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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第1部 《漆黒の少女》
155話 跡とわたし
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「魔眼?」
「はい、この覚醒の宝玉の使用者は魔眼系のスキルを修得する事があるそうです」
「そうか、スキルを修得出来るなんて、まるで吟遊詩人が謳う英雄譚に出てくる伝説のアイテムの様だな」
「帝国の国宝の1つですからね。
それで、フレイド様は相手をビビらせる様な魔眼をご存知ですか?」
「いや、私も魔眼についてはあまり詳しくない。
だが、王都に着き、教会で『信託の石版』を使いステータスをみればスキルの名前が分かる。
もし、知らないスキルだったら学院の図書館で調べると良い。
あそこにはあらゆる書籍が集まっているからな」
「全ては王都に着いてからですか……」
わたしはいつでもステータスを確認出来ますが、一般人は教会で信託の石版を使用するしかステータスを調べる方法がないのです。
フレイド様の答えは当然ですね。
王者の瞳の効果はいまいち分かりませんがなんとかコントロールして行きましょう。
それからわたしは王都に着くまでユーリア様に馬車の中でも出来る遊びを教えながら、たまに現れる魔物や隠れている盗賊を相手に王者の瞳の制御を訓練しました。
そんな時間が何日も過ぎた頃です。
「ユウ殿、あれを見てみろ」
フレイド様が指し示した方を見ると遠くの方に大きな城と城壁、高い塀に囲まれた巨大な街が見えました。
帝都といい勝負ですね。
しかし、それよりも目を引くのは王都の前にある平原です。
そこはまるで葛飾北斎の『波』の様に抉られ、盛り上がり、砕かれた大地が有りました。
「なんですか、このデタラメな地形は?」
「前に話しただろう、6年前、大量の魔物がイザール神聖国を滅亡させた時、1体のエンシェントドラゴンがこの国に迷い込んで来たのだ。
真っ直ぐ王都に向かっていたエンシェントドラゴンは、この平原で討伐されたんだ。
当時、Aランク冒険者だったリゼッタによってな。
彼女の活躍で王都には一切の被害はなかった。
その功績でリゼッタはSランクへと昇格し、A・ドラゴンの名を与えてられたんだ」
「これが前にフレイド様が話していたリゼさんとエンシェントドラゴンの戦いの跡ですか……」
わたしは波打つ平原を眺めます。
…………人間技とは思えませんね。
ユーリア様と平原を観察していると王都に近づくにつれて旅人らしき人達の姿が目に入って来る様になりました。
旅人達は波打つ平原と言うトンデモ地形を眺めて嬉しそうにしています。
リゼさんの冒険譚は広く伝わっていますから、彼らにしてみれば、ここは有名な映画の撮影地の様な観光名所と言うわけです。
そんな名所を眺めている内に王都の門に到着しました。
流石は王都、門の前には旅人や冒険者、吟遊詩人、大道芸人、商人、よくわからない格好をした人などが長蛇の列をなしています。
わたしは列に並んでいる人々を尻目に貴族用の門で軽くギルドカードを見せるだけで中に入りました。
辺境伯家の方達と一緒に来て良かったです。
「国王陛下にご挨拶に伺う時間まで少しあるな。
教会によってユウ殿のスキルの正体を確かめるとするか」
「いいのですか?」
「ユウ殿のお陰でこんなに早く王都に着いたのだ。
空いた時間をユウ殿に使うくらいなんでもないさ」
今日の所はフレイド様の言葉に甘える事にしました。
目的の場所に着き、馬車から降りると従者が教会の扉を開いてくれます。
わたしは辺境伯家の方達を伴って教会に…………教会!
そうだった‼︎
大事なことを思い出した頃、周りは時が止まったかの様に動きを止めており、わたしの頭には彼の声が響いて来るのでした。
『やぁ、久しぶりだね』
いえ、良いのですよ。
恩人ですし。
しかし、心の用意くらいはしたかったです。
「はい、この覚醒の宝玉の使用者は魔眼系のスキルを修得する事があるそうです」
「そうか、スキルを修得出来るなんて、まるで吟遊詩人が謳う英雄譚に出てくる伝説のアイテムの様だな」
「帝国の国宝の1つですからね。
それで、フレイド様は相手をビビらせる様な魔眼をご存知ですか?」
「いや、私も魔眼についてはあまり詳しくない。
だが、王都に着き、教会で『信託の石版』を使いステータスをみればスキルの名前が分かる。
もし、知らないスキルだったら学院の図書館で調べると良い。
あそこにはあらゆる書籍が集まっているからな」
「全ては王都に着いてからですか……」
わたしはいつでもステータスを確認出来ますが、一般人は教会で信託の石版を使用するしかステータスを調べる方法がないのです。
フレイド様の答えは当然ですね。
王者の瞳の効果はいまいち分かりませんがなんとかコントロールして行きましょう。
それからわたしは王都に着くまでユーリア様に馬車の中でも出来る遊びを教えながら、たまに現れる魔物や隠れている盗賊を相手に王者の瞳の制御を訓練しました。
そんな時間が何日も過ぎた頃です。
「ユウ殿、あれを見てみろ」
フレイド様が指し示した方を見ると遠くの方に大きな城と城壁、高い塀に囲まれた巨大な街が見えました。
帝都といい勝負ですね。
しかし、それよりも目を引くのは王都の前にある平原です。
そこはまるで葛飾北斎の『波』の様に抉られ、盛り上がり、砕かれた大地が有りました。
「なんですか、このデタラメな地形は?」
「前に話しただろう、6年前、大量の魔物がイザール神聖国を滅亡させた時、1体のエンシェントドラゴンがこの国に迷い込んで来たのだ。
真っ直ぐ王都に向かっていたエンシェントドラゴンは、この平原で討伐されたんだ。
当時、Aランク冒険者だったリゼッタによってな。
彼女の活躍で王都には一切の被害はなかった。
その功績でリゼッタはSランクへと昇格し、A・ドラゴンの名を与えてられたんだ」
「これが前にフレイド様が話していたリゼさんとエンシェントドラゴンの戦いの跡ですか……」
わたしは波打つ平原を眺めます。
…………人間技とは思えませんね。
ユーリア様と平原を観察していると王都に近づくにつれて旅人らしき人達の姿が目に入って来る様になりました。
旅人達は波打つ平原と言うトンデモ地形を眺めて嬉しそうにしています。
リゼさんの冒険譚は広く伝わっていますから、彼らにしてみれば、ここは有名な映画の撮影地の様な観光名所と言うわけです。
そんな名所を眺めている内に王都の門に到着しました。
流石は王都、門の前には旅人や冒険者、吟遊詩人、大道芸人、商人、よくわからない格好をした人などが長蛇の列をなしています。
わたしは列に並んでいる人々を尻目に貴族用の門で軽くギルドカードを見せるだけで中に入りました。
辺境伯家の方達と一緒に来て良かったです。
「国王陛下にご挨拶に伺う時間まで少しあるな。
教会によってユウ殿のスキルの正体を確かめるとするか」
「いいのですか?」
「ユウ殿のお陰でこんなに早く王都に着いたのだ。
空いた時間をユウ殿に使うくらいなんでもないさ」
今日の所はフレイド様の言葉に甘える事にしました。
目的の場所に着き、馬車から降りると従者が教会の扉を開いてくれます。
わたしは辺境伯家の方達を伴って教会に…………教会!
そうだった‼︎
大事なことを思い出した頃、周りは時が止まったかの様に動きを止めており、わたしの頭には彼の声が響いて来るのでした。
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