か良い容れ物は…………ん?
  この箱は……ああ、導きの焰の性能をテストした時の箱ですね。
  もう使わないですし、これで良いでしょう。
  わたしは薬を詰めた箱を小さなマジックバッグに入れてハクに運んでもらおうと席を立ちます。
  すると、ドアを開けた所にリリがやってきました。

「あ、師匠、お出かけですか?」

「いえ、ハクに荷物を運んで貰うだけですよ」

「そうですか、今お店にリゼさんが来ていますよ」

「リゼさんが?
  なんのようですかね?」

  わたしはリリと共に店の方へと向かうのでした。

〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰

「なるほど、流石ユウ殿だ。
  後に勇者殿達と合流する可能性を考慮して事前に布石を打っていたのだな!」

「……………………はい、その通りです!」

  こうしてわたし達は、導きの焰に従って魔境を目指し飛び立ちました。
  スレイプニールはぐんぐんと高度を上げて行きます。

「手の空いている者は左舷を見てください。
  フラミンゴの群れです」

「いえ艦長、アレはラグーバードですよ」

「…………全速前進です!」

  スレイプニールは従来の飛空船の限界高度を軽く超え、雲の上に出ると雲海を進み始めました。
  これ程の高度だと普通は気温や気圧が低下して人の活動に支障を来す物ですが、スレイプニールに備えられた風属性魔法によって地上と変わらない状態がキープされています。
  さて、しばらくは暇ですし、ちょっとうろついて来ましょうかね。
  わたしはヘインズさんに一言断ると操舵室を出て甲板に移動しました。
  
  甲板では気の早い冒険者が模擬戦や素振りをして身体を動かしています。

「よう!あんたが漆黒のユウか?」

  冒険者と騎士の模擬戦を見物していると背後から声を掛けられました。
  わたしに声を掛けたのは冒険者らしき若い男女の2人組みです。

「そうですよ」

「そうか、俺はスタロン、こっちはリルマ、2人ともAランク冒険者だ」

「よろしくね」

「はい、よろしくお願いします」
  
  それからしばらく世間話や模擬戦の見物などをして過ごすのでした。

  
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