神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ

文字の大きさ
上 下
147 / 418
神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第1部 《漆黒の少女》

138話 説教とわたし

しおりを挟む
  強盗?を制圧したわたしは少年少女達を正座させ話を聞いていました。
  1番年上の少年(12歳)曰く、彼らはスラムの近くにある小さな教会が経営する孤児院で暮らしているそうです。
   普段からこんな事をしている訳ではなく、仲間の孤児が重い病に罹り、治療に必要な薬はかなり高価である為、経営ギリギリの孤児院が捻出する事は出来なかったので犯行に及んだ様です。

「まったく、それでも犯罪は犯罪です。
  わたしでなかったら大事になっていましたよ!」

「ご、ごめんなさい、でもマールを助けたかったです」

「う、うぅマール……」

  子供達は泣き始めましたがそう簡単に犯罪を容認する事は出来ません。

「馬鹿な事を言っては行けません!
  犯罪を犯して助けられてマールちゃんが喜ぶとでも思ったのですか!」

「うぅ、それは……」

「面倒をみてくれている神父さんやシスターさんに迷惑を掛ける事になると分からなかったのですか?」

「うぅ……ひっく……」

「あなた達の軽率な行動が多くの人に迷惑を掛けるのです。
  分かりましたね?」

「ずび……はい……」

「ではケジメをつけます。
  全員歯を食いしばりなさい」

ゴン、ゴン、ゴン、ゴン、コツン

  わたしは少年少女達に1回ずつゲンコツを落としました。
  流石に1番小さい女の子にはかなり手加減しましたよ。

「さて、それでは孤児院に行きましょうか」

「「「「「……………………」」」」」

「ん?  ああ、大丈夫ですよ、あなた達のやった事はさっきのお説教とゲンコツで手打ちです。
  孤児院に行くのはマールちゃんの治療の為です」

「ち、治療?」

「はい、わたしは薬師ですからね。
  診察してからでなければ断言できませんが、薬で治る病気ならわたしが治せると思いますよ」

「ほ、本当⁉︎」

「はい、絶対とは言えませんが大体大丈夫ですよ」

  子供達に連れられたわたしは小さな教会に併設された孤児院に到着しました。
  孤児院の入り口の前には20歳くらいのシスターさんが立っていて、わたし達に気がつくとこちらに駆け寄って来ます。

「あなた達、一体どこに行っていたのですか!
  心配していたのですよ!」

「ご、ごめんなさい、シスターカーム」

「それで……あの、あなたは?」

  あなた?…………あ、わたしの事ですね。

「わたしは冒険者のユウと言います。
  先ほど裏路地で彼らに有り金を巻き上げられそうになった者です」

「な、なんですって⁉︎
  あなた達、なんて事を!」

「まあまあ、シスターさん、彼らにはわたしがお説教して、ゲンコツを落としました、十分反省している様なので大目に見てあげて下さい」

「しかし……」

「実害も有りませんでしたし、今回だけはお願いします」

「………………分かりました、ただし今回だけです。
  今回だけはユウさんにめんじて不問としますが次は有りませんからね」

「「「「「はい」」」」」

「それでわたしがここに来たわけなのですが、こちらのマールちゃんと言う子が病気になったとお聞きしたのですが……」

「はい、確かにマールは先日から寝込んでおりますが、それが何か?」

「わたしは薬