神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ

文字の大きさ
上 下
240 / 418
神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第2部 《精霊の紋章》

45話 情報収集(脅迫)

しおりを挟む
「それでは村長様、今まで大変お世話になりました。 
  またいずれ、必ず戻って来ます」

「お待ちしております。
  この村はモーリスの故郷ですからな」

「ふふふ、では」

  ローザさんとレインさんを乗せ、帝都を目指し、大空を飛びます。
  空の旅は順調で、盗賊ゴミも落ちていません。
  綺麗なものです。
  
「綺麗な景色ですね。
  まさか、サンダーバードに乗って空を飛ぶ日が来るとは思ってもいませんでした」

「そうだな、この光景を見ると人間なんてちっぽけな存在なんだって事が分かる」

  この世界では空を飛ぶのはとてもレア体験です。
  滅多にいない飛行可能な大型の魔物をティムしたテイマーか、希少な飛空船くらいしか有りません。
  2人は初めて目にする高所からの景色に感動している様です。
  

  無事、グリント帝国の帝都に到着し街の中に入ります。
  特に事件などは起こりませんでした。
  当然です。
  村から帝都までは直線距離ならとても近いのです。
  問題と言うほどではないですが、ローザさんとレインさんはギルドカードや市民証を持っていなかったので犯罪歴を確認するマジックアイテムを使って入りました。
  その程度です。

「これから直ぐに宮廷に向かいますか?」

「そうですね……いえ、一旦冒険者ギルドに寄ろうと思います。
  冒険者ギルドならアンデッドの被害や目的などの情報があるかも知れません」

「なるほど」

  帝都の軋まないスイングドアを開けギルドに入ります。
  流石帝都のギルドです。
  とても活気が有ります。

「ん? おいガキ!
  ここはてめぇみてぇなばがぅ」

  いつもの挨拶を済ませカウンターへ向かいます。
  なぜかローザさんとレインさんが苦笑いしていますが何かあったのでしょうか?

「ん?」

  カウンターに向かって歩いていたとき、視界の隅に映った人物が何か引っかかりました。

「んんんーん?」

「どうしたのですか?ユウさん」

「何かあったのか?」

  他の冒険者の影に隠れる様にわたしの視線から逃げていた奴を見つけました。
  これはラッキーです。
  冒険者ギルドより良い情報が手に入るかも知れません!
  わたしはギルドに併設された酒場に足を踏み入れると人混みを割りズンズン進みます。
  目的の人物の肩にポンと手を置き話しかけます。

「お久しぶりですね」

「………………誰かと間違えてないか?」

「ほぅ、わたしにそんな口を聞いて大丈夫ですか?」

「ユウ、そいつは?」

「お知り合いですか?」

「知り合い…………まぁ、知らない事はないと言う程度ですが…………この帝都の裏を牛耳る犯罪組織の幹……」

「待て待て待て!
  おい!
  こんな酒場の真ん中で何を!」

  わたしの口を塞いで来た手を払いのけ、笑顔で告げます。

「実はお願いが有るのですが?」

「はぁ、なんで俺が……」

「みなさーん、彼は犯罪そ…もが!」

「ははは、じ、冗談が過ぎるぞ、ユウさん。
  頼みってのを聞こうじゃないか」

  改めて周りに話が聞こえづらいそうな端の席に座りなおしたわたしは、ここ帝都に巣食う犯罪組織、高き釣鐘の幹部バランを脅し……お願いして情報を教えて貰う事にします。

「で、俺に何をしろってんだ?」

「情報が欲しいだけですよ。
  最近帝都の周辺でアンデッド絡みの事件などは起こりませんでしたか?」

「はぁ?
  そんなのギルドに聞けば良いじゃねぇか!」

「みなさ……」

「わかった、わかった、俺が悪かった!
  えーと最近だと……エルムの町でゾンビが数体現れたらしいな……それと西の森でスケルトンウルフが何体か目撃されて今朝、討伐依頼を受けた冒険者が出発した。
  それからキートン村の墓荒らしはグールの仕業だったらしい。
  すでに討伐済みだがな。
  こんなもんだ」

「うーん、そうですか……」

「どれも関係なさそうだな」

「そうですね。
  村からは反対方向ですし……」

「あぁ!あとこれは関係あるのか分からないが、ロックスと言う街で裏稼業の死霊術師が1人行方不明になっている。
  アモンと言う男でガリガリの優男だ」

  ローザさんやレインさんと顔を見合わせました。

「もしかしてあのレッサーリッチでしょうか?」

「どうだろうな?
  可能性は結構高いと思うぞ」

「俺が知っている情報はこんなもんだ」

「そうですか、ありがとうございました」

  席を立ちながら一応お礼を言っておきます。

「はぁ、本当なら情報料を貰うところだぞ」

「わたしはあなたを宮廷の拷問官に突き出して報奨金を貰っても良かったのですよ?」

「…………マジ、勘弁してください」

  取り敢えずの情報を仕入れたわたし達は改めて宮廷に向かうのでした。

  
しおりを挟む
感想 890

あなたにおすすめの小説

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

修学旅行に行くはずが異世界に着いた。〜三種のお買い物スキルで仲間と共に〜

長船凪
ファンタジー
修学旅行へ行く為に荷物を持って、バスの来る学校のグラウンドへ向かう途中、三人の高校生はコンビニに寄った。 コンビニから出た先は、見知らぬ場所、森の中だった。 ここから生き残る為、サバイバルと旅が始まる。 実際の所、そこは異世界だった。 勇者召喚の余波を受けて、異世界へ転移してしまった彼等は、お買い物スキルを得た。 奏が食品。コウタが金物。紗耶香が化粧品。という、三人種類の違うショップスキルを得た。 特殊なお買い物スキルを使い商品を仕入れ、料理を作り、現地の人達と交流し、商人や狩りなどをしながら、少しずつ、異世界に順応しつつ生きていく、三人の物語。 実は時間差クラス転移で、他のクラスメイトも勇者召喚により、異世界に転移していた。 主人公 高校2年     高遠 奏    呼び名 カナデっち。奏。 クラスメイトのギャル   水木 紗耶香  呼び名 サヤ。 紗耶香ちゃん。水木さん。  主人公の幼馴染      片桐 浩太   呼び名 コウタ コータ君 (なろうでも別名義で公開) タイトル微妙に変更しました。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

処理中です...