189 / 418
神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第1部 《漆黒の少女》
閑話 臨時教員と私
しおりを挟む
「やはり、このままと言うのは何かと不味いでしょうな」
「ふむ、どうしたものか」
私が王宮を歩いていると前方で父上と宰相が何かを話し込んでいるのを見つけた。
「如何されたのですか、父上」
「ん?
ああ、テスタロッサか、戻っていたのだな」
「ええ、つい先ほど戻りましたわ」
「お帰りなさいませ、姫様」
「ええ、ただいま。
それでお二人は何を悩んでいらしたのですか?」
「うむ、去年のあの事件の所為で学院の教員が足りなくてな。
ようやく見つけたのだが帝国の端から招く為、着任は来年になりそうなのだ。
今は教員達が持ち回りで授業を回しておるがせめてSクラスの生徒達くらいには良い授業を受けさせてやるべきではないかと思ってな」
父上はあのコーレルの後任が来るまでの繋ぎを考えていたようね。
確かに他の教員の片手間の授業を受けるよりは繋ぎを雇った方が良いでしょうね。
今年のSクラスは王位を継承する予定のレオだけでなく、シアやマーリン、アル、クルスと言った逸材ばかりの当たり年、しっかりと授業を受けて欲しいわね。
ん?
そうね…………今年のSクラスにはシアが……シアはレブリック商会の会頭で……それなら多分…………行ける!
「父上、宰相殿、私に良い考えが有りますわ」
「何、本当か?」
「本当でございますか?」
「はい、高ランク冒険者を雇い、戦闘技術や野営などの知識を教えて頂くと言うのは如何でしょうか?
全ての生徒をと言う訳には行きませんがSクラスの生徒だけでも教えを受ける事が出来ればそれは生徒の大きな力となると思うのです」
「成る程な、確かに良い考えかも知れん」
「そうですな、戦闘技術は勿論、野営などの冒険者としての知識もいざと言うときに役に立つかも知れません」
「しかし、そう言った技術を教えてくれるものなのだろうか?
技術は冒険者にとって自ら作り上げた財産だろう?」
「それなら私に心当たりが有りますわ」
「なに?」
「Aランク冒険者の漆黒のユウに依頼するのは如何でしょうか?」
「漆黒ですか?」
「ええ、彼女なら惜しみなく技術を教えてくれるかも知れません。
それに上手く交渉すれば彼女の持つ高度な薬術を教えて貰えるかも知れませんわ」
「成る程な、確かに我が国の薬術のレベルを上げる事が出来るかも知れんな」
「すぐにフレイド卿に連絡を入れましょう」
「そうだな、ガストへ早馬を出せ」
「畏まりました」
父上の命を聞き、宰相は足早に立ち去って行った。
私と父上はそのまま王宮の中にある王族の私的なエリアにある部屋まで戻った。
「今回はテレサの閃きに救われたな、ルクスの坊主を助けた薬師なら腕も申し分ないだろう」
「ユウちゃんは戦闘技術の方もすごいわよ、前にワイバーンに襲われたとき次々と討伐してくれたわ」
「そりゃすげーな」
私と素に戻った父上はかるく談笑をすて過ごした。
そして、ある地方の領地を視察している時にマリルが王都から鳥に寄って運ばれた手紙を持ってやって来た。
「テレサ様、寮監のサマンサから例の件の報告が届いております」
「そう、どうだったの?」
「はい『想定通り、シンシア様はユウ様より、ユウ様の故郷の調味料、味噌と醤油の製法を買い取り、レブリック商会での作成を始めようとしています』との事です」
マリルが読み上げたサマンサからの報告を聞き、私は自らの計画が順調に進んでいる事を確信する。
そう、私があの時、安らぎの水晶と交換で手に入れた味噌と醤油はまだ沢山残ってはいるがいずれは無くなってしまう。
そこで私は考えたのだ。
どうにか味噌と醤油を安定供給する方法は無いかと……
そして、思いついたのはこれだ。
シアなら絶対に味噌と醤油に興味を持つに違いない。
その製法を持っている者が居れば、それを手に入れてレブリック商会の力を使い量産するだろう。
そして、まさに私の想定通りに事が進んでいた。
ユウちゃんがシアの前で味噌か醤油を出すかは賭けだったけど、私は賭けに勝ったみたいね。
これで、数年後には安定して味噌と醤油が手に入るわ
「ふふふ」
「ふむ、どうしたものか」
私が王宮を歩いていると前方で父上と宰相が何かを話し込んでいるのを見つけた。
「如何されたのですか、父上」
「ん?
ああ、テスタロッサか、戻っていたのだな」
「ええ、つい先ほど戻りましたわ」
「お帰りなさいませ、姫様」
「ええ、ただいま。
それでお二人は何を悩んでいらしたのですか?」
「うむ、去年のあの事件の所為で学院の教員が足りなくてな。
ようやく見つけたのだが帝国の端から招く為、着任は来年になりそうなのだ。
今は教員達が持ち回りで授業を回しておるがせめてSクラスの生徒達くらいには良い授業を受けさせてやるべきではないかと思ってな」
父上はあのコーレルの後任が来るまでの繋ぎを考えていたようね。
確かに他の教員の片手間の授業を受けるよりは繋ぎを雇った方が良いでしょうね。
今年のSクラスは王位を継承する予定のレオだけでなく、シアやマーリン、アル、クルスと言った逸材ばかりの当たり年、しっかりと授業を受けて欲しいわね。
ん?
そうね…………今年のSクラスにはシアが……シアはレブリック商会の会頭で……それなら多分…………行ける!
「父上、宰相殿、私に良い考えが有りますわ」
「何、本当か?」
「本当でございますか?」
「はい、高ランク冒険者を雇い、戦闘技術や野営などの知識を教えて頂くと言うのは如何でしょうか?
全ての生徒をと言う訳には行きませんがSクラスの生徒だけでも教えを受ける事が出来ればそれは生徒の大きな力となると思うのです」
「成る程な、確かに良い考えかも知れん」
「そうですな、戦闘技術は勿論、野営などの冒険者としての知識もいざと言うときに役に立つかも知れません」
「しかし、そう言った技術を教えてくれるものなのだろうか?
技術は冒険者にとって自ら作り上げた財産だろう?」
「それなら私に心当たりが有りますわ」
「なに?」
「Aランク冒険者の漆黒のユウに依頼するのは如何でしょうか?」
「漆黒ですか?」
「ええ、彼女なら惜しみなく技術を教えてくれるかも知れません。
それに上手く交渉すれば彼女の持つ高度な薬術を教えて貰えるかも知れませんわ」
「成る程な、確かに我が国の薬術のレベルを上げる事が出来るかも知れんな」
「すぐにフレイド卿に連絡を入れましょう」
「そうだな、ガストへ早馬を出せ」
「畏まりました」
父上の命を聞き、宰相は足早に立ち去って行った。
私と父上はそのまま王宮の中にある王族の私的なエリアにある部屋まで戻った。
「今回はテレサの閃きに救われたな、ルクスの坊主を助けた薬師なら腕も申し分ないだろう」
「ユウちゃんは戦闘技術の方もすごいわよ、前にワイバーンに襲われたとき次々と討伐してくれたわ」
「そりゃすげーな」
私と素に戻った父上はかるく談笑をすて過ごした。
そして、ある地方の領地を視察している時にマリルが王都から鳥に寄って運ばれた手紙を持ってやって来た。
「テレサ様、寮監のサマンサから例の件の報告が届いております」
「そう、どうだったの?」
「はい『想定通り、シンシア様はユウ様より、ユウ様の故郷の調味料、味噌と醤油の製法を買い取り、レブリック商会での作成を始めようとしています』との事です」
マリルが読み上げたサマンサからの報告を聞き、私は自らの計画が順調に進んでいる事を確信する。
そう、私があの時、安らぎの水晶と交換で手に入れた味噌と醤油はまだ沢山残ってはいるがいずれは無くなってしまう。
そこで私は考えたのだ。
どうにか味噌と醤油を安定供給する方法は無いかと……
そして、思いついたのはこれだ。
シアなら絶対に味噌と醤油に興味を持つに違いない。
その製法を持っている者が居れば、それを手に入れてレブリック商会の力を使い量産するだろう。
そして、まさに私の想定通りに事が進んでいた。
ユウちゃんがシアの前で味噌か醤油を出すかは賭けだったけど、私は賭けに勝ったみたいね。
これで、数年後には安定して味噌と醤油が手に入るわ
「ふふふ」
3
お気に入りに追加
2,354
あなたにおすすめの小説
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
神々の間では異世界転移がブームらしいです。《サイドストーリー》
はぐれメタボ
ファンタジー
《番外編》
神々の間では異世界転移がブームらしいです。の番外編です。
《マーリンさんの学業奮闘記》
大賢者イナミの弟子、マーリンは師匠の命令でミルミット王国の学院に入学する事になった。
マーリンは、そこで出会った友人達と事件に巻き込まれて行く。
《迷宮都市の盾使い》
ミルミット王国最大の迷宮都市ダイダロスで迷宮に挑む冒険者達と全身鎧を身に付けた謎の冒険者の物語り。
《炎の継承者》
田舎に暮らす少年、カートは憧れの父親の背中を追って成長して行く。
《盃を満たすは神の酒》
エルフのジンとドワーフのバッカスは2人組の冒険者である。
彼等は神が醸造したと言われる伝説の酒を探して旅を続けていた。
そんな彼等が居た帝国の街に、とてつもない数の魔物が迫っていた。
《1人と1振り》
冒険者のヴァインはある日、奇抜な冒険者アークと出会う。
やがて共に旅をする様になった2人はミルミット王国のある街でとある依頼を受ける事になった。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。
休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使う事でスキルを強化、更に新スキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった…
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…
※小説家になろう、カクヨムでも掲載しております。
器用さんと頑張り屋さんは異世界へ 〜魔剣の正しい作り方〜
白銀六花
ファンタジー
理科室に描かれた魔法陣。
光を放つ床に目を瞑る器用さんと頑張り屋さん。
目を開いてみればそこは異世界だった!
魔法のある世界で赤ちゃん並みの魔力を持つ二人は武器を作る。
あれ?武器作りって楽しいんじゃない?
武器を作って素手で戦う器用さんと、武器を振るって無双する頑張り屋さんの異世界生活。
なろうでも掲載中です。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~
ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。
異世界転生しちゃいました。
そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど
チート無いみたいだけど?
おばあちゃんよく分かんないわぁ。
頭は老人 体は子供
乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。
当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。
訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。
おばあちゃん奮闘記です。
果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか?
[第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。
第二章 学園編 始まりました。
いよいよゲームスタートです!
[1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。
話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。
おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので)
初投稿です
不慣れですが宜しくお願いします。
最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。
申し訳ございません。
少しづつ修正して纏めていこうと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる