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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第2部 《精霊の紋章》

125話 キノコの森へ

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「まさか、リゼッタまで転魔症が発病するとは……」

「おかしいですね?
  人間の魔力制御力程度で転魔症が発病する筈はないのですが…………まぁ、リゼさんは規格外ですからね」

「それで、どうする?
  やはり俺も一緒にコンジキヤシャタケの採取に……」

「いえ、わたしが1人で行きます。
  もし採取中に発病した場合、わたし1人では意識の無いサーリスさんを連れ帰る事は難しいです。
  それならわたしが素早く採取に行った方が良いでしょう」

「…………すまない」

「良いのですよ、その代わり約束の報酬をお願いしますよ?」

「ああ、エンシェントドラゴンの血液だったな。
  転魔症の治療薬を調合してくれたら、エンシェントドラゴンの1人を紹介する。
  血を貰える様に交渉もしよう」

「お願いします」





  サーリスさんに描いてもらった地図を見ながら渓谷に近い密林を走ります。
  流石にわたし1人では強力な魔物に対処出来ない可能性があるので、マッピングスキルを使い、知らない魔力の反応があれば遠回りして、極力戦闘を回避します。
  その為、龍仙境からの距離はあまり遠くない密林でしたが、結構な時間がかかってしまいました。
  暗くなると夜行性の魔物が活動を開始するのでそれまでには必要な数のコンジキヤシャタケを確保しておきたいです。
  
「ん?」

  魔物の魔力ですね。
  しかし、コレは前に戦った事があります。
  ハイオークです。
  オークよりも一回りも大きな魔物ですが以前問題なく討伐できました。
  このまま進みましょう。

「黒燐」

  ハイエルフの里で教わってから毎日訓練を続け、最近では数秒で黒燐を生み出す事が出来る様になって来ました。
  
「龍装『黒龍戦斧』」

  ガサッ!

  茂みから飛び出したわたしはその勢いを殺さずに2体のハイオークの首を切り飛ばします。

「フゴッ!!」

「ブブゥゴォ!」

  残りは3体、武器は槍が2体と剣が1体です。
  
「断空!」

  刃となった魔力が剣を手にしたハイオークを吹き飛ばします。
  
「フッフゴッ!!」

  腰だめに槍を構えたハイオークが鋭い突きを繰り出します。
  
「凍てつき 連なれ アイスピラー」

  わたしの目の前に創り出された氷の柱に阻まれ、ハイオークの突きが止まります。

  ヒュッ!
「フゴッ!!」

  突然の痛みにハイオークが悲鳴をあげました。
  槍を持つ腕に投げ斧が突き刺さっています。
  そして、わたしの投げ斧……烈風の斧は内に秘められていた風属性の魔力を飛び放ちました。

「ブルルルルゥゴ!!!!」

  鋭い風の刃でハイオークの腕がズタズタに切り裂かれます。
  かろうじて繋がっている様な状態です。
  瀕死のハイオークを無視してもう1体のハイオークに迫ります。
  
「ブブゥ!!」

  槍の薙ぎ払いをジャンプで躱し、振り上げた黒龍戦斧を叩きつけます。
  槍ごと縦に真っ二つになったハイオークをアイテムボックスしまい、瀕死のハイオークにトドメを刺しました。
  2体目のハイオークをアイテムボックスにしまうと危機察知スキルの警鐘が鳴ります。
  転がる様にその場を離れると、間髪を入れずハイオークの剣が振るわれました。
  剣を持つハイオークは肩からわき腹に掛けて大きな傷があり、かなりの出血をしていますが、興奮しているからか、痛がる素振りは有りません。
  しかし、痛みを忘れていたとしても、出血は体力を奪い、傷は体の動きを阻害します。
  結果、剣を持ったハイオークも数分と経たずに討伐する事ができました。
  ハイオークを数匹討伐し、更に密林を進むと湿気の多い一帯へ到着しました。
  ここがサーリスさんが言っていたコンジキヤシャタケがあるかも知れない場所ですか。
  周囲にはわたしの背丈よりも大きなキノコや原色のカラフルなキノコなどが沢山生えています。
  わたしはコンジキヤシャタケを求めて、キノコの森へ足を踏み入れるのでした。
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