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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第2部 《精霊の紋章》
121話 少女の正体
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少女の前に躍り出たわたし達に狼の様な魔物が牙を剥き襲い掛かって来ました。
「ふっ!」
飛びついて来た狼を叩き落とす様にピリオドで迎撃します。
「浅いですね」
狼の毛皮は、かなりの防刃性能を持っていた様で、纏を使っていないピリオドの斬撃では首を落とす事は出来ませんでした。
しかし、すぐさまリゼさんが追撃を加えるべく飛び出しました。
わたしが付けた傷に剣を突き立て、鋭く剣を降り狼の首を切り落としたのです。
「ふぅ、ひとまず安心ですね」
「そうね、後はこの子よね」
わたしとリゼさんは少女へと視線を向けます。
少女はよほど怖かったのかボロボロと涙を流し、ぷるぷると震えている。
「もう大丈夫ですよ」
「ひっぐ、うぅ」
「あなたは何処から来たのですか?
名前は?」
「うぅ」
むむむ、どうも警戒されている様ですね。
どうしたものですかね?
「ゴルルルルゥ!!!」
「「 ⁉︎ 」」
突如、茂みの中からもう1匹の狼が現れました。
少女に気を取られていたわたしとリゼさんは一瞬反応が遅れてしまいます。
「はっ!」
「グルルルゥ!!」
わたし達は、少女を庇い狼の正面で迎え撃とうとしたのですが、狼は茂みから狼を追いかける様に飛び出して来た男の槍に貫かれ吹き飛ばされてしまいました。
驚き、吹き飛ばされた狼の方に目をやると男の卓越した槍裁きであっという間に討伐されてしまいました。
「エルル、怪我は無いか⁉︎」
狼が死んだ事を確認した男はこちらへとやって来ました。
「うぅ、ぁぁあ!」
わたし達の背後に居た少女は泣きながら男の元へと走りよります。
「まったく、心配したんだぞ!
あれ程1人で出歩いてはいけないと言っただろう!」
「うぅご、ごべんなざいぃ」
どうやら保護者の様ですね。
彼らは何者なのでしょうか?
男は少女に怪我が無い事を確認した後、わたし達に視線を向けます。
おや、もしかしてコレは不味い展開ですか?
テンプレならわたし達は誘拐犯に間違われて攻撃されたりする展開です。
リゼさんもわたしと同じ考えに至ったのかそれとなく戦闘態勢を取っています。
「エルルが世話になった。
バンデットウルフから守って貰った様だな。
感謝する」
……そんな事は有りませんでした。
普通にお礼を言われました。
「いえ、わたし達は大した事はしていませんよ。
所であなた方は何者なのですか?
なぜ、こんな魔境の奥地に?」
「ああ、我々は……」
「ウオオーーン」
「ウオオーン」
「ウオオーン」
「……今は早くこの場を離れた方が良さそうだな。
君達も来てくれ。
話なら安全な場所でしよう」
わたし達としても男の言葉を拒否する理由は無いので頷きました。
サーリスと名乗った男はエルルと言う少女を小脇に抱えて岩場を軽々と飛び移りながら走ります。
先ほどの戦闘と言い、かなりの強者である事は間違い有りません。
高い山へと繋がる切り立った崖の裂け目へと入って行くサーリスさんを追い、わたし達も崖の裂け目へと足を踏み入れます。
裂け目はトンネルの様になっており、反対柄へと抜けたわたし達の目に飛び込んで来たのは『街』でした。
地面は綺麗な石畳がしかれ、子供達が走り回り、買い物帰りの主婦達が談笑していました。
トンネルの出口は小高い場所にあり、そんな街の様子が一望できます。
「エルル!」
トンネルの出口から中に入って来たわたし達の所に壮年の男と15歳くらいの少女が走って来ました。
「エルル!」
少女はエルルに飛びつくと強く抱きしめています。
「サーリス殿、なんとお礼を言って良いか……」
壮年の男も涙を流しながらサーリスさんの手を取っています。
予想ですがエルルの父親と姉でしょうか?
「私の力ではない。
彼女らがエルルを守ってくれなければ間に合わなかっただろう」
サーリスさんがわたしとリゼさんを指し示すとエルルの父親(多分)はわたし達の手を取ってお礼を言って来ました。
「ボーガン、まだ彼女達にはここの事を説明していないんだ。
今日のところはエルルを家に連れて帰ってやれ」
「は、はい。
ではお二人とも、もしよろしければ後ほど私の家にお越しください。
改めてお礼をさせて頂きます」
ボーガンさんはエルルとエルルの姉を呼び寄せます。
「では」
手を振るエルルの横で、彼はわたし達に深く頭を下げます。
そして、身を起こした時、まばゆい光が3人を包みました。
光はすぐに収まりましたが、先ほどエルル達3人が居た場所には大中小、三体のドラゴンが居ました。
1番小さなドラゴンが、大きなドラゴンの背中に乗ると3頭は羽ばたき、飛び立って行きます。
驚愕の光景を目にしたわたしとリゼさんは、間抜けな顔で飛び去る三体のドラゴンを見送りました。
この顔が面白かったのでしょう。
サーリスさんはクスクスと笑いながら街について教えてくれました。
「ココは《龍仙境》我々、龍族の街だ」
サーリスさんはその縦に長い瞳を面白そうに細めたのでした。
「ふっ!」
飛びついて来た狼を叩き落とす様にピリオドで迎撃します。
「浅いですね」
狼の毛皮は、かなりの防刃性能を持っていた様で、纏を使っていないピリオドの斬撃では首を落とす事は出来ませんでした。
しかし、すぐさまリゼさんが追撃を加えるべく飛び出しました。
わたしが付けた傷に剣を突き立て、鋭く剣を降り狼の首を切り落としたのです。
「ふぅ、ひとまず安心ですね」
「そうね、後はこの子よね」
わたしとリゼさんは少女へと視線を向けます。
少女はよほど怖かったのかボロボロと涙を流し、ぷるぷると震えている。
「もう大丈夫ですよ」
「ひっぐ、うぅ」
「あなたは何処から来たのですか?
名前は?」
「うぅ」
むむむ、どうも警戒されている様ですね。
どうしたものですかね?
「ゴルルルルゥ!!!」
「「 ⁉︎ 」」
突如、茂みの中からもう1匹の狼が現れました。
少女に気を取られていたわたしとリゼさんは一瞬反応が遅れてしまいます。
「はっ!」
「グルルルゥ!!」
わたし達は、少女を庇い狼の正面で迎え撃とうとしたのですが、狼は茂みから狼を追いかける様に飛び出して来た男の槍に貫かれ吹き飛ばされてしまいました。
驚き、吹き飛ばされた狼の方に目をやると男の卓越した槍裁きであっという間に討伐されてしまいました。
「エルル、怪我は無いか⁉︎」
狼が死んだ事を確認した男はこちらへとやって来ました。
「うぅ、ぁぁあ!」
わたし達の背後に居た少女は泣きながら男の元へと走りよります。
「まったく、心配したんだぞ!
あれ程1人で出歩いてはいけないと言っただろう!」
「うぅご、ごべんなざいぃ」
どうやら保護者の様ですね。
彼らは何者なのでしょうか?
男は少女に怪我が無い事を確認した後、わたし達に視線を向けます。
おや、もしかしてコレは不味い展開ですか?
テンプレならわたし達は誘拐犯に間違われて攻撃されたりする展開です。
リゼさんもわたしと同じ考えに至ったのかそれとなく戦闘態勢を取っています。
「エルルが世話になった。
バンデットウルフから守って貰った様だな。
感謝する」
……そんな事は有りませんでした。
普通にお礼を言われました。
「いえ、わたし達は大した事はしていませんよ。
所であなた方は何者なのですか?
なぜ、こんな魔境の奥地に?」
「ああ、我々は……」
「ウオオーーン」
「ウオオーン」
「ウオオーン」
「……今は早くこの場を離れた方が良さそうだな。
君達も来てくれ。
話なら安全な場所でしよう」
わたし達としても男の言葉を拒否する理由は無いので頷きました。
サーリスと名乗った男はエルルと言う少女を小脇に抱えて岩場を軽々と飛び移りながら走ります。
先ほどの戦闘と言い、かなりの強者である事は間違い有りません。
高い山へと繋がる切り立った崖の裂け目へと入って行くサーリスさんを追い、わたし達も崖の裂け目へと足を踏み入れます。
裂け目はトンネルの様になっており、反対柄へと抜けたわたし達の目に飛び込んで来たのは『街』でした。
地面は綺麗な石畳がしかれ、子供達が走り回り、買い物帰りの主婦達が談笑していました。
トンネルの出口は小高い場所にあり、そんな街の様子が一望できます。
「エルル!」
トンネルの出口から中に入って来たわたし達の所に壮年の男と15歳くらいの少女が走って来ました。
「エルル!」
少女はエルルに飛びつくと強く抱きしめています。
「サーリス殿、なんとお礼を言って良いか……」
壮年の男も涙を流しながらサーリスさんの手を取っています。
予想ですがエルルの父親と姉でしょうか?
「私の力ではない。
彼女らがエルルを守ってくれなければ間に合わなかっただろう」
サーリスさんがわたしとリゼさんを指し示すとエルルの父親(多分)はわたし達の手を取ってお礼を言って来ました。
「ボーガン、まだ彼女達にはここの事を説明していないんだ。
今日のところはエルルを家に連れて帰ってやれ」
「は、はい。
ではお二人とも、もしよろしければ後ほど私の家にお越しください。
改めてお礼をさせて頂きます」
ボーガンさんはエルルとエルルの姉を呼び寄せます。
「では」
手を振るエルルの横で、彼はわたし達に深く頭を下げます。
そして、身を起こした時、まばゆい光が3人を包みました。
光はすぐに収まりましたが、先ほどエルル達3人が居た場所には大中小、三体のドラゴンが居ました。
1番小さなドラゴンが、大きなドラゴンの背中に乗ると3頭は羽ばたき、飛び立って行きます。
驚愕の光景を目にしたわたしとリゼさんは、間抜けな顔で飛び去る三体のドラゴンを見送りました。
この顔が面白かったのでしょう。
サーリスさんはクスクスと笑いながら街について教えてくれました。
「ココは《龍仙境》我々、龍族の街だ」
サーリスさんはその縦に長い瞳を面白そうに細めたのでした。
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