282 / 418
神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第2部 《精霊の紋章》
87話 鍛冶と芸術の国
しおりを挟む
さて、後やっておく事は…………ああ、コレが有りましたね。
わたしはアイテムボックスから数本の短剣を取り出しメリンダさん達に差し出しました。
「わたしは復讐は悪い事だとは思いませんよ。
こっちのアホはフレイド辺境伯様に引き渡すのでダメですが、あっちのバカなら構いません」
わたしはバカールを指差します。
メリンダさん達は少し驚いた顔をしました。
「アホール以外は生死問わずと言われていますからね。
出来れば生かしてある方が良いですがバカールなら最悪死んでも良いです。
勿論、無理にとは言いません」
わたしの言葉に戸惑っていたメリンダさん達でしたがメリンダさんを始め元冒険者の3人はすぐに短剣を手に取りました。
もう1人の女性は村娘だったらしく、血生臭いのは苦手な様です。
短剣を手にした3人はバカールにゆっくりと近付きます。
「ひっ、ひっ、や、止めろ!
お前ら、俺が誰か分かっているのか!
止めろ、く、来るな!
来たら殺すぞ!
や、止めがぁぁあ!」
哀れですね。
バカールは3人に滅多刺しにされています。
あの3人はみんな元冒険者、すぐに死なない様に急所を避けて苦しめる様に刺していますが、わざとでしょう。
特に身体中に鞭の痕が有った女性、カムパネルラさんが笑顔でナイフを振るう姿は、見ているだけのわたしも恐怖を覚えます。
アホール男爵は息子が血塗れになるって行くのを見て、恐怖に震えている。
因果応報って奴ですね。
わたしは屋敷を包囲しているであろうフレイド様の騎士達に連絡を取るべく、召喚したままだったハクを向かわせるのでした。
===========================
ドワーフの国であるロックドック王国はいくつもの山脈が連なる険しい土地に存在する。
その王都には、巨大な岩『母なる岩』を繰り抜く様に造られた王城を中心に頑丈な石造りの街並みが広がっていた。
この街を構成する建物は皆、遠目には無骨な石造りに見えるが、よく見ると細部に精緻な彫刻が施されていたり、優美な飾り掘りが刻まれている。
そして、王都の至る所から煙がたちのぼる。
それらは殆どが鍛冶師の工房である。
一見、岩だらけで無骨なこの国こそ、名剣や名槍の生まれる職人の国であり、大陸中の芸術家の憧れの聖地なのだ。
王都の門でジョバンニと別れた俺達は、精霊の庭について情報を得る為、冒険者ギルドへと向かう事になった。
スイングドアを抜けると見慣れた冒険者ギルドが目に入る。
冒険者ギルドの作りは何処のギルドでも大して変わらない。
何か決まりでもあるのかと聞いた事もある。
冒険者は旅から旅への生活をしている者も多い。
そう言った冒険者が初めて入る冒険者ギルドでも不自由なく仕事を受けられる様にと、ギルドの作りは統一されているのだと言う説明が受付嬢から帰って来た。
カウンターに向かい歩いて行くとギルド中から値踏みする視線を感じる。
新参者の技量を見極めようと言う視線だ。
ここでビビったりすると舐められてしまう。
俺はヘソの下辺りに力を込めてカウンターへ向かった。
「いらっしゃいませ、ロックドック王国王都の冒険者ギルドにようこそ。
初めて来られた方ですね」
「はい、俺達はDランクパーティ《精霊の紋章》です。
しばらくこの国に留まるつもりなのでよろしくお願いします」
「私はターナと言います。
よろしくお願いします」
ドワーフ族の女性、ターナさんからこの国のギルドの決まりを説明してもらう。
だいたい他の国のギルドと変わらないな。
説明が終わったので早速精霊の庭についてきいてみる事にした。
「はい、精霊の庭ですか、少々お待ち下さい」
ターナさんは1度、裏に引っ込むと何かのファイルを持って帰って来た。
「精霊の庭は王都から5日ほど……」
「ちょっと!
なんでダメなのよ!」
ターナさんの説明を遮る様に大きな声がギルドに響いた。
「私はDランク冒険者よ!ギルドの出している条件は満たしているわ!」
「ですからザネリさん。
精霊の庭は危険地帯ですからDランク冒険者でもソロは認められないんです。
もっと高ランクの冒険者なら別ですが、Dランク冒険者が単独で精霊の庭に行くなんて危険過ぎます」
どうやらトラブルみたいだ。
そして、精霊の庭はその名に似合わずかなり危険な場所の様だった。
わたしはアイテムボックスから数本の短剣を取り出しメリンダさん達に差し出しました。
「わたしは復讐は悪い事だとは思いませんよ。
こっちのアホはフレイド辺境伯様に引き渡すのでダメですが、あっちのバカなら構いません」
わたしはバカールを指差します。
メリンダさん達は少し驚いた顔をしました。
「アホール以外は生死問わずと言われていますからね。
出来れば生かしてある方が良いですがバカールなら最悪死んでも良いです。
勿論、無理にとは言いません」
わたしの言葉に戸惑っていたメリンダさん達でしたがメリンダさんを始め元冒険者の3人はすぐに短剣を手に取りました。
もう1人の女性は村娘だったらしく、血生臭いのは苦手な様です。
短剣を手にした3人はバカールにゆっくりと近付きます。
「ひっ、ひっ、や、止めろ!
お前ら、俺が誰か分かっているのか!
止めろ、く、来るな!
来たら殺すぞ!
や、止めがぁぁあ!」
哀れですね。
バカールは3人に滅多刺しにされています。
あの3人はみんな元冒険者、すぐに死なない様に急所を避けて苦しめる様に刺していますが、わざとでしょう。
特に身体中に鞭の痕が有った女性、カムパネルラさんが笑顔でナイフを振るう姿は、見ているだけのわたしも恐怖を覚えます。
アホール男爵は息子が血塗れになるって行くのを見て、恐怖に震えている。
因果応報って奴ですね。
わたしは屋敷を包囲しているであろうフレイド様の騎士達に連絡を取るべく、召喚したままだったハクを向かわせるのでした。
===========================
ドワーフの国であるロックドック王国はいくつもの山脈が連なる険しい土地に存在する。
その王都には、巨大な岩『母なる岩』を繰り抜く様に造られた王城を中心に頑丈な石造りの街並みが広がっていた。
この街を構成する建物は皆、遠目には無骨な石造りに見えるが、よく見ると細部に精緻な彫刻が施されていたり、優美な飾り掘りが刻まれている。
そして、王都の至る所から煙がたちのぼる。
それらは殆どが鍛冶師の工房である。
一見、岩だらけで無骨なこの国こそ、名剣や名槍の生まれる職人の国であり、大陸中の芸術家の憧れの聖地なのだ。
王都の門でジョバンニと別れた俺達は、精霊の庭について情報を得る為、冒険者ギルドへと向かう事になった。
スイングドアを抜けると見慣れた冒険者ギルドが目に入る。
冒険者ギルドの作りは何処のギルドでも大して変わらない。
何か決まりでもあるのかと聞いた事もある。
冒険者は旅から旅への生活をしている者も多い。
そう言った冒険者が初めて入る冒険者ギルドでも不自由なく仕事を受けられる様にと、ギルドの作りは統一されているのだと言う説明が受付嬢から帰って来た。
カウンターに向かい歩いて行くとギルド中から値踏みする視線を感じる。
新参者の技量を見極めようと言う視線だ。
ここでビビったりすると舐められてしまう。
俺はヘソの下辺りに力を込めてカウンターへ向かった。
「いらっしゃいませ、ロックドック王国王都の冒険者ギルドにようこそ。
初めて来られた方ですね」
「はい、俺達はDランクパーティ《精霊の紋章》です。
しばらくこの国に留まるつもりなのでよろしくお願いします」
「私はターナと言います。
よろしくお願いします」
ドワーフ族の女性、ターナさんからこの国のギルドの決まりを説明してもらう。
だいたい他の国のギルドと変わらないな。
説明が終わったので早速精霊の庭についてきいてみる事にした。
「はい、精霊の庭ですか、少々お待ち下さい」
ターナさんは1度、裏に引っ込むと何かのファイルを持って帰って来た。
「精霊の庭は王都から5日ほど……」
「ちょっと!
なんでダメなのよ!」
ターナさんの説明を遮る様に大きな声がギルドに響いた。
「私はDランク冒険者よ!ギルドの出している条件は満たしているわ!」
「ですからザネリさん。
精霊の庭は危険地帯ですからDランク冒険者でもソロは認められないんです。
もっと高ランクの冒険者なら別ですが、Dランク冒険者が単独で精霊の庭に行くなんて危険過ぎます」
どうやらトラブルみたいだ。
そして、精霊の庭はその名に似合わずかなり危険な場所の様だった。
0
お気に入りに追加
2,355
あなたにおすすめの小説
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる