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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第2部 《精霊の紋章》

101話 それぞれの旅路

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「ところで魂の傷を治療しても呪いが残ってたら戦えないんじゃないの?」

  リゼさんがふと思いついた様に呟きました。
  確かにその通りです。
  レオさん達も何も言えず、エリオさんは暗い顔をしています。

「それに関してはわたしに心当たりが有ります」

  その暗い雰囲気を破る様に声を上げた人が居ました。
  そう、わたしです!

「え⁉︎
  誰か強力な神聖魔法の使い手を知っているのですか?」

「はい。
  ただ、その方はあまり世間に騒がれたくないそうなので、取り敢えずわたしが事情を手紙に書いて従魔に運ばせます。
  返事は王宮に来るようにしておきますから、手紙で交渉して下さい」

  まぁ、あの人なら協力してくれると思います。
  交渉は面倒なので丸投げしますけど……
 
「わ、わかりました」

  さて、方針が決まったのでレオさん達は辺境伯邸に泊まり、明日王都に帰るそうです。
  随分と慌ただしいですが、リゼさんからの情報も王都に伝え無いと行けませんからね。
  折角ですからミーナさんお店を紹介しましょう。
  皇太子と皇太子妃(予定)がケーキを買いに来たと知ったらミーナさんは気絶するかも知れません。
  気付け薬も持って行きましょうか?
  わたし達は部屋から出て店の売り場まで戻って来ました。

「そうだ、ユウ先生のポーションを買って行こうかしら」

「そうですね。
  高品質のポーションはいくらあっても困りませんし」

  お?  
  なんだかポーションが売れそうな流れです。
  わたしのお店はかなりの高級店ですからたまに売れるだけで、十分な儲けになるんですよね。

「あの……ユウさん、あの斧はどうしたのですか?」

  エリオさんが何かに気がついた様に声を上げました。

「あれは前に帝国で仕事をした時に貰ったんですよ。
  精霊の加護を受けた御守りだとか?」

  エリオさん達は視線を交わすとわたしに向き直りました。
  
「ユウさん、あの斧に少し触らせて貰えませんか?」

「ええ、良いですよ」

  エリオさんはピースフルにそっと触れるます。
  しかし、何も起こりません。

「違ったか」

「まぁ、もしかしたらくらいの物だったしね」

  なんだか残念そうですね。
  詳しくは話を聞いて見ると、エリオさん達は精霊の紋章と言う物を集めているらしいのです。
  そして、その精霊の紋章とやらを見せて貰ったのですが……

「わたし、それ知ってますよ!」

「ええ⁉︎」

「ど、どこで見たんですか?」

  わたしはみんなの視線を受けながら10日程前の出来事を説明しました。
  10日程前、以前ロキさんに分けた清酒を飲んだと言うドワーフとエルフの2人組みの冒険者が訪ねて来たのです。
  その2人が、お店に足を踏み入れた時、飾ってあったピースフルが淡く光り始めました。
  驚いたドワーフの冒険者が、ついピースフルに手を伸ばすと強烈な光が溢れ出し、光が消えた時、ドワーフの冒険者の腕にエリオさん達の様な痣が刻まれていたのです。
  その後、念の為色々と検査をしましたが特に問題もなく、身体に不調もなかったので、その2人は清酒を受け取り旅立って行きました。
  そう説明すると……

「その2人はどこに行くと言っていましたか?」

「名前やパーティ名などは聞いていないのですか?」

「教えて下さい、ユウさん!」

「ええっと……たしかエルフがジンさん、ドワーフがバッカスさんと名乗っていました。
  パーティ名はCランクパーティの《溢れる盃》です」

「行き先などは……」

「えーと、毒蟲の森の手前に最近発見されたダンジョンに行くと言っていましたね」

  わたしの情報を聞いてエリオさんとマーリンさん、ソフィアさんは相談を始めました。
  しばらく相談した結果、彼ら《精霊の紋章》はジンさんとバッカスさんを探しに、ダンジョンに向かう事にしたそうです。
  エリオさんは魔力を使わない様にマーリンさん達に散々念を押され同行を許可されていました。
  
「では、エリオ達は仲間と紋章探し、ユウさんとリゼッタ殿は薬を、俺達は呪いの解呪の交渉と素材集めと言う事でいいですか?」

「はい、構いませんよ」

  レオさんの言葉に各々が答え話は終わりました。
  その後、各自にポーションを売ったり、ミーナさんのお店に行ってお菓子を買い漁ったりした後解散しました。
  エリオさん達は明日、ジンさん達を追いかけて出発するそうです。
  レオさんとシアさんも帰る見たいです。
  わたしは数日、準備をしてからリゼさんと魔境に旅立つ事になりました。
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