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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第2部 《精霊の紋章》
10話 祭の話
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クルーガー殿下に案内された部屋には大きなベッドが1つあり、そこには人族の男性が眠っていました。
彼が患者のエリックさんです。
クルーガー殿下の幼馴染で、護衛でもあるそうです。
数ヶ月前、王都の近くの集落を襲っていた魔物を、演習中だったクルーガー殿下率いる騎士団が討伐したらしいのですが、その時、クルーガー殿下を庇ったエリックさんが魔物の毒を受けたそうです。
「それで、どんな魔物に噛まれたのですか?」
「うむ、黒蛇と呼ばれる魔物だ。
我が国では毒を受ければ2度と目覚めぬ眠りに落ちると云われ恐れられている魔物だ」
「黒蛇ですか……聞いたことが有りませんね?」
「この国特有の呼び方なのでは有りませんか?」
シアさんが良いことを言いました。
実は魔物の名前は全ての国で統一されているわけでは有りません。
大きな国ではだいたい統一されていますが小さな国や田舎の村などでは、独自の名前で呼ばれる魔物も存在します。
「参考になるかは分からないが、これがその時に討伐された黒蛇の牙だ」
クルーガー殿下は机の引き出しから布に包まれた牙をとり出しました。
「拝見します」
私は牙を受け取り鑑定します。
「これは…………ダークパイソンの牙ですね」
ダークパイソンはBランクの蛇の魔物です。
「え、ダークパイソンの毒は確か……」
そうです。
シアさんが驚くのも無理はありません。
確かにダークパイソンは人の意識を奪う強力な毒を持っていますが、その毒を解毒する薬は存在します。
高レベルな薬ではありますがとんでもなく難しいと言うわけではありません。
「あ、そう言う事ですか」
わたしの閃きにより謎は全て解けました。
「ユウ先生、どう言う事でしょうか?」
「ダークパイソンの毒を解毒する薬は特殊なキノコが原料なのですがそのキノコがこの国には無いのですよ。
この国の環境では育たないキノコなんです」
「なるほど、だからこの国ではダークパイソンに噛まれるともう助からないと云われているのですね?」
「はい、幸い、わたしがキノコのストックを持っていますからすぐに治療可能です」
「本当か⁉︎」
「はい、解毒薬を調合しますので少々お待ち下さい」
「ああ、調合室に案内しよう」
その日の夕方、わたしとシアさんは、クルーガー殿下と一緒に夕食を食べいます。
エリックさんは既に目を覚まし休んでいます。
シアさんもわたしが治療している間に国王様に謁見して、親書を渡したそうなので、あとは今回の治療に見合う報酬を貰い帰るだけです。
「おお、これは⁉︎」
「ん、ああ、それは海苔と言う食べ物だ。
昔、我が国に訪れた旅人が製法を伝えたと言われる食べ物の1つで、米によく合うぞ」
素晴らしいです。
是非とも手に入れて帰りましょう。
「ユウ殿は食にも造詣が深いと聞く。
シンシア殿が研究している新たな調味料もユウ殿が製法を伝えたらしいな」
「お味噌とお醤油ですわね」
「ああ、あれは美味いな。
初めて口にしたが何だか懐かしい味がした」
「シアさん、そっちの方はどうですか?」
「もうすぐで量産が出来そうですわ」
「量産出来たら是非、輸入したい。
それと黒蛇の解毒剤となるキノコもな」
「では後日、商談を致しましょう」
「…………うむ、お手柔らかに頼む」
シアさんがとても嬉しそうです。
シアさんが利益を上げるとわたしの食品も豪華になるのでわたしも嬉しいです。
報酬に何か珍しい食べ物を用意して貰うのも良いですね。
「ユウ殿とシンシア殿はすぐに国に帰るのか?」
「そうですね……わたしは数日程観光して行こうかと思っていたのですが、シアさんは時間は大丈夫ですか?」
「大丈夫ですわ。
それに今すぐ船で帰るより、観光してからユウ先生と帰る方が速いですわ」
観光決定です。
「そうか、ユウ殿への報酬は明日には用意出来るだろう。
それに、数日滞在するならちょうど良いイベントがあるぞ」
「イベントですか?」
「ああ、もうすぐ大武闘祭が始まるからな」
何でも大武闘祭とは異世界転移物定番の武術大会の様です。
元々は1番強い戦士を決める為の御前試合だったそうですが、いつしか民の娯楽としての面が強くなり、今では特殊なルールで戦ったりするお祭りになったそうです。
そして、優勝すると国王様から賞品を貰えるらしいです。
「ユウ殿は冒険者としてもかなりの腕前らしいな。
参加の期限は過ぎているが、もし参加したいなら俺が口を聞くぞ?
まぁ、参加だけで予選は受けて貰うことになる。
王族である俺でも予選から戦わなければ成らないからな」
出るのですか⁉︎
皇太子が⁉︎
しかし、武闘祭ですか面白そうですね。
やはり定番はやっておくべきでしょうね!
