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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第2部 《精霊の紋章》
59話 反乱の始まり
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演説を終えてレジスタンスは部隊ごとに別れるなか、俺達はロミオの元に集まる。
「エリオ達は俺やマクベスと一緒にリア王の捕縛に向かって貰いたい。
ハムレットは予定通り冒険者達を纏めてキメラ兵の対処を頼む」
「…………わかった、お前を信じよう」
「ねぇロミオ、王宮の情報が手に入った訳は分かったけど例のキメラはどうするつもりなの?
私達じゃAランクのキメラを相手するのは厳しいわよ?」
マーリンの問いかけにロミオの顔には苦笑いが浮かぶ。
「実は俺もまだ聞いてないんだ。
マクベスから問題無いと指示が有っただけだからな」
その場の視線がマクベスに集まる。
マクベスは複数の視線に晒されながらも涼しい貌をしている。
「すまないが教える事は出来ない。
だが、Aランクのキメラは大丈夫だ」
マーリンが少しムッとした顔をする。
「私達にそれを信じろって言うの?」
「マーリン、マクベスは信用出来る。
俺を信じて欲しい」
ロミオの執り成しにマーリンは一息吐くと少し語気を和らげた。
「…………まぁ、良いわ。
でも、何で教える事が出来ないかくらいは教えてくれても良いんじゃない?」
そのとにはマクベスも頷いた。
「そうだな…………誰にも言わない事がAランクキメラを始末する条件なんだ」
「マクベス、それは俺にも言えない事なのか?」
「すまない、誰にも言う事は出来ない」
ロミオの言葉にもマクベスの言葉は変わらなかった。
「そうか……わかった。
マクベスがそう言うのなら必要な事なんだろう。
俺はマクベスを信じる。
みんなも俺を信じて、マクベスを信じて欲しい」
「まぁ、良いわ。
それで、私達はリア王を確保するのよね?」
一応、納得したのか、マーリンはこれからの段取りの話を始める。
正直、俺もカートもこの手の打ち合わせは苦手なのでマーリンが居てくれて助かっている。
「ああ、キメラ兵はジュリエットやハムレット達に任せて構わない。
第1目標はリア王、次にゴリネル、ダンカンの順で優先する。
エリオ、マーリン、カート、ソフィアは俺とマクベスに同行して欲しい」
「わかった」
「よし、すでに王宮は動き始めている。
俺達も王宮に向かおう」
これだけ堂々と武装した市民が1箇所に集まっているのだから王宮に気付かれるのは当然だろう。
すでに、王宮の動向を見張っていたレジスタンスのメンバーから兵士が集まっているのと報告が入っていた。
「よし、行こう」
俺達は外に用意していた馬に乗って王宮へと駆けて行く。
周囲にはすでにレジスタンスと兵士が戦闘を始めている。
戦乱は王宮の敷地内にも巻き起こっており、周囲にはレジスタンス、兵士問わずいくつもの死体が転がっていた。
前を駆けるマクベスの顔を伺う事は叶わないが、その身から発する気配からは、大きな悲しみと激しい怒りを感じられた。
悲鳴と雄叫びの中を駆け抜けた俺達は、とうとう王宮の敷地内に到達した。
普段は兵士に護られている筈の城門は破壊されており、右側の扉が砕け倒れていて、『侵入者を防ぐ』と言う本来の役割は果たせそうにない。
門を護っていたであろう兵士は、すでに物言わぬ骸として打ち捨てられている。
城の入り口が視界に入って来ると、入り口近くで戦っている者達が目に飛び込んできた。
馬を飛び降り、戦っている2人の方に走り寄る。
すると、戦っていたレジスタンスの男と兵士も俺達に気付く。
「マクベス様、お逃げ下さい!
