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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第2部 《精霊の紋章》

21話 氷の戦斧

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  飛来する多数のウォーターランスをアクロバットな飛行で回避して行きます。
  うぅ……ちょっと酔って来ました。
  先程までのウォーターランスとは数も威力も段違いです。
  おそらくですが高等技術である同調魔法を使っているのだと思います。
  同調魔法は複数の魔法使いが協力して1つの魔法を発動させるものです。
  魔力の同調や制御などが難しく、かなりの訓練が必要な技術です。
  カイさんはリバイアサンの魔力と同調して、同調魔法と同じ様な効果を生み出しているのでしょう。
  竜種の莫大な魔力を制御しているカイさんの魔法技術はかなりの物ですね。
  海の男風魔法戦士です!
  リバイアサンの頭に乗ったカイさんの真上でオリオンがら飛び降り、双斧を振り下ろします。

ガッ!

  カイさんのトライデントが白雪姫スノーホワイトを受け止めました。
  しかし、少し遅れて振り下ろした灰被りシンデレラの軌道を変え、横薙ぎに振るいます。

「トリトン!」

「グルゥ!」

  カイさんの横に現れた水の盾に灰被りシンデレラが防がれました。
  
  グンッ

「わぁ!」

  リバイアサンが頭を振り回した為、わたしは吹き飛ばされてしまいました。
  カイさんも一緒に飛ばされましたが水の触手によってリバイアサンの頭に戻されます。

「ありがとよ、トリトン」

「グルゥウ」

  あのリバイアサンはトリトンと言う名前の様ですね。
  オリオンの背中に着地したわたしはリバイアサンから距離を取りながら態勢を立て直します。
  オリオンがサンダーブレスを放ちますが水の盾で防がれます。
  遠距離攻撃では防御を抜けませんね。
  仕方がありません。
  未だ成功率は低いですがもう1つの切り札を使いましょう。
  
  わたしはなるべく大きな足場に降り立ちます。
  魔力の制御に集中する為、水天の靴は使いません。

「オリオン、少しだけ守って下さい」

「キュー!」

「光鱗」

  防御をオリオンに任せたわたしは光の鱗を生み出します。
  そして、水龍の戦斧を取り出し魔力の鱗を集めます。

鱗戦斧スケイルアックス

「させるか!
  ウォーターランス!

「キュキュー!」

  カイさんが繰り出したウォーターランスは、オリオンの最大出力のサンダーブレスを受け、蒸発します。
  わたしはスケイルアックスに手を添え魔力を変換します。
  リゼさんのエアは凝縮した魔力を風属性に変換した技でした。
  わたしも訓練していたのですが未だに成功率は低いのです。
  しかし、今回は成功です。
  流石わたしです。
  本番に強い女です。
  わたしが変換した属性は氷です。
  今のところ氷属性以外は成功したことが無いのです。

「ちっ!アレはヤバそうだな」
 
  カイさんも足場に降りると腰為にトライデントを構えリバイアサンと魔力を同調させます。

「一気に押し切るぞ、トリトン!」

「グルゥ!」

  カイさんを守る様に足場をぐるりと回ってリバイアサンは魔力を放ちます。
  カイさんは、リバイアサンの魔力を集めトライデントを投擲しました。

「海斬り!」

  巨大な水の刃がわたしに迫ります。
  竜種の魔力で放たれたそれはスピード、威力、サイズどれを取っても一級品です。
  それに対してわたしも白く輝く戦斧を振り下ろします。

「スケイルアックス(白)!」

  この技の1番の欠点は、まだ技名が決まってない事なんですよね。
  冷気を纏った斬撃は水の刃、フィールド、リバイアサンを凍らせてカイさんに到達しました。

「ぐぁぁあ!」

  カイさんは吹き飛ばされて水の中に落ちました。
  数秒して水中からマーマンの副審がカイさんを抱えて現れます。
  それを確認した主審が声を上げます。

「そこまで、勝者ユウ!」

  ふう、ヤナギさんといい、カイさんといい、わたしの相手、強すぎませんか?
  リバイアサンとカイさんの凍傷を治す為の薬を取り出しながら水の上を駆け寄って行きました。
  
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