神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ

文字の大きさ
上 下
293 / 418
神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第2部 《精霊の紋章》

98話 辺境の薬師

しおりを挟む
  魔王コルダールの襲撃を受けた俺達はカートの犠牲に寄って何とかミルミット王国に逃げ延びる事が出来た。
  しかし、俺はコルダールから強力な呪いを受けてしまった。
  その呪いは魔力を使おうとすると魂に傷を受けて激痛が走ると言う恐ろしい物だった。
  王宮医師によると、これ以上魂に傷がつけば自我が崩壊し廃人になるか、魔力を暴走させて死ぬと言われてしまった。
  呪いを解く事は難しいが辺境に居ると言うマーリンやレオに戦い方や薬草の知識を教えた薬師ならば魂の傷を治癒出来る可能性があるらしい。
  その薬師に会う為、俺達は王家の所有するワゴンに乗ってワイバーンに運ばれている所だ。
  因みにザネリとはミルミット王国の王都で別れた。
  彼女には悪い事をしたと思っているが本人は呪いが解けて感謝していると言っていた。
  お世辞かも知れないが助かって良かった。
  俺達は、カートの死を無駄にしない為、何としてもコルダールを倒さなければならない。
  その為にはやはり解呪と治療が必須だろう。

「その薬師は本当に魂の傷を治癒する事が出来るのでしょうか?」
 
  ソフィアのつぶやく様な疑問にレオの婚約者でシア(そう呼んでくれと言われた)が答えた。

「確証は有りません。
  ですが、私達が知る限りユウ先生はこの大陸最高の薬師ですわ」

「ああ、はっきり言ってユウさんの薬術は王宮薬師より上だ」

「そ、そうなのか」

  王宮薬師よりも上とは驚いた。
  てっきり解呪薬の専門家だとかの特化した薬師だと思っていた。

「ん?その薬師の名前はユウと言うのですか?」

  ソフィアが何かに気が付いた様に声を上げた。

「そうですよ?」

「もしかしてAランク冒険者の漆黒のユウ殿の事ですか?」

「ああ、そうだぞ。
  知っているのか?」

「はい、前に1度盗賊と戦っている時に加勢して貰った事があるんです」

「そうなのか?」

  驚いて問いかけた俺にソフィアは頷き返した。

「はい、その時にポーションを貰ったのですが、かなり高品質な品でした。
  確かその時に辺境で薬屋を開くと言っていましたね」

  マーリン達の恩師とソフィアが面識があった事に驚きながら辺境を目指すのだった。



  数日の旅で辺境の街、ガストに到着した。
  ワゴンから降りるとこの辺境の街を収める領主、フレイド・フォン・ガスト辺境伯様とマーリン達のクラスメイトだと言うアルベルト・フォン・ガスト様の2人と多くの騎士達が待っていた。
  簡単な手紙を持たせた鳥を飛ばしたので、ここで待っていてくれたのだろう。

「久しいなフレイド卿、アル」

「お久しぶりでございます殿下」

「お久しぶりです」

  2人の貴族とレオが挨拶を交わすのを待つ。

「それで殿下、本日は一体どう言った御用でしょうか?
  随分と急な来訪ですが」

  レオとシアが事情を説明する。
  俺が勇者であると説明された2人はとても驚いていたがすぐにユウさんの店に行く為に馬車を手配してくれた。
  領主であるフレイド様は政務の為に領主邸に戻るがアルベルト様が案内の為に同行してくれる事になった。
  
「ユウさんのお店はここからすぐだ。
  彼女ならきっと治してくれるさ」

「ありがとうございます、アルベルト様」

「はは、僕のことはアルで良いよ。
  レオもシアも愛称で呼んでるんだろう?」

「あ、ありがとう、アル」

「ねぇアル、ユウ先生は今はガストにいるの?」

  マーリンは薬師のユウさんが仕事でガストに居ない可能性を考えていたようだ。
  確かにAランク冒険者ならば大陸中を飛び回っていてもおかしくは無い。

「それなら大丈夫だよ。
  ユウさんは最近は辺境の周辺での仕事を中心に受けているらしいからね。
  なんでも修行や研究を重ねているみたいでね」

「修行か……必要か?」

「レオ様、前にお話したではないですか」

「ああ、魔王リセルシアだったか」

  旅の途中で聞いた話だがユウさんも魔王の1人と戦って敗北したらしい。
  その為、修行して力を付けて居るのだろう。
  
「あっ見えてきた、あの店だよ」
 
  アルが指差したのはこじんまりとした小さな店だった。
  
「雷鳥の止まり木か……」

  俺達はオープンの看板が掛けられた扉を開き店の中に足を踏み入れた。
しおりを挟む
感想 890

あなたにおすすめの小説

【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!

まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。 そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。 その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する! 底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる! 第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

職業・遊び人となったら追放されたけれど、追放先で覚醒し無双しちゃいました!

よっしぃ
ファンタジー
この物語は、通常1つの職業を選定する所を、一つ目で遊び人を選定してしまい何とか別の職業を、と思い3つとも遊び人を選定してしまったデルクが、成長して無双する話。 10歳を過ぎると皆教会へ赴き、自身の職業を選定してもらうが、デルク・コーネインはここでまさかの遊び人になってしまう。最高3つの職業を選べるが、その分成長速度が遅くなるも、2つ目を選定。 ここでも前代未聞の遊び人。止められるも3度目の正直で挑むも結果は遊び人。 同年代の連中は皆良い職業を選定してもらい、どんどん成長していく。 皆に馬鹿にされ、蔑まれ、馬鹿にされ、それでも何とかレベル上げを行うデルク。 こんな中2年ほど経って、12歳になった頃、1歳年下の11歳の1人の少女セシル・ヴァウテルスと出会う。凄い職業を得たが、成長が遅すぎると見捨てられた彼女。そんな2人がダンジョンで出会い、脱出不可能といわれているダンジョン下層からの脱出を、2人で成長していく事で不可能を可能にしていく。 そんな中2人を馬鹿にし、死地に追い込んだ同年代の連中や年上の冒険者は、中層への攻略を急ぐあまり、成長速度の遅い上位職を得たデルクの幼馴染の2人をダンジョンの大穴に突き落とし排除してしまう。 しかし奇跡的にもデルクはこの2人の命を救う事ができ、セシルを含めた4人で辛うじてダンジョンを脱出。 その後自分達をこんな所に追い込んだ連中と対峙する事になるが、ダンジョン下層で成長した4人にかなう冒険者はおらず、自らの愚かな行為に自滅してしまう。 そして、成長した遊び人の職業、実は成長すればどんな職業へもジョブチェンジできる最高の職業でした! 更に未だかつて同じ職業を3つ引いた人物がいなかったために、その結果がどうなるかわかっていなかった事もあり、その結果がとんでもない事になる。 これはのちに伝説となる4人を中心とする成長物語。 ダンジョン脱出までは辛抱の連続ですが、その後はざまぁな展開が待っています。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

異世界の片隅で引き篭りたい少女。

月芝
ファンタジー
玄関開けたら一分で異世界!  見知らぬオッサンに雑に扱われただけでも腹立たしいのに 初っ端から詰んでいる状況下に放り出されて、 さすがにこれは無理じゃないかな? という出オチ感漂う能力で過ごす新生活。 生態系の最下層から成り上がらずに、こっそりと世界の片隅で心穏やかに過ごしたい。 世界が私を見捨てるのならば、私も世界を見捨ててやろうと森の奥に引き篭った少女。 なのに世界が私を放っておいてくれない。 自分にかまうな、近寄るな、勝手に幻想を押しつけるな。 それから私を聖女と呼ぶんじゃねぇ! 己の平穏のために、ふざけた能力でわりと真面目に頑張る少女の物語。 ※本作主人公は極端に他者との関わりを避けます。あとトキメキLOVEもハーレムもありません。 ですので濃厚なヒューマンドラマとか、心の葛藤とか、胸の成長なんかは期待しないで下さい。  

スキル『日常動作』は最強です ゴミスキルとバカにされましたが、実は超万能でした

メイ(旧名:Mei)
ファンタジー
この度、書籍化が決定しました! 1巻 2020年9月20日〜 2巻 2021年10月20日〜 3巻 2022年6月22日〜 これもご愛読くださっている皆様のお蔭です! ありがとうございます! 発売日に関しましては9月下旬頃になります。 題名も多少変わりましたのでここに旧題を書いておきます。 旧題:スキル『日常動作』は最強です~ゴミスキルだと思ったら、実は超万能スキルでした~ なお、書籍の方ではweb版の設定を変更したところもありますので詳しくは設定資料の章をご覧ください(※こちらについては、まだあげていませんので、のちほどあげます)。 ────────────────────────────  主人公レクスは、12歳の誕生日を迎えた。12歳の誕生日を迎えた子供は適正検査を受けることになっていた。ステータスとは、自分の一生を左右するほど大切であり、それによって将来がほとんど決められてしまうのだ。  とうとうレクスの順番が来て、適正検査を受けたが、ステータスは子供の中で一番最弱、職業は無職、スキルは『日常動作』たった一つのみ。挙げ句、レクスははした金を持たされ、村から追放されてしまう。  これは、貧弱と蔑まれた少年が最強へと成り上がる物語。 ※カクヨム、なろうでも投稿しています。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

処理中です...