彼が患者のエリックさんです。
クルーガー殿下の幼馴染で、護衛でもあるそうです。
数ヶ月前、王都の近くの集落を襲っていた魔物を、演習中だったクルーガー殿下率いる騎士団が討伐したらしいのですが、その時、クルーガー殿下を庇ったエリックさんが魔物の毒を受けたそうです。
「それで、どんな魔物に噛まれたのですか?」
「うむ、黒蛇と呼ばれる魔物だ。
我が国では毒を受ければ2度と目覚めぬ眠りに落ちると云われ恐れられている魔物だ」
「黒蛇ですか……聞いたことが有りませんね?」
「この国特有の呼び方なのでは有りませんか?」
シアさんが良いことを言いました。
実は魔物の名前は全ての国で統一されているわけでは有りません。
大きな国ではだいたい統一されていますが小さな国や田舎の村などでは、独自の名前で呼ばれる魔物も存在します。
「参考になるかは分からないが、これがその時に討伐された黒蛇の牙だ」
クルーガー殿下は机の引き出しから布に包まれた牙をとり出しました。
「拝見します」
私は牙を受け取り鑑定します。
「これは…………ダークパイソンの牙ですね」
ダークパイソンはBランクの蛇の魔物です。
「え、ダークパイソンの毒は確か……」
そうです。
シアさんが驚くのも無理はありません。
確かにダークパイソンは人の意識を奪う強力な毒を持っていますが、その毒を解毒する薬は存在します。
高レベルな薬ではありますがとんでもなく難しいと言うわけではありません。
「あ、そう言う事ですか」
わたしの閃きにより謎は全て解けました。
「ユウ先生、どう言う事でしょうか?」
「ダークパイソンの毒を解毒する薬は特殊なキノコが原料なのですがそのキノコがこの国には無いのですよ。
この国の環境では育たないキノコなんです」
「なるほど、だからこの国ではダークパイソンに噛まれるともう助からないと云われているのですね?」
「はい、幸い、わたしがキノコのストックを持っていますからすぐに治療可能です」
「本当か⁉︎」
「はい、解毒薬を調合しますので少々お待ち下さい」
「ああ、調合室に案内しよう」
その日の夕方、わたしとシアさんは、クルーガー殿下と一緒に夕食を食べいます。
エリックさんは既に目を覚まし休んでいます。
シアさんもわたしが治療している間に国王様に謁見して、親書を渡したそうなので、あとは今回の治療に見合う報酬を貰い帰るだけです。
「おお、これは⁉︎」
「ん、ああ、それは海苔と言う食べ物だ。
昔、我が国に訪れた旅人が製法を伝えたと言われる食べ物の1つで、米によく合うぞ」
素晴らしいです。
是非とも手に入れて帰りましょう。
「ユウ殿は食にも造詣が深いと聞く。
シンシア殿が研究している新たな調味料もユウ殿が製法を伝えたらしいな」
「お味噌とお醤油ですわね」
「ああ、あれは美味いな。
初めて口にしたが何だか懐かしい味がした」
「シアさん、そっちの方はどうですか?」
「もうすぐで量産が出来そうですわ」
「量産出来たら是非、輸入したい。
それと黒蛇の解毒剤となるキノコもな」
「では後日、商談を致しましょう」
「…………うむ、お手柔らかに頼む」
シアさんがとても嬉しそうです。
シアさんが利益を上げるとわたしの食品も豪華になるのでわたしも嬉しいです。
報酬に何か珍しい食べ物を用意して貰うのも良いですね。
「ユウ殿とシンシア殿はすぐに国に帰るのか?」
「そうですね……わたしは数日程観光して行こうかと思っていたのですが、シアさんは時間は大丈夫ですか?」
「大丈夫ですわ。
それに今すぐ船で帰るより、観光してからユウ先生と帰る方が速いですわ」
観光決定です。
「そうか、ユウ殿への報酬は明日には用意出来るだろう。
それに、数日滞在するならちょうど良いイベントがあるぞ」
「イベントですか?」
「ああ、もうすぐ大武闘祭が始まるからな」
何でも大武闘祭とは異世界転移物定番の武術大会の様です。
元々は1番強い戦士を決める為の御前試合だったそうですが、いつしか民の娯楽としての面が強くなり、今では特殊なルールで戦ったりするお祭りになったそうです。
そして、優勝すると国王様から賞品を貰えるらしいです。
「ユウ殿は冒険者としてもかなりの腕前らしいな。
参加の期限は過ぎているが、もし参加したいなら俺が口を聞くぞ?
まぁ、参加だけで予選は受けて貰うことになる。
王族である俺でも予選から戦わなければ成らないからな」
出るのですか⁉︎
皇太子が⁉︎
しかし、武闘祭ですか面白そうですね。
やはり定番はやっておくべきでしょうね!
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