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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第2部 《精霊の紋章》

33話 結成

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「ブゥルルゥ!」

  俺達に鼻息を吹きかけるのは立派な体躯をした馬だ。
  朝、俺達の所を訪れた国王陛下はこれからの旅への支援として馬と馬車を用意したと言われた。
  公務がある為、国王陛下は早々に立ち去って行ったが、レオンハルト殿下が直々に厩まで案内してくれた。
  国王陛下が用意してくれた馬車はしっかりとした造りで、華美ではないが、頑丈そうな幌馬車だった。
  そして、先ほどから俺とカートに鼻息を吹き掛け、マーリンに顔をすり寄せているエロ馬がシオンだ。
  身体能力が高く賢い、精悍な顔つきの馬なのだが、何だか酒場のエロオヤジの様な雰囲気を感じるのは気のせいだろうか?

「水や食料などはすでに積んでいる。
  それからコレはヤナバル王国までの地図と少ないが路銀だ。
  すまないな、もっと全面的に支援したい所だが仲間と紋章を集めるこの旅も、お前が勇者として成長する為に必要なものらしい。
  この馬車や路銀もオーク撃退と王都までの俺の護衛の報酬と言う名目だ」

「いえ、本当にお世話になりました。
  レオンハルト殿下」

「レオでいいさ。
  エリオ、カート、それからマーリンも気をつけろよ」

  レオンハルト殿下……レオに見送られ、俺達は王宮を後にした。
  カートが手綱を握り、向かうはヤナバル王国…………ではなく、ここ、王都の冒険者ギルドだ。
  これから行動を共にするのならパーティを組むべきだとカートが主張したのだ。
  確かにパーティを組んでいれば、パーティ指定の依頼を受けたり、高ランクの討伐依頼を受ける事が出来たりと便利だ。
  冒険者ギルドに到着し、受付でパーティの申請書類を貰い記入する。
  
「パーティリーダーはマーリンでいいのか?」

「なんで私なのよ。
  あんたに決まってるでしょ」

「発案者はカートだろ?」

「何言ってんだ、どう考えてもお前がリーダーだろ」

  左右から睨まれた俺は大人しく自分の名前を記入する。

「コレで……あ!
  なぁ、パーティ名はどうする?」

「何でもいいわよ、常識の範囲内なら」

「貸してくれ、俺に案がある」

  カートが俺の手から書類と羽根ペンを引ったくり、サラサラと記入する。

「お願いします」

  そしてそれを流れる様な動作で受付嬢に提出した。
  受付嬢は書類に目を通し、不備がない事を確認すると俺達のギルドカードを、受け取り何やらゴソゴソとやった後、カードを返してくれた。

「はい、コレで登録は終了しました。
  みなさんは全員DランクなのでパーティランクもDランクとなります。
  みなさんのご活躍をお祈り致します」

  無事パーティを組んだ俺達は門を目指し、大通りを進む。

「ん?」

「どうした、カート?」

「いや、さっきすれ違った馬車、王家の紋章を、掲げていたんだ」

「まぁ、ここは王都だからね。
  珍しい事じゃないわよ」

  馬車の中から御者台のカートにマーリンが声をかける。

「それもそうか」

  こうして、門を抜けヤナバル王国を目指して旅だった。
  俺達、Dランクパーティ〈精霊の紋章〉の初めての冒険が始まったのだ。


===========================


  用意して貰った紅茶で喉を潤し、カップを机に戻します。
  ここはミルミット王国の王都、その門にある衛兵さんの詰所です。
  
「シンシア様、ユウ殿、お待たせいたしました。
  馬車のご用意が出来ました」

「ありがとうございます」

「では、わたしはここで失礼しますね」

「ユウ先生は王宮に行かれないのですか?」

「はい、めんど……いえ、早く辺境に戻って新しい戦斧を発注しないといけませんし、留守を任せている弟子の事も気になりますからね」

  一応、リリには困った事があれば冒険者ギルドか辺境伯家を頼る様に言っていますし、わたしが不在の間はフレイド様が騎士を1人、警備として派遣してくれていますが早く帰る事に越したことはありません。

「そうですか……ではユウ先生、この度は大変お世話になりました」

  わたしはシアさんが王家の紋章が入った馬車に乗り込むのを見送るとオリオンと共にガストを目指して飛び立ったのです。

  
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