上 下
182 / 418
神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第1部 《漆黒の少女》

172話 観戦とわたし

しおりを挟む
  わたしが生徒達に追いついた時、バカ少年は少し開けている場所で、岩に行く手を阻まれて立ち往生しています。
  そして、少し離れた所にはSクラス生徒達が居ますね。
  巻き込んでしまいましたか。

「く、くるなー」
  
取り巻き君達がパニックを起こしています。
  
「ちっ」

ドカ
「あぐぅ」

「今だ!」

  あ!
  バカ少年が平民の生徒をオークの前に突き出しました。
  そして、オークが平民の生徒に気を取られている隙に逃げ出しました。


  オークが槍を振り上げてAクラスの生徒を狙います。
  わたしも飛び出そうとしましたが、視界の端にオークと平民の生徒の間に飛び込もうとしているレオさんの姿が映ったのでここは静観する事にします。

ギン!
「くっ」

  なんとかレオさんが滑り込み、槍を盾で防きます。
  しかし、オークの腕力は、レオさんを上回っています。
  それをマーリンさんが付与魔法でフォローします。
  Sクラスとオーク達の戦いが始まりました。
  バカ少年達の方は見張りを付けておけばいいでしょう。
  わたしはハクを召喚し、バカ少年達を追わせます。

「ウインドカッター!」

  アルさんが放った風の刃はオークの頭に直撃します。
  威力は大した物では有りませんが、不意を打たれたオークはバランスを崩します。
  わたしが教えた通り、魔法を武器の補助として上手く使えていますね。
  Sクラスの皆さんは次々とオークを討伐して行きます。
  残りはオーク2体とオークジェネラルです。
  むむむ!
  シアさんが1人でオークジェネラルを抑え、他の4人が手早くオークを討伐する作戦の様です

「風よ 炎よ 猛き戦士たちに 駆け抜ける翼を 悪を断ち切る刃を 多重上級付与デュアルハイエンチェント

  マーリンさんが何だか凄そうな付与魔法を唱えました。
  皆さんの動きが目に見えて良くなります。
  凄いですね。
  わたしも付与魔法を練習してみましょうか?
  そうこうしている内にオークを討伐した4人がシアさんの元に戻ってきます。
  合流したSクラスの5人は連携してオークジェネラルと戦い始めました。
  流石にオークジェネラルを簡単に討伐する事は出来ません。
  オークジェネラルはレオさんやアルさんの攻撃を巧みに鎧で受けてダメージを減らしています。
  そして、クルスさんが投擲した短剣が頬を掠め、オークジェネラルは怒りの雄叫びをあげます。
  オークジェネラルは5人の方に飛びかかろうと腰を落とします。
  不味いですね。
  あの位置からではSクラスとは言え、反応するのは難しいです。
  このままでは犠牲者が出てしまいます。
  わたしは地面に両手をつくと魔法を詠唱します。

「生い茂る 緑の子らよ 我が意のままに」

  わたしの木属性魔法によって操作された木の根がオークジェネラルの足元に僅かに絡みつきます。
  それによって足を取られたオークジェネラルは一瞬動きがとまりました。
  マーリンさん達はその隙を逃さず総攻撃を仕掛けます。
  そして、マーリンさんの付与魔法で強化されたレオさんの斬撃でオークジェネラルの首が切り落とされました。
 危ない所でしたね。
  窮地を脱した5人は魔石や素材を回収し撤退の用意をしています。
  
  用意が出来たのか5人は森の外を目指して歩き出そうとした時です。
  不意にクルスさんが振り向くとこちらに向かって頭を下げました。
  あ!
  今、目が合いましたね。
  隠れていたわたしに気がついていたとは驚きです。
  実はわたしのハイディング能力は結構高いです。
  まぁ、ほとんど夜天のローブの効果ですけどね。
  多分ですがクルスさんはかなりの実力者です。
  あえて自らの能力を制限している様に見えます。
  彼は何者なのでしょうか?


  おっと!
  わたしも帰らないと行けませんね。

















しおりを挟む
感想 890

あなたにおすすめの小説

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

神々の間では異世界転移がブームらしいです。《サイドストーリー》

はぐれメタボ
ファンタジー
《番外編》 神々の間では異世界転移がブームらしいです。の番外編です。 《マーリンさんの学業奮闘記》 大賢者イナミの弟子、マーリンは師匠の命令でミルミット王国の学院に入学する事になった。 マーリンは、そこで出会った友人達と事件に巻き込まれて行く。 《迷宮都市の盾使い》 ミルミット王国最大の迷宮都市ダイダロスで迷宮に挑む冒険者達と全身鎧を身に付けた謎の冒険者の物語り。 《炎の継承者》 田舎に暮らす少年、カートは憧れの父親の背中を追って成長して行く。 《盃を満たすは神の酒》 エルフのジンとドワーフのバッカスは2人組の冒険者である。 彼等は神が醸造したと言われる伝説の酒を探して旅を続けていた。 そんな彼等が居た帝国の街に、とてつもない数の魔物が迫っていた。 《1人と1振り》 冒険者のヴァインはある日、奇抜な冒険者アークと出会う。 やがて共に旅をする様になった2人はミルミット王国のある街でとある依頼を受ける事になった。

一人息子の勇者が可愛すぎるのだが

碧海慧
ファンタジー
魔王であるデイノルトは一人息子である勇者を育てることになった。 デイノルトは息子を可愛がりたいが、なかなか素直になれない。 そんな魔王と勇者の日常開幕!

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使う事でスキルを強化、更に新スキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった… それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく… ※小説家になろう、カクヨムでも掲載しております。

転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。 異世界転生しちゃいました。 そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど チート無いみたいだけど? おばあちゃんよく分かんないわぁ。 頭は老人 体は子供 乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。 当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。 訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。 おばあちゃん奮闘記です。 果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか? [第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。 第二章 学園編 始まりました。 いよいよゲームスタートです! [1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。 話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。 おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので) 初投稿です 不慣れですが宜しくお願いします。 最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。 申し訳ございません。 少しづつ修正して纏めていこうと思います。

器用さんと頑張り屋さんは異世界へ 〜魔剣の正しい作り方〜

白銀六花
ファンタジー
理科室に描かれた魔法陣。 光を放つ床に目を瞑る器用さんと頑張り屋さん。 目を開いてみればそこは異世界だった! 魔法のある世界で赤ちゃん並みの魔力を持つ二人は武器を作る。 あれ?武器作りって楽しいんじゃない? 武器を作って素手で戦う器用さんと、武器を振るって無双する頑張り屋さんの異世界生活。 なろうでも掲載中です。

処理中です...