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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第2部 《精霊の紋章》

136話 迷子の勇者達

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  ユウさんに薬を作って貰い、魂の傷を治癒する事が出来た俺は、直ぐに旅を再開した。
  魔族との戦争はもう直ぐそこまで迫っているが、最後の炎の紋章とその紋章に選ばれた仲間を探し、更に力をつける為の修行と、やらなければならない事は山程ある。
  現在はロックドック王国の後に行くつもりだったエイバ森林国を目指している。
  エイバ森林国はグリント帝国の直ぐ隣にあるゼブルス王国と言う小国を通る。
  俺たちのパーティはグリント帝国からゼブルス王国に入って数日と言う辺りの森の奥深くを進んでいる。

「迷ったわ」

  マーリンが地図を見ながら言った。
  実に堂々とした態度だ。

「おいおい、マーリンが地図なら任せろと言ったんじゃ無いか」

  ジンがマーリンに白い目を向ける。

「 わ、悪かったわよ」

「そう言えばマーリンと初めて会った時もマーリンは森の中で迷っていたよな?」

「マーリン……もしかして方向音痴ですか?」

「そ、そ?な事はないわ。
  普通よ普通!」

  ガサッ

   木の陰から物音がすると、俺達は反射的に武器に手を伸ばす。
  
「ひゃっ!」

  しかし、そこに居たのは魔物では無く、10歳程の少女だった。
  ナゼこんな森の中に少女がいるのか?
  俺は少女に声をかける。

「君、なんでこんな森の奥深くにいるんだ?」

「え、えっとここは私の村から直ぐで村人がよく薬草とかを採りにくる場所ですよ?」

「「「………………」」」

  俺達が森の奥深くだと思って居たこの場所は、村人がちょっと立ち寄れる程度森のごくごく浅い場所だったらしい。

「ほ、ほらね。
  人里に出れたでしょ!」

  マーリンは1人、上機嫌だった。




  少女に案内して貰い、村へとお邪魔させて貰った。
  1番大きな村長さんの家で宿泊の許可を貰う。
  この村の様な小さな集落には当然宿屋などは無い。
  その為、村人に泊めて貰うか、空き家が有れば、貸して貰うのが一般的だ。
  特に村長の家は旅人を泊めたり、村の集会所となっている事が多く、他の村人家よりも大きく作られている事が多い。

「ほう、ミルミット王国からですか、随分と遠くまで来なすったなぁ。
  今晩はワシの家に泊まって行きなされ」

「はい、ありがとうございます」

  そして、冒険者……特にCランク以上の高ランクと呼ばれる冒険者は、こうした村では歓迎される。
  稀に訪れる行商人へ 作物や手工芸品を売ったり、近くの街まで売りに行ったりする以外の貴重な現金収入の機会だからだ。
  高ランク冒険者とも成れば一夜の宿を借りておいて謝礼の1つも無く立ち去る様な者など滅多に居ない。
  そのランクに相応しい実力と人格をギルドに保証されているからだ。
  
「村長様、私とこちらのソフィアとジンは多少では有りますが治癒魔法を使う事が出来ます。
  また、私は簡単な薬くらいなら調合する事も可能です。
  もしお困りの方がいれば宿のお礼に治療致します」

「おお、ありがとうございます。
  早速、村の者に聞いてみましょう」

  マーリンの言葉に村長さんは嬉しそうに答えた。
  田舎の村ともなれば治癒魔法を扱える神官なども常駐して居ない。
  薬師が居れば良い方で、大体の村では村の老人が調合する傷薬や熱冷ましなどに頼るものだ。
  なので、治癒魔法を扱える冒険者や旅の神官などはありがたい存在なのだろう。
  今日の宿を確保した俺達は次の旅に向けてそれぞれ動き出した。
  マーリン、ソフィア、ジンは村長さんに連れられて村人の治療へ、バッカスは、村人に食料となる作物を売って貰いにいった。
  そして俺は、よく近くの街まで作物を売りに行くと言う村人の所へ道を聞きにいく。
  もう道に迷うのはこりごりだからだ。
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