神々の間では異世界転移がブームらしいです。

神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第1部 《漆黒の少女》

147話 魔眼とわたし

「こ、コレは…………なんですか？」

  布の下から現れたのは手で握り込めるかどうかくらいの透明な水晶の様な玉でした。
  恐らくマジックアイテムだと思います。

「コレは『覚醒の宝玉』と言うマジックアイテムだ。
  このマジックアイテムを使えばユウ殿の視力を取り戻すとこが出来るだろう」

「そんな事が出来るのですか⁉︎」

  治癒系のマジックアイテムは確かに存在しますが、失った眼を再生する程強力な物は現在の魔導工学の技術では実現出来ていません。
  極稀に遺跡やダンジョンから手に入る高品質な治癒系のマジックアイテムは、大抵王族や高位貴族が買い上げる為、市場に出回る事がないのです。

「このマジックアイテムは眼を再生する物では無い。
  これ自体が眼の代わりとなるそうだ」

「つまり、義眼と言う事ですか」

「義眼？
  それについては私もよく知らないが、このマジックアイテムには更にもう１つ効果がある」

「もう１つの効果ですか」

「うむ、確実に、と言う訳では無いが、このマジックアイテムを使用した者の中には魔眼系のスキルを習得する者がいるらしい。
  魔眼を習得するには才能がいるそうだがユウ殿ならきっと習得するだろう」

  なんと、魔眼系スキルですか。
  魔眼系スキルには大きく分けて3つ有ります。
  １つは『魔眼』です。
  眼に１つの能力を宿すタイプのスキルで、過去には左右の眼にそれぞれ別の魔眼を持っていた者も居たと本で読んだ事があります。
  有名な物は魅了の魔眼、拘束の魔眼、看破の魔眼、などの種類が有り、皇帝陛下の読心の魔眼もこのタイプです。
  2つ目は『邪眼』です。
  石化の邪眼や、崩壊の邪眼、錯乱の邪眼などが有名ですね。
  細かい所は魔眼と変わらない物ですが、魔眼より強力な効果がある代わりに所有者に代償がある物が邪眼と呼ばれるそうです。
  3つ目は『瞳』です。
  これは魔眼や邪眼よりも遥かに珍しいスキルです。
  瞳スキルは魔眼や邪眼と違い複数の能力を持つ複合的なスキルです。
  非常にレアなスキルである為、あまり前例が有りません。
  わたしが知っているのは魔眼系最上位のスキルである『精霊王の瞳』くらいです。
  精霊王の瞳はあらゆる魔眼を使用する事が出来ると言われています。
  チートですね。
 
「スキルを身につける事ができるマジックアイテムは最低でも遺物級アンティーク、魔眼スキルを習得するかも知れない程の強力なマジックアイテムならもっと上かも知れません。


《覚醒の宝玉》

伝説級レジェンド

  
  なんと、伝説級レジェンドのマジックアイテムです！
  古代文明の最高峰の技術の産物か、人知を超えた存在が作成に関わった程の強力なマジックアイテムです。

「これほどのマジックアイテムを頂いて良いのですか⁉︎」

「勿論だ、城の宝物庫で眠っているよりもユウ殿の力になる方がマジックアイテムも喜ぶだろう」

「そうですか……ありがとうございます。
  それで、これはどうやって使うのですか？」

「ああ、先ず覚醒の宝玉に血を付けて魔力を流してみなさい」

「はい」

  わたしはマリサさんが差し出してくれたナイフで指先を軽く切ると覚醒の宝玉に血を垂らし、魔力を流します。
  すると覚醒の宝玉は淡い光を放ち始めました。

「おお！ つ、次はどうするのですか？」

「うむ、目玉をくり抜き覚醒の宝玉を埋め込む。
  と、聞いている。
  ユウ殿は既に眼を失っているからそこに埋め込めば良いのではないか？」

「なかなかエグいですね」

  さて、では早速やってみますか！