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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第2部 《精霊の紋章》

56話 集結する反逆者達

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  人気のない街を進む。
  やがて、元々乏しかった人の姿がさらに減りとうとう誰の姿も見る事が出来なくなる。
  隣を歩く人物の顔はフードで隠されていて窺う事は出来ないが、それはお互い様なので仕方ない。
  そして、目的地である寂れた酒場に到着した。
  酒場に入るとカウンターで不機嫌そうなマスターがこちらに視線を向けて来た。
  客席には3人の男が詰まらなそうにグラスを煽っている。

「マスター、『この店で1番強い酒をくれ。
  それと腸詰め肉をボイルとソテーで1つずつ、マスタードは別皿で頼む。
  今日は暑いからな少し冷まして持って来てくれ』」

「奥から2番目の扉だ」

  俺の言葉を聞いたマスターは鍵を1つ取り出し差し出した来た。
  酒と料理ではなく鍵を出したと言う事はあの3人は問題無いのだろう。
  少し窺うと3人は既に武器から手を離していた。
  俺達は店の奥に入るとマスターの言う通り、鍵を使って2番目の扉を開く。
  その部屋には椅子に座った男が1人と鉄製の扉があるだけだった。
  男は立ち上がり、腰の剣に手をかける。
  しかし、俺は男を無視して鉄製の扉をノックした。

コン コンココンコン

「『その手に掲げる物は?』」

「『弱者の剣』」

  俺の返答を聞くと鉄製の扉が開く。
  同時に部屋に居た男が剣から手を離し椅子に座りなおした。

「入れ」

  内側から扉を開けた男が男達を招き入れる。
  扉を先には地下に続く階段があり、俺達もその階段を降りて行く。
  そして、先には降りた男が階段の先に有った扉に合言葉を伝えて中から開けてもらう。
  この最後の扉は彼のみが開けられる事になっている。
  開いた扉から部屋に入った俺を仲間が迎えてくれた。

「遅かったな、エリオ、マーリン」

「悪いなカート」

「少し手間取ったのよ」

  先には到着していたカート合流した俺達にもう1人の人物が話しかけて来る。

「2人ともご苦労様、問題は無かったかい?」

「ああ、ロミオ。
  隣の村への連絡は問題無い」

「帰りに野盗に襲われたけど始末しておいたわ」

  彼は王都に入って来た時に王族に見た攫われた女性ジュリエットの旦那だ。
  彼女もすでに帰って来ている。
  あのマクベスと言う王子は女性強引に連れ帰り、飽きたら放り出すと言う事を繰り返しているらしい。
  ジュリエットもすでに何度も攫われては放り出されているそうだ。
  それでも殺されないだけ他の王子や国王よりましだと言う。
  ロミオとジュリエットはこのヤナバル王国の現政権を打倒する為に結成されたレジスタンスの幹部だ。
  そして俺達は来たる革命に向けて、レジスタンスに雇われる事になった。
  コレは大きな賭けだ。
  もし、反乱が失敗すれば、俺達は国家反逆の咎で死罪となる。
  しかし、今のグズ王から国宝である精霊の力を宿したアイテムを譲ってもらう事は不可能だ。
  だから俺達はレジスタンスに協力してこの国をひっくり返す事に決めたのだ。
  そして、革命が成功した時には俺達の望むアイテムを1つ受け取る事になっている。

「皆んな、来てくれ」

  ロミオに呼ばれた俺達は奥の部屋に入る。
  この地下室はレジスタンスが何年も掛けて作り上げたアジトの1つだ。
  部屋の中には3人の人間が居た。

「オセロ、彼らがDランクパーティ《精霊の紋章》だ。
  エリオ、彼はオセロ、レジスタンスの幹部の1人で武器や情報の収集を担当している」

  ロミオに紹介されたのは行商人風の男性だ。
  オセロは俺と握手しながら後ろの2人に自己紹介を促す。
  2人はこの街まで、オセロを護衛して来た冒険者らしい。
  
「俺はハムレット、この国出身の冒険者だ。
  他国で活動していたがレジスタンスの噂を聞いて戻ってきた。
  よろしく頼む」

「わたしはソフィアです。
  イザール神聖国出身の冒険者で、旅の途中この国の腐敗を知り、苦しむ民を救う一助になればとレジスタンスに参加しました」

  ハムレットは左右の腰にレイピアを吊るした男、ソフィアは要所を鋼で補強した革鎧を着て、ショートソードとサークルシールドを装備している。

「この3人はこれから俺達、本隊と行動を共にする。
  よろしく頼む」

「最近、他の街や村からの合流が多いな」

「ああ、近い内に最後の戦いが始まる。
  そのつもりで準備を頼む」

  決戦の時は近いと言う事か。
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