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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第2部 《精霊の紋章》

27話 王都を目指して

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「面を上げよ」

  わたしは現在、王宮の謁見の間で国王様と謁見中です。
  周りにはリュウガ王国の貴族達が並び、王座には国王様、その横にクルーガー殿下が控えており、わたしの背後にはヤナギさんやカイさん達が並んでいます。

「先の戦い、大義であった。
  其方らの活躍により、民への被害は最小限に抑える事が出来た。
  国の民に成り替わり、礼を言う」

「勿体無いお言葉でございます」

  そう答えて頭を下げました。
  後ろの皆さんもわたしと同じタイミングで頭を下げていますね。
  まるで計ったかの様に揃っています。
  まぁ、さっき控えの間で打ち合わせをしたの当たり前です。
  だいたい、わたし達が撃退したわけでは有りません。
  わたし達全員普通に負けたし、ザジさん達は勝手に帰っただけです。
  いえ、わたし達も初めは抗議したのですよ?
  しかし、リュウガ王国としては魔族に攻め込まれて『手も足も出ませんでした』と言うのは色々と不味いらしいです。
  そこで、わたし達が市民が避難する時間を作る為戦い、魔族を撃退したと、広い目で見れば真実と言えなくもないストーリーを公表しお茶を濁す事になったのです。
  もちろんこの謁見に参列している国の上層部は、わたし達が負けた事を理解しています。
  まさに茶番です。

「うむ、其方らには後程、報奨金を取らせる。
  また、ユウには武闘祭の優勝賞品も与えねばなるまい」

  おお、そうでした。
  わたしはまだ賞品を受け取っていませんでしたからね。
  水のオーブを奪われたのは国王様であって、わたしでは有りません。
  なので、賞品として別の物を用意してくれた様です。
  
「しかし、流石に水のオーブに変わるほどのマジックアイテムを急遽用意する事は難しい。
  そこでコレを用意した」

    国王様に呼ばれ兵士さん達が荷物を抱えてやって来ます。

「コレは!」

  優勝賞品として渡されたのは色々な種類のインゴットでした。
  鉄や銅はもちろん、量は少ないですが希少な素材も有るみたいです。
  鑑定!
  鉄、鋼、銅に神銀ミスリル神金オリハルコンなどの希少な魔法金属、少しですがアダマンタイトやヒヒイロカネも有ります。

「ユウは魔族との戦いで武器を失ったと聞く。
  残念ながら其方に合いそうな武器は見つからなかった。
  なので、この素材を与えよう。
  これだけあれば新しい武器を造る事も出来るだろう。
  水のオーブより価値は下がるが許せ」

「ご配慮、痛み入ります」

  ある意味ラッキーです。
  水龍の戦斧を失ったのはかなりの戦力ダウンですから早急に新しい戦斧を手に入れたいところです。
  この素材を使って新しい戦斧を造ってもらいましょう。
  謁見の間を後にし、ヤナギさん達と別れたわたしは、部屋に戻りシアさんと今後の予定について話し合います。

「では、明日出発という事で良いですか?」

「はい、よろしくお願いしますわ」

「帰りはレブリック公爵領ですか?」

「その……出来ればで良いのですが王都まで送って頂けませんか?
  リュウガ王国での事を早く陛下に報告に向かいたいのです」

「なるほど、わかりました。
  明日は王都を、目指しましょう」

  その日は早く休み、明日からの旅に備えるのでした。


===========================


「だいぶ資金も溜まったしそろそろ移動しないか?」

  俺はギルドに併設された酒場で夕食を食べていた時にマーリンに切り出した。

「どこに向かうとか決めてるの?」

  俺には特に目的地などは無いから師匠を探しているマーリンの行先について行く事になる。
  今、俺とマーリンはDランクなので、出来れば目的地の方角に行く商人の護衛の仕事を探したいところだ。
  護衛ならば移動しつつ金を稼げるし、条件が良ければ移動中の食事を出してくれる商人もいる。

「王都に行くのはどうだ?
  王都なら国中の情報が集まるだろ」

「王都か。
  確かにそろそろ一度戻って情報を整理するべきかもしれないわね」

  まぁ、俺は王都に行った事が無いので行ってみたいだけなのだ。

「じゃあ、明日ギルドで王都の方に行く護衛依頼が無いか探しましょう」
  
  こうして俺達の王都行きが決まった。




  翌日、朝から旅の準備をした俺達は夕方、依頼を探してギルドにやって来た。
  俺とマーリンは、クエストボードに張り出された依頼の中から護衛依頼を探す。

「次は王都に行くんでしょ、ならこの護衛依頼を受けたら良いじゃない。
  王都の近くの街までの護衛よ」

それは王都の近くの街までの護衛依頼だった。
  しかし、その依頼には人数に条件が付いている。

「よく見ろよ、この依頼の最低人数は3人じゃないか、あと1人足り無いぞ」

「そんなの誰か適当に誘えば良いわよ」

  マーリンが呆れ半分にそう言った時、突然背後から声を掛けられた。
  
「なぁ、お二人さん。
  その依頼、俺も交ぜてくれないか?」

  そう言って来たのは俺達と同じ位の年の冒険者だった。
  カートと名乗ったそいつも王都を目指して依頼を探していたらしい。
  少し話し合った結果、俺達は共同で依頼を受ける事になった。
  依頼書によると、出発は明日の昼前だ。
  俺達は護衛をしつつ、王都を目指すのだった。
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