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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第2部 《精霊の紋章》
138話 敵対
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「な、なんじゃ!」
「外が騒がしいぞ」
バッカスとジンも目を覚ました様だ。
「何か有ったみたいだ。
魔物の襲撃かも知れない、外に出よう」
「うむ、急ぐぞ」
俺達は手早く武装するとあてがわれた宿の部屋から飛び出した。
すると、時を同じくして2つ向こうの部屋からも2人の人物が飛び出してきた。
「マーリン、ソフィア!」
「あんた達も悲鳴を聞いたのね」
「ああ、何が有ったかはわからないが、急ごう」
俺達は階段を駆け下りて宿のロビーにでる。
するとカウンターでは女性と子供を背に庇った宿の主人と従業員の男性が持ち慣れないであろう剣を手にして居た。
「ご主人、何が有ったんだ!」
「お、お客さん!
な、何が有ったのかは分かりません。
朝食の用意をして居たら外から悲鳴と叫び声が聞こえて……
これは只事では無いと思い、妻と子供、従業員を集めたのです」
「そうか、俺達は外を見てくる。
町に魔物が入り込んだのかも知れない」
「お、お気を付け下さい」
「ああ、ご主人達も気を付けて」
俺達は宿の入り口から外を伺い、近くに変わったことは無いと確認すると、悲鳴が聞こえてくる方へと走り出した。
まだ薄暗い町を走る。
すると目の前の建物の角から男が飛び出して来た。
反射的に武器を抜いた俺達だったが、その男はどう見ても只の一般人にしか見えなかった。
そして、その男を追う様に更に2人、角から飛び出して来た。
追われていた男は背後から剣を突き立てられてその場におたれ込む。
地面に横たわった身体から赤い血が拡がって行き、大きな血溜まりを作り上げた。
男を殺した2人は男の背中から剣を引き抜き、こちらに視線を向けて来た。
俺達は直ぐに武器を構えなおす。
奴らがこの騒ぎの犯人だろう。
褐色の肌と額の小さな角、素性や目的を聞くまでも無い。
「ん? 見ろよ、あいつらの右腕」
「おいおい、マジかよ。
あれが噂の精霊の紋章か?」
2人の魔族は剣を片手にこちらに近づいて来る。
「あいつらを殺せば俺ら、大手柄じゃね?」
「勇者なんか殺した日には次期魔王だぜ」
戦闘中にも関わらず、笑いながら談笑する2人の魔族。
俺達は先制攻撃を仕掛ける。
「エアスラッシュ」
マーリンの風属性魔法で生み出された巨大な風の刃が魔族の下へと疾る。
「「⁉︎」」
風の刃を避けた魔族は剣を手に向かってくる。
ジンが放つ矢を斬り払い剣を振り上げる。
その剣を俺とソフィアが受け止める。
背後から飛び出したバッカスが、俺と鍔迫り合っていた魔族に戦鎚を振る。
「ぐっ!」
戦鎚を受けた魔族は、ソフィアと鍔迫り合っていた魔族を巻き込んで隣の建物に叩きつけられる。
「アビスランス」
詠唱を省略した為か以前見た物よりも小さな黒い槍が魔族に向かう。
「うお!」
「がぁ!」
マーリンの魔法が魔族の1人を貫いた。
しかし、1人はギリギリで躱した。
「ちっ!」
己の不利を悟った魔族は踵を返して走り出した。
しかし、その足をジンの矢が貫く。
「ぐあ!」
その場に転がった魔族に剣を振り上げる。
「ま、待て、待ってくれ!
こ、降参だ、投降する!」
両手を上げてそう叫ぶ魔族に、俺は剣を止める。
「馬鹿が!」
魔族は俺を突き飛ばし距離を取ると、手首に仕込んでいた煙玉を使用し、煙に紛れて逃げ出した。
「くっ!」
「何やってんのよ!」
「すまん」
不味い、取り逃がしてしまった。
「魔族は奴らだけでは無いみたいだぜ」
ジンの言葉に周囲の様子を見ると、彼方此方から悲鳴や怒号が聞こえてくる。
「とにかく、近くから行きましょう!」
「ああ、虱潰しに魔族を叩くぞ!」
俺達は騒がしい方へと走り出した。
「外が騒がしいぞ」
バッカスとジンも目を覚ました様だ。
「何か有ったみたいだ。
魔物の襲撃かも知れない、外に出よう」
「うむ、急ぐぞ」
俺達は手早く武装するとあてがわれた宿の部屋から飛び出した。
すると、時を同じくして2つ向こうの部屋からも2人の人物が飛び出してきた。
「マーリン、ソフィア!」
「あんた達も悲鳴を聞いたのね」
「ああ、何が有ったかはわからないが、急ごう」
俺達は階段を駆け下りて宿のロビーにでる。
するとカウンターでは女性と子供を背に庇った宿の主人と従業員の男性が持ち慣れないであろう剣を手にして居た。
「ご主人、何が有ったんだ!」
「お、お客さん!
な、何が有ったのかは分かりません。
朝食の用意をして居たら外から悲鳴と叫び声が聞こえて……
これは只事では無いと思い、妻と子供、従業員を集めたのです」
「そうか、俺達は外を見てくる。
町に魔物が入り込んだのかも知れない」
「お、お気を付け下さい」
「ああ、ご主人達も気を付けて」
俺達は宿の入り口から外を伺い、近くに変わったことは無いと確認すると、悲鳴が聞こえてくる方へと走り出した。
まだ薄暗い町を走る。
すると目の前の建物の角から男が飛び出して来た。
反射的に武器を抜いた俺達だったが、その男はどう見ても只の一般人にしか見えなかった。
そして、その男を追う様に更に2人、角から飛び出して来た。
追われていた男は背後から剣を突き立てられてその場におたれ込む。
地面に横たわった身体から赤い血が拡がって行き、大きな血溜まりを作り上げた。
男を殺した2人は男の背中から剣を引き抜き、こちらに視線を向けて来た。
俺達は直ぐに武器を構えなおす。
奴らがこの騒ぎの犯人だろう。
褐色の肌と額の小さな角、素性や目的を聞くまでも無い。
「ん? 見ろよ、あいつらの右腕」
「おいおい、マジかよ。
あれが噂の精霊の紋章か?」
2人の魔族は剣を片手にこちらに近づいて来る。
「あいつらを殺せば俺ら、大手柄じゃね?」
「勇者なんか殺した日には次期魔王だぜ」
戦闘中にも関わらず、笑いながら談笑する2人の魔族。
俺達は先制攻撃を仕掛ける。
「エアスラッシュ」
マーリンの風属性魔法で生み出された巨大な風の刃が魔族の下へと疾る。
「「⁉︎」」
風の刃を避けた魔族は剣を手に向かってくる。
ジンが放つ矢を斬り払い剣を振り上げる。
その剣を俺とソフィアが受け止める。
背後から飛び出したバッカスが、俺と鍔迫り合っていた魔族に戦鎚を振る。
「ぐっ!」
戦鎚を受けた魔族は、ソフィアと鍔迫り合っていた魔族を巻き込んで隣の建物に叩きつけられる。
「アビスランス」
詠唱を省略した為か以前見た物よりも小さな黒い槍が魔族に向かう。
「うお!」
「がぁ!」
マーリンの魔法が魔族の1人を貫いた。
しかし、1人はギリギリで躱した。
「ちっ!」
己の不利を悟った魔族は踵を返して走り出した。
しかし、その足をジンの矢が貫く。
「ぐあ!」
その場に転がった魔族に剣を振り上げる。
「ま、待て、待ってくれ!
こ、降参だ、投降する!」
両手を上げてそう叫ぶ魔族に、俺は剣を止める。
「馬鹿が!」
魔族は俺を突き飛ばし距離を取ると、手首に仕込んでいた煙玉を使用し、煙に紛れて逃げ出した。
「くっ!」
「何やってんのよ!」
「すまん」
不味い、取り逃がしてしまった。
「魔族は奴らだけでは無いみたいだぜ」
ジンの言葉に周囲の様子を見ると、彼方此方から悲鳴や怒号が聞こえてくる。
「とにかく、近くから行きましょう!」
「ああ、虱潰しに魔族を叩くぞ!」
俺達は騒がしい方へと走り出した。
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