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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第2部 《精霊の紋章》
40話 対策会議
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森の中を埋め尽くす様な不死者の群れが視界に入りました。
その光景に思わず唸り声を上げてしまいました。
「う~ん」
「どの様な様子ですか?」
「兎に角数が多いですね。
種類は1番多いのがスケルトン系、その次に動く死体系、少ないのが鬼火などの魂系の魔物です。
少数ですが上位悪霊も確認出来ます。
数は1000以上です」
ハクを通して偵察し、得た情報を村長さん達に伝えますが、その想像以上の数に戸惑っている様です。
「ユウさん、アンデッドの様子はいかがですか?」
「こちらに向けて迫っていますね。
結構速いです」
「村人達を護衛しながら街まで避難するべきでは?」
現在、村長さんの家に集まり会議を行っています。
メンバーは村長さん、ローザさん、レインさん、若い衆のまとめ役、それと村人数人、あとわたしです。
帰るタイミングを失ってしまいました。
村にアンデッドが迫る危機的状況で「じゃあ、頑張って下さい」と言って帰る程薄情ではありませんよ。
さて、若い衆のまとめ役が提案した脱出作戦ですが、ちょっと難しいですね。
「街までの道はすでにアンデッドが溢れていますよ。
山の中を突っ切れば避難は可能かも知れませんが、子供やお年寄りに合わせて移動するとアンデッドに追いつかれると思います」
「…………そうか」
「なら何処かに隠れてアンデッドが立ち去るのを待つのはどうだろうか?」
「それもあまりオススメ出来ませんね。
村を通過して立ち去るとは限りません。
真っ直ぐこっちに向かっていると言う事は目的はこの村である可能性が高いです」
「目的?そんな物があるのか?」
「おそらくあります。
アンデッドは高位の物を除き知能は低いです。
しかし、今回のアンデッドは足並みを揃え、退路を塞ぎ迫っています。
何者かによって使役されていると考えるのが妥当でしょう」
「魔族……でしょうか?」
「分かりません。
魔族による人間の国への侵攻かも知れませんし、頭のおかしい死霊術師のイカれた実験なのかも知れません」
「…………ユウ殿はAランク冒険者なのだろう。
ユウ殿と協力すればアンデッドを討伐出来ないかな?」
「難しいですね。
確認した限り、わたしが勝てない様なアンデッドはいませんでした。
しかし、数が多すぎます。
わたしが戦っている間に別のアンデッドに村が襲われるでしょう」
多分、わたしがアンデッドを全て討伐するより、村人が全滅する方が先でしょう。
「……………………私とレインはアンデッドに有効な神聖魔法が使えます。
私とレインが時間を稼ぐのでユウさんに護衛して貰い街まで避難するのはどうでしょうか?
体力のない者もユウさんの従魔に乗せて頂けば避難は可能です」
ローザさんの案は今の所1番現実的です。
わたしでは1度に戦える数が少なくて足止めにはなりませんが、魔法なら話は別です。
しかし、それは2人の命と引き換えと言うのが前提です。
「ダメじゃ!
ローザ様、レイン殿、そんな事はさせられませぬ。
モーリスを孤児にするおつもりですか!」
村長さん、おこです。
激おこです。
「しかし、村長様。
これが村人が生き残る可能性が最も高い方法だと……」
「なりませぬ!」
激おこの村長にローザさんは困った顔、レインさんは腕を組み目を瞑って考え込んでいます。
寝てないですよね?
村長さんは若い衆のまとめ役や会議に参加している村人の顔を1人1人見て行きます。
村長さんと目が合った村人も「分かってる」と言う感じに頷きます。
すると村長さんが姿勢を正して、改まって頭を下げてきました。
「ユウ殿、わしらの様な村人にAランク冒険者のユウ殿にお支払い出来る様な対価は有りません。
ですがどうか!どうか!1つだけ手を貸して頂けないでしょうか?」
「いえ、対価は別に良いのですが、どうするのですか?」
「ユウ殿の従魔であるサンダーバードでローザ様とレイン殿、それとモーリスを連れて逃げて頂きたいのです」
「な、何を!」
ローザさんが驚き立ち上がり、レインさんも目を見開いで村長さんを見つめます。
「ローザ様、あなたはこんな所で命を落とす様なお人では有りません。
どうかお逃げ下さい」
村長さんと村人達は椅子から立ち上がると平伏し、ローザさんに逃げて欲しいと言います。
どうなっているのか、状況がよく分かりません。
「村長様…………お気付きだったのですね」
「……………………はい、村の大人は皆、知っております」
「一体いつ?」
「御二方が村を訪れた時からです」
ローザさんは少し俯き椅子に座り直しました。
「始めから分かっていたと言う事ですか」
「はい、村の者は皆、信心深く、何度か巡礼の旅に出た者も多く居ます」
「そうでしたか、ではイザールの聖都で…………」
「はい」
「………………」
「ロザリー教皇猊下。
どうか、どうかお逃げ下さい」
ロザリー教皇猊下と呼ばれたローザさんは少し苦い顔をしています。
あ、あまりの展開の早さについていけません!