民衆どもが反乱をがぎゃあ」
意外にもマクベスを逃がそうと声を上げた兵士をそのマクベスが一刀の元に切り捨てる。
「………………」
マクベスは自らが殺した兵士に数秒だけ視線を送っていたが、すぐに視線を外した。
「行こう、リア王を捕らえてこの戦いを終わらせなければならない」
マクベスのその言葉は誰に向けられた物か…………おそらくは、マクベス自身に向けた言葉だったのだろう。
「エリオ達は俺やマクベスと一緒にリア王の捕縛に向かって貰いたい。
ハムレットは予定通り冒険者達を纏めてキメラ兵の対処を頼む」
「…………わかった、お前を信じよう」
「ねぇロミオ、王宮の情報が手に入った訳は分かったけど例のキメラはどうするつもりなの?
私達じゃAランクのキメラを相手するのは厳しいわよ?」
マーリンの問いかけにロミオの顔には苦笑いが浮かぶ。
「実は俺もまだ聞いてないんだ。
マクベスから問題無いと指示が有っただけだからな」
その場の視線がマクベスに集まる。
マクベスは複数の視線に晒されながらも涼しい貌をしている。
「すまないが教える事は出来ない。
だが、Aランクのキメラは大丈夫だ」
マーリンが少しムッとした顔をする。
「私達にそれを信じろって言うの?」
「マーリン、マクベスは信用出来る。
俺を信じて欲しい」
ロミオの執り成しにマーリンは一息吐くと少し語気を和らげた。
「…………まぁ、良いわ。
でも、何で教える事が出来ないかくらいは教えてくれても良いんじゃない?」
そのとにはマクベスも頷いた。
「そうだな…………誰にも言わない事がAランクキメラを始末する条件なんだ」
「マクベス、それは俺にも言えない事なのか?」
「すまない、誰にも言う事は出来ない」
ロミオの言葉にもマクベスの言葉は変わらなかった。
「そうか……わかった。
マクベスがそう言うのなら必要な事なんだろう。
俺はマクベスを信じる。
みんなも俺を信じて、マクベスを信じて欲しい」
「まぁ、良いわ。
それで、私達はリア王を確保するのよね?」
一応、納得したのか、マーリンはこれからの段取りの話を始める。
正直、俺もカートもこの手の打ち合わせは苦手なのでマーリンが居てくれて助かっている。
「ああ、キメラ兵はジュリエットやハムレット達に任せて構わない。
第1目標はリア王、次にゴリネル、ダンカンの順で優先する。
エリオ、マーリン、カート、ソフィアは俺とマクベスに同行して欲しい」
「わかった」
「よし、すでに王宮は動き始めている。
俺達も王宮に向かおう」
これだけ堂々と武装した市民が1箇所に集まっているのだから王宮に気付かれるのは当然だろう。
すでに、王宮の動向を見張っていたレジスタンスのメンバーから兵士が集まっているのと報告が入っていた。
「よし、行こう」
俺達は外に用意していた馬に乗って王宮へと駆けて行く。
周囲にはすでにレジスタンスと兵士が戦闘を始めている。
戦乱は王宮の敷地内にも巻き起こっており、周囲にはレジスタンス、兵士問わずいくつもの死体が転がっていた。
前を駆けるマクベスの顔を伺う事は叶わないが、その身から発する気配からは、大きな悲しみと激しい怒りを感じられた。
悲鳴と雄叫びの中を駆け抜けた俺達は、とうとう王宮の敷地内に到達した。
普段は兵士に護られている筈の城門は破壊されており、右側の扉が砕け倒れていて、『侵入者を防ぐ』と言う本来の役割は果たせそうにない。
門を護っていたであろう兵士は、すでに物言わぬ骸として打ち捨てられている。
城の入り口が視界に入って来ると、入り口近くで戦っている者達が目に飛び込んできた。
馬を飛び降り、戦っている2人の方に走り寄る。
すると、戦っていたレジスタンスの男と兵士も俺達に気付く。
「マクベス様、お逃げ下さい!
民衆どもが反乱をがぎゃあ」
意外にもマクベスを逃がそうと声を上げた兵士をそのマクベスが一刀の元に切り捨てる。
「………………」
マクベスは自らが殺した兵士に数秒だけ視線を送っていたが、すぐに視線を外した。
「行こう、リア王を捕らえてこの戦いを終わらせなければならない」
マクベスのその言葉は誰に向けられた物か…………おそらくは、マクベス自身に向けた言葉だったのだろう。
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