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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第2部 《精霊の紋章》

55話 素材の山

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「うん、もう大丈夫ですね。
  龍呪病は完治しましたよ」

「ありがとうございます、ユウさん」

  わたしは検査薬を片付けながらアルッキさんの娘、パーニャさんと小粋なトークなどを交わします。
  
「入るぞ」

  食堂にサンドイッチを買いに行っていたアルッキさんが帰って来ました。

「お父さん、ユウさんがもう大丈夫だって」

「おお! そうか、良かった、良かったな!」

  アルッキさんはパーニャさんの手を取りひとしきり喜んだ後、真面目な顔になり、わたしの方に向き直るとその場に腰を下ろし胡座をかくと、床に両拳をつけ深々と頭を下げました。

「嬢ちゃん……いやユウ殿。
  この度は世話になった。感謝する」


「いえいえ、頭を上げて下さい。
  そして是非、わたしの新しい武器を造って貰いたいのですが?」

「ああ、勿論だ。
  大地の民、エルバの息子アルッキ、先祖と父の名にかけて最高の武器を造る事を約束する」

  ふふふ、とうとうここまで来ました。
  何だかとても長かった気がします。



  翌日、アルッキさんに呼ばれて王都の鍛冶屋にやって来ました。
  何でも炉を借りたのだそうです。
  店に入るとアルッキさんとパーニャさん、それと鍛冶屋のご主人が待っていました。

「おお、ユウ殿待っていたぞ」

「おはようございます。
  お待たせしました、それと嬢ちゃんでいいですよ」

「ん?そうか、じゃあ嬢ちゃん何か素材はあるか?  
  無いならこの国で手に入る最高の品質の物を用意するが?」

「そうですね……何が良いかわからないので手持ち素材を出すので見て貰えますか?」

「わかった。
  キース、作業台を使うぞ」

「ああ、好きに使ってくれ」

  鍛冶屋のご主人キースさんが扉を開けて作業場に案内してくれます。

「すみませんね、キースさん。
  お手間をかけます」

「なに、気にしないでくれ。
  あの名工アルッキ殿の仕事を間近で見られるんだ。
  むしろ感謝しているよ」

  なるほど、そう言う考えでしたか。
  作業場にある大きな机の上に素材を積み上げて行きます。

「こ、コレは⁉︎」

「す、凄いです!」

「…………これ程とはな」

  アルッキさんとキースさん、パーニャさんは、わたしが取り出した大量の素材を見て驚いています。

「おいおい、こりゃエンシェントトレントじゃねぇか⁉︎
  こっちはブレードフィッシュの刃だな。
  でもかなりデカい、特殊個体か?」

「こ、これヒヒイロカネです。
  オリハルコンやアダマンタイトも」

「これは竜種の素材だな。
  ストーンドレイクの物に見えるが纏っている魔力が異常に高いな」

  3人が素材を手に騒ぎ始めました。
  それにしても、パーニャさんもそちらがわでしたか。
  彼女は興奮した顔でインゴットを小さなハンマーで叩いています。

「あとは、コレくらいですね」

  わたしが最後に取り出しのはスケルトンドラゴンから得た大きな魔石です。

「デカいな!」

「それにこいつは属性持ちの魔石たぞ」

「闇属性……もしかしたら上位の深淵属性かも」

「良いのか嬢ちゃん?
  こいつは王族にでも売り払えば一生遊んで暮らせるぞ?」

「良いですよ、使って下さい。
  別にお金には困っていませんからね」

「確かにユウさんの腕なら薬師としても冒険者としてもお金には困らないよね」

「まぁ、取り敢えずこれで造れる最高の戦斧をお願いします。
  もし必要な物が有ればコレで」

  必要経費として白金貨の入った革袋も追加しておきます。

「………………嬢ちゃんがとんでもない奴だって事はわかった」

  それを見たアルッキさんが呆れたようにわたしに視線を送っています。
  そっと革袋を覗いたパーニャさんが青くなりキースさんが頭を抱えていました。
  解せぬ!



  完成したら連絡してくれるとのことなので、わたしはリーブン王国の王都を観光する事にしました。
  そして、ブラブラとしていると錬金術師さんのアトリエを見つけたのです。
  工房ではなくアトリエです。
  何故なら錬金術師だからです。
  わたしは、くだらない事を考えながら《錬金工房世界樹》と書かれた看板が下げられているお店に入ります。

「いらっしゃい」

  中にはエルフの少女が1人店番をしていました。
  壁一面の棚には商品のマジックアイテムがズラリと並び、また、魔導書や錬金術関係の書物も充実しています。

 「何かお探しですか?」

「実は作成をお願いしたい物が有るんです」

  わたしはこの機会に前々から欲しかった物の作成を依頼する事にしたのです。
  
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