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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第2部 《精霊の紋章》
52話 探し人
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今回、わたしが探している人物、ガルフさんのお師匠様、ドワーフの名工アルッキさんが東側の宿に滞在しているとの情報を得て街の東側へとやって来ました。
そして、情報に有った宿、水馬の蹄亭のドアを開けると、1階の食堂スペースから大きな声が聞こえて来ました。
「待ってくれ!頼む!もうあんただけが頼りなんだ!」
「申し訳ないが私にはどうする事も出来ない」
「だがっ!……あんたは王都で最高の錬金術師なんだろ!」
「私にも出来る事と出来ない事がある」
筋肉質なドワーフが大声を上げています。
そして、おそらくあのドワーフがアルッキさんです。
ガルフさんに聞いた通り、顔の横にはしる大きな火傷の跡が有ります。
相手はエルフの様ですが話の内容から有名な錬金術師なのでしょう。
「そこを何とか、頼む!金なら幾らでも払う!」
「幾ら積まれても不可能だ」
「そんな……それじゃ、何のためにこの国に……」
何だか修羅場っぽいですね。
『済みません、ちょっと戦斧造って下さい』とは言いづらいです。
取り敢えずあのエルフの錬金術師さんとのお話が終わるまで待ちましょう。
なんだか落ち込んでしまったアルッキさん。
錬金術師さんも不憫に思ったのはしばらく腕を組み考えると口を開きました。
「もしかしたらの話だが1つだけ心当たりがある」
「ほ、本当か!」
「落ち着いてくれ、本当に『もしかしたら』だ。
私もあくまで噂で聞いただけだからな」
「それでも良い、教えてくれ!」
錬金術師さんは軽く辺りを窺うと少し声を落とし話始めます。
「ミル…………の…………れ………知って……その………………師…………噂……………もしか………………」
んーよく聞こえませんね。
まぁ、盗み聞きは行儀が悪いですからね。
しばらくすると話が終わったみたいでエルフの錬金術師さんとアルッキさんは握手をしてから別れました。
錬金術師さんが宿から出て行ったのを確認したわたしは、アルッキさんに声を掛けます。
「済みません、鍛治師のアルッキさんでしょうか?」
「ん、そうだが?」
「わたしはAランク冒険者のユウと言います。
ガストの鍛治師ガルフさんに紹介を受けまして、アルッキさんに武器を造って頂きたく、この国まで来たのですが……」
「断る」
「え、そ、そこを何とかお願い出来ませんか?
あ、あとガルフさんからの手紙も預かっています」
わたしが差し出す手紙を受け取ったアルッキさんは一読し手紙を懐に収めました。
「断る」
ガルフさんからの紹介状を読んでもアルッキさんの意思は変わりません。
彼は某ス○ンド使いの様にキッパリと断ります。
一体何故武器を造ってくれないのでしょうか?
「何故でしょうか?
何か理由があるのですか?」
「俺には今はやらねばならない事がある。
武器なんぞ造っている暇はない!」
アルッキさんの迫力から強い決意を感じます。
「やらなければならない事とは?」
「ガルフに紹介されたって事はお前はミルミット王国の冒険者だな」
「はい」
「なら石化の病に侵された令嬢の噂は知っておるだろう。
俺は何としてもその令嬢を治療した薬師を探し出さねばならんのだ!」
「…………………………ん?」
そして、情報に有った宿、水馬の蹄亭のドアを開けると、1階の食堂スペースから大きな声が聞こえて来ました。
「待ってくれ!頼む!もうあんただけが頼りなんだ!」
「申し訳ないが私にはどうする事も出来ない」
「だがっ!……あんたは王都で最高の錬金術師なんだろ!」
「私にも出来る事と出来ない事がある」
筋肉質なドワーフが大声を上げています。
そして、おそらくあのドワーフがアルッキさんです。
ガルフさんに聞いた通り、顔の横にはしる大きな火傷の跡が有ります。
相手はエルフの様ですが話の内容から有名な錬金術師なのでしょう。
「そこを何とか、頼む!金なら幾らでも払う!」
「幾ら積まれても不可能だ」
「そんな……それじゃ、何のためにこの国に……」
何だか修羅場っぽいですね。
『済みません、ちょっと戦斧造って下さい』とは言いづらいです。
取り敢えずあのエルフの錬金術師さんとのお話が終わるまで待ちましょう。
なんだか落ち込んでしまったアルッキさん。
錬金術師さんも不憫に思ったのはしばらく腕を組み考えると口を開きました。
「もしかしたらの話だが1つだけ心当たりがある」
「ほ、本当か!」
「落ち着いてくれ、本当に『もしかしたら』だ。
私もあくまで噂で聞いただけだからな」
「それでも良い、教えてくれ!」
錬金術師さんは軽く辺りを窺うと少し声を落とし話始めます。
「ミル…………の…………れ………知って……その………………師…………噂……………もしか………………」
んーよく聞こえませんね。
まぁ、盗み聞きは行儀が悪いですからね。
しばらくすると話が終わったみたいでエルフの錬金術師さんとアルッキさんは握手をしてから別れました。
錬金術師さんが宿から出て行ったのを確認したわたしは、アルッキさんに声を掛けます。
「済みません、鍛治師のアルッキさんでしょうか?」
「ん、そうだが?」
「わたしはAランク冒険者のユウと言います。
ガストの鍛治師ガルフさんに紹介を受けまして、アルッキさんに武器を造って頂きたく、この国まで来たのですが……」
「断る」
「え、そ、そこを何とかお願い出来ませんか?
あ、あとガルフさんからの手紙も預かっています」
わたしが差し出す手紙を受け取ったアルッキさんは一読し手紙を懐に収めました。
「断る」
ガルフさんからの紹介状を読んでもアルッキさんの意思は変わりません。
彼は某ス○ンド使いの様にキッパリと断ります。
一体何故武器を造ってくれないのでしょうか?
「何故でしょうか?
何か理由があるのですか?」
「俺には今はやらねばならない事がある。
武器なんぞ造っている暇はない!」
アルッキさんの迫力から強い決意を感じます。
「やらなければならない事とは?」
「ガルフに紹介されたって事はお前はミルミット王国の冒険者だな」
「はい」
「なら石化の病に侵された令嬢の噂は知っておるだろう。
俺は何としてもその令嬢を治療した薬師を探し出さねばならんのだ!」
「…………………………ん?」
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