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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第3部《交錯する戦場》
6話 魔王グレース配下ロシナン
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魔王グレースの配下の1人であるロシナンは魔族の軍勢の中でも先鋒の部隊に配置されていた。
ロシナンはグレースの配下になるまでは、人間の冒険者で言うAランク冒険者に相当する神銀クラスハンターであり、『赤槍』の二つ名を持つ一流のハンターとして名を馳せていた。
魔王グレースの強さに憧れて、配下に加わってからもひたすら強さを求めて来た。
そんな時に始まった人間との戦争だが、ロシナンはこの配置に少し疑問を持っていた。
周囲に配置されているのは魔王リセルシアや魔王セルジュの配下ばかりだ。
魔王グレースの精鋭たる自分と比較する訳には行かないが、そこまで強い者達ではない。
他の実力のある者達もそるぞれ離れた場所に配置されている。
この戦争の総指揮官を任されている魔王シルバリエの説明によると、強い者を等間隔に配置する事で全体の戦闘力を底上げする事が目的らしい。
その説明に納得はしているのだが、もし、人間の精鋭に一点に攻撃を集中されれば総崩れになる可能性がある。
しかし、魔王シルバリエは後詰として自身の配下の魔法使いを配置しているから問題ないと言っていた。
正直、納得のいく説明とは言えないが、魔王グレースからも特に異論は無かった為、ロシナンが異論を挟むのは憚られた。
ぶぉぉお!!
再び笛の音が響く。
どうやらもうひと暴れする様だ。
「行くぞ、俺に続け!!!」
ロシナンは鬨の声を上げて人間の軍に向けて駆けて行く。
最初の戦いで多くの人間の兵士を打ち取ったロシナンは周囲の魔族達からも一目置かれていた。
ロシナンの続く魔族達も士気は高く元々種族的なスペックで優位である事もあり、人間の兵を次々に打ち破って行った。
「はっ!」
ロシナンの振るう槍は鉄の鎧を易々と貫通して兵士の命を奪って行く。
「野郎!」
バスターソードを振り下ろしてきたハンター……いや、冒険者の男の攻撃を身体を僅かにズラすだけで躱したロシナンは、鋭く突きを放ち冒険者の喉を貫ぬく。
ロシナンの槍はダンジョンで手に入れた遺物級の名槍であり、材質はミスリル、火属性と炎属性を強化する効果をもったマジックアイテムだ。
白銀に輝く刃には美しい文様が彫り込まれている。
ズガガガガァァァア!!
ロシナンの名槍が人間の命を奪っていた時に、後方から物凄い轟音が聞こえた。
「何だ、何があった!」
「わ、分からない!
急に凄い音がしたと思ったら向こうにいた奴らが消し炭に!!」
ロシナンが近くに居た者の言葉に視線を向けると、魔族の兵士が身体中に大火傷を負って倒れている。
おそらく死んでいるだろう。
「ぐぁぁあ!」
「何だ、このガキ!」
「クソ、死ね!」
「ぎゃああ!」
近くから悲鳴があがる。
ロシナンはそちらへ向かう。
ひゅっ………………びしゅ!
人垣を掛け分けたロシナンの視界に写ったのは夥しい量の血だった。
その血の海の中心に立って居たのは珍しい黒髪に黒い瞳をした12歳くらいの少女だった。
「な、何だこれは!」
少女は自身の身の丈以上の大斧を手に、とてつもないスピードで魔族の兵士に迫ると巨大な斧をまるで重さなど感じないと言わんばかりに振り回す。
それも、力で振り回している訳ではなく、完全に斧を使いこなしている。
少女が斧を一振りする度に魔族の兵士が5~6人身体を両断される。
「ちっ!」
ロシナンは槍を構えて飛び出す。
見た目は子供にしか見えないが、その身のこなしは強者のそれである。
人間側の戦闘力上位者である事は間違いない。
子供に手をかけるのは躊躇われるが、これは戦争。
この場にいるのだから覚悟はしているのだろう。
ロシナンは少女の首を狙い槍を撃ち出す。
まるでスペルキャスターから放たれた弾丸の様な穂先が少女の細い首を貫ぬくかと言う時、少女は僅かに身体を逸らして突きを躱した。
そして、返す刀で斧を振り下ろしてくる。
咄嗟に手元に引き戻した槍を使って受け止める。
「ぐぁっ!」
その見た目通りの大斧の威力にロシナンは数メートル地面を削りながら弾かれてしまった。
「ふっ!」
空かさず繰り出される少女の蓮撃をギリギリで受け流す。
ギンッ!
今度は両手でしっかりと槍を支えて大斧を受け止めた。
「やりますね」
「嬢ちゃんこそなっ!」
鍔迫り合っていた大斧を弾いたロシナンは必殺の戦技を繰り出した。
「烈閃!」
速度を極限まで突き詰めた連続突きを放つ。
数々の強敵を打ち破って来た必殺の一撃だった。
しかし、少女はそれをムーンサルトで躱して見せた。
「な……………………に⁉︎」
驚愕したロシナンの視界は不自然に高く跳ね上がる。
ロシナンが最後に目にした光景はどくどくと血を噴き出す首の無い自分の身体だった。
「今の魔族ほなかなか強かったですね。
ん?
この槍はかなりの名槍ですね。
せっかくですから貰っておきましょう」
少女はロシナンの死体から彼の愛用した名槍を抜き取る。
隙だらけであるが、魔族の兵士は遠巻きに少女を見ているだけで誰も斬りかかったりはしない。
「さて、此処にいた強い魔族は始末しましたし、次に行きましょうか」
ぴー
少女が指笛を鳴らすと巨大なサンダーバードが高速で飛来する。
「うわぁ!」
「やばい!また来たぞ!」
「魔法だ!撃ち落とせ!」
放たれる魔法や矢を躱し、魔族の兵士達にサンダーブレスを放つ。
サンダーバードが近づいて来たところで、少女は飛び上がり足に掴まる。
するとサンダーバードは魔法や矢を避けながら空高く舞い上がって行った。
ロシナンはグレースの配下になるまでは、人間の冒険者で言うAランク冒険者に相当する神銀クラスハンターであり、『赤槍』の二つ名を持つ一流のハンターとして名を馳せていた。
魔王グレースの強さに憧れて、配下に加わってからもひたすら強さを求めて来た。
そんな時に始まった人間との戦争だが、ロシナンはこの配置に少し疑問を持っていた。
周囲に配置されているのは魔王リセルシアや魔王セルジュの配下ばかりだ。
魔王グレースの精鋭たる自分と比較する訳には行かないが、そこまで強い者達ではない。
他の実力のある者達もそるぞれ離れた場所に配置されている。
この戦争の総指揮官を任されている魔王シルバリエの説明によると、強い者を等間隔に配置する事で全体の戦闘力を底上げする事が目的らしい。
その説明に納得はしているのだが、もし、人間の精鋭に一点に攻撃を集中されれば総崩れになる可能性がある。
しかし、魔王シルバリエは後詰として自身の配下の魔法使いを配置しているから問題ないと言っていた。
正直、納得のいく説明とは言えないが、魔王グレースからも特に異論は無かった為、ロシナンが異論を挟むのは憚られた。
ぶぉぉお!!
再び笛の音が響く。
どうやらもうひと暴れする様だ。
「行くぞ、俺に続け!!!」
ロシナンは鬨の声を上げて人間の軍に向けて駆けて行く。
最初の戦いで多くの人間の兵士を打ち取ったロシナンは周囲の魔族達からも一目置かれていた。
ロシナンの続く魔族達も士気は高く元々種族的なスペックで優位である事もあり、人間の兵を次々に打ち破って行った。
「はっ!」
ロシナンの振るう槍は鉄の鎧を易々と貫通して兵士の命を奪って行く。
「野郎!」
バスターソードを振り下ろしてきたハンター……いや、冒険者の男の攻撃を身体を僅かにズラすだけで躱したロシナンは、鋭く突きを放ち冒険者の喉を貫ぬく。
ロシナンの槍はダンジョンで手に入れた遺物級の名槍であり、材質はミスリル、火属性と炎属性を強化する効果をもったマジックアイテムだ。
白銀に輝く刃には美しい文様が彫り込まれている。
ズガガガガァァァア!!
ロシナンの名槍が人間の命を奪っていた時に、後方から物凄い轟音が聞こえた。
「何だ、何があった!」
「わ、分からない!
急に凄い音がしたと思ったら向こうにいた奴らが消し炭に!!」
ロシナンが近くに居た者の言葉に視線を向けると、魔族の兵士が身体中に大火傷を負って倒れている。
おそらく死んでいるだろう。
「ぐぁぁあ!」
「何だ、このガキ!」
「クソ、死ね!」
「ぎゃああ!」
近くから悲鳴があがる。
ロシナンはそちらへ向かう。
ひゅっ………………びしゅ!
人垣を掛け分けたロシナンの視界に写ったのは夥しい量の血だった。
その血の海の中心に立って居たのは珍しい黒髪に黒い瞳をした12歳くらいの少女だった。
「な、何だこれは!」
少女は自身の身の丈以上の大斧を手に、とてつもないスピードで魔族の兵士に迫ると巨大な斧をまるで重さなど感じないと言わんばかりに振り回す。
それも、力で振り回している訳ではなく、完全に斧を使いこなしている。
少女が斧を一振りする度に魔族の兵士が5~6人身体を両断される。
「ちっ!」
ロシナンは槍を構えて飛び出す。
見た目は子供にしか見えないが、その身のこなしは強者のそれである。
人間側の戦闘力上位者である事は間違いない。
子供に手をかけるのは躊躇われるが、これは戦争。
この場にいるのだから覚悟はしているのだろう。
ロシナンは少女の首を狙い槍を撃ち出す。
まるでスペルキャスターから放たれた弾丸の様な穂先が少女の細い首を貫ぬくかと言う時、少女は僅かに身体を逸らして突きを躱した。
そして、返す刀で斧を振り下ろしてくる。
咄嗟に手元に引き戻した槍を使って受け止める。
「ぐぁっ!」
その見た目通りの大斧の威力にロシナンは数メートル地面を削りながら弾かれてしまった。
「ふっ!」
空かさず繰り出される少女の蓮撃をギリギリで受け流す。
ギンッ!
今度は両手でしっかりと槍を支えて大斧を受け止めた。
「やりますね」
「嬢ちゃんこそなっ!」
鍔迫り合っていた大斧を弾いたロシナンは必殺の戦技を繰り出した。
「烈閃!」
速度を極限まで突き詰めた連続突きを放つ。
数々の強敵を打ち破って来た必殺の一撃だった。
しかし、少女はそれをムーンサルトで躱して見せた。
「な……………………に⁉︎」
驚愕したロシナンの視界は不自然に高く跳ね上がる。
ロシナンが最後に目にした光景はどくどくと血を噴き出す首の無い自分の身体だった。
「今の魔族ほなかなか強かったですね。
ん?
この槍はかなりの名槍ですね。
せっかくですから貰っておきましょう」
少女はロシナンの死体から彼の愛用した名槍を抜き取る。
隙だらけであるが、魔族の兵士は遠巻きに少女を見ているだけで誰も斬りかかったりはしない。
「さて、此処にいた強い魔族は始末しましたし、次に行きましょうか」
ぴー
少女が指笛を鳴らすと巨大なサンダーバードが高速で飛来する。
「うわぁ!」
「やばい!また来たぞ!」
「魔法だ!撃ち落とせ!」
放たれる魔法や矢を躱し、魔族の兵士達にサンダーブレスを放つ。
サンダーバードが近づいて来たところで、少女は飛び上がり足に掴まる。
するとサンダーバードは魔法や矢を避けながら空高く舞い上がって行った。
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