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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第2部 《精霊の紋章》

85話 オークの分配

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  戦闘音の聞こえた場所に俺達が駆けつけると、1人の冒険者がオークに襲われていた。
  本来なら他の冒険者が魔物と戦っているのなら手出しはしないのがマナーだが、その冒険者は明らかにオークに押されている。
  
「やばそうだな」

「加勢しましょう!」

  俺達は草陰から飛び出し冒険者に襲い掛かっていたオークに不意打ちを仕掛ける。
  6体居たオークの半数は俺達の強襲によって倒れる。

「お前らは⁉︎」

「手を貸すぞ」

「すまん!」
  
  オークに襲われていた男は直ぐに体勢を立て直す。
  
深淵付与アビスエンチェント

  マーリンの付与魔法によって俺達の武器に深淵属性が付与される。
  深淵属性を帯びた武器は単純に威力が上がる。
  炎属性や光属性の様な特殊な効果を付与される訳ではないが武器の扱いが変わらず、特に注意する点も無いので初対面の冒険者と共闘する場合には重宝する魔法だ。
  性能が高い分、制御が難しいらしいがマーリンは5人分の付与を見事に制御している。
  闇の紋章とエレインさんの指導のお陰だろう。
  数の理が無くなったオークが全滅するのに時間は掛からなかった。

「ふぅ、ありがとな。
  お陰で助かったよ」

「構わないさ、君は仲間は居ないのか?」

「ああ、ここ最近はずっとソロだ。
  なるべく安全な依頼を選んでいたんだが採取の帰りにオークの群れに出くわしてしまってな」

「それは災難だったな。
  俺達はDランクパーティ《精霊の紋章》、俺はパーティリーダーのエリオだ」

「Dランク冒険者のジョバンニだ。
  改めて礼を言う」

  俺はジョバンニと握手をするとパーティメンバーを紹介する。

「それでオークの分配はどうする?」

  相変わらずマーリンは現実的だ。
  情緒など微塵もない。

「俺はお前達が取った残りでいい。
  もし、全部持って行けるならそれでも構わない」

  ジョバンニは俺達にオークの優先権を譲るつもりらしい。

「良いのか?」

「ああ、お前達が加勢に来てくれなければ俺は死んでいたからな。
  命が有っただけ儲けものだ」

「では、先に素材を頂きましょう」

  ソフィアがナイフを取り出す。
  ジョバンニを加えた5人で次々とオークを解体していった。
  魔石や皮などの売却できる部位を中心に素材をマジックバッグにしまう。

「エリオ、オークは肝臓より心臓の方が高く売れます。
  こちらを先にしまって下さい」

「わかった」

  「カート、皮はもっと丁寧に剥いで下さい。
  穴が空いたら価値が下がります!」

「悪りぃ」

  以外にもソフィアは金に細かかった。
  残った骨や一部の内臓、肉などをジョバンニがしまうと、残った残骸を地面に埋める。
  野営地の近くで捨てて行くと魔物をおびき寄せてしまうかも知れないからな」


  泉の近くで1夜を過ごした俺達は朝食を済ませ出発の用意をする。

「ジョバンニはこれから何処に向かうんだ?」

「ロックドック王国だ。
  エリオ達は?」

「俺達もロックドック王国だ。
  一緒に行くか?」

「ああ、それは有難い」

  俺達とジョバンニは共にロックドック王国を目指す事になった。
  
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