その光景に思わず唸り声を上げてしまいました。
「う~ん」
「どの様な様子ですか?」
「兎に角数が多いですね。
種類は1番多いのがスケルトン系、その次に動く死体系、少ないのが鬼火などの魂系の魔物です。
少数ですが上位悪霊も確認出来ます。
数は1000以上です」
ハクを通して偵察し、得た情報を村長さん達に伝えますが、その想像以上の数に戸惑っている様です。
「ユウさん、アンデッドの様子はいかがですか?」
「こちらに向けて迫っていますね。
結構速いです」
「村人達を護衛しながら街まで避難するべきでは?」
現在、村長さんの家に集まり会議を行っています。
メンバーは村長さん、ローザさん、レインさん、若い衆のまとめ役、それと村人数人、あとわたしです。
帰るタイミングを失ってしまいました。
村にアンデッドが迫る危機的状況で「じゃあ、頑張って下さい」と言って帰る程薄情ではありませんよ。
さて、若い衆のまとめ役が提案した脱出作戦ですが、ちょっと難しいですね。
「街までの道はすでにアンデッドが溢れていますよ。
山の中を突っ切れば避難は可能かも知れませんが、子供やお年寄りに合わせて移動するとアンデッドに追いつかれると思います」
「…………そうか」
「なら何処かに隠れてアンデッドが立ち去るのを待つのはどうだろうか?」
「それもあまりオススメ出来ませんね。
村を通過して立ち去るとは限りません。
真っ直ぐこっちに向かっていると言う事は目的はこの村である可能性が高いです」
「目的?そんな物があるのか?」
「おそらくあります。
アンデッドは高位の物を除き知能は低いです。
しかし、今回のアンデッドは足並みを揃え、退路を塞ぎ迫っています。
何者かによって使役されていると考えるのが妥当でしょう」
「魔族……でしょうか?」
「分かりません。
魔族による人間の国への侵攻かも知れませんし、頭のおかしい死霊術師のイカれた実験なのかも知れません」
「…………ユウ殿はAランク冒険者なのだろう。
ユウ殿と協力すればアンデッドを討伐出来ないかな?」
「難しいですね。
確認した限り、わたしが勝てない様なアンデッドはいませんでした。
しかし、数が多すぎます。
わたしが戦っている間に別のアンデッドに村が襲われるでしょう」
多分、わたしがアンデッドを全て討伐するより、村人が全滅する方が先でしょう。
「……………………私とレインはアンデッドに有効な神聖魔法が使えます。
私とレインが時間を稼ぐのでユウさんに護衛して貰い街まで避難するのはどうでしょうか?
体力のない者もユウさんの従魔に乗せて頂けば避難は可能です」
ローザさんの案は今の所1番現実的です。
わたしでは1度に戦える数が少なくて足止めにはなりませんが、魔法なら話は別です。
しかし、それは2人の命と引き換えと言うのが前提です。
「ダメじゃ!
ローザ様、レイン殿、そんな事はさせられませぬ。
モーリスを孤児にするおつもりですか!」
村長さん、おこです。
激おこです。
「しかし、村長様。
これが村人が生き残る可能性が最も高い方法だと……」
「なりませぬ!」
激おこの村長にローザさんは困った顔、レインさんは腕を組み目を瞑って考え込んでいます。
寝てないですよね?
村長さんは若い衆のまとめ役や会議に参加している村人の顔を1人1人見て行きます。
村長さんと目が合った村人も「分かってる」と言う感じに頷きます。
すると村長さんが姿勢を正して、改まって頭を下げてきました。
「ユウ殿、わしらの様な村人にAランク冒険者のユウ殿にお支払い出来る様な対価は有りません。
ですがどうか!どうか!1つだけ手を貸して頂けないでしょうか?」
「いえ、対価は別に良いのですが、どうするのですか?」
「ユウ殿の従魔であるサンダーバードでローザ様とレイン殿、それとモーリスを連れて逃げて頂きたいのです」
「な、何を!」
ローザさんが驚き立ち上がり、レインさんも目を見開いで村長さんを見つめます。
「ローザ様、あなたはこんな所で命を落とす様なお人では有りません。
どうかお逃げ下さい」
村長さんと村人達は椅子から立ち上がると平伏し、ローザさんに逃げて欲しいと言います。
どうなっているのか、状況がよく分かりません。
「村長様…………お気付きだったのですね」
「……………………はい、村の大人は皆、知っております」
「一体いつ?」
「御二方が村を訪れた時からです」
ローザさんは少し俯き椅子に座り直しました。
「始めから分かっていたと言う事ですか」
「はい、村の者は皆、信心深く、何度か巡礼の旅に出た者も多く居ます」
「そうでしたか、ではイザールの聖都で…………」
「はい」
「………………」
「ロザリー教皇猊下。
どうか、どうかお逃げ下さい」
ロザリー教皇猊下と呼ばれたローザさんは少し苦い顔をしています。
あ、あまりの展開の早さについていけません!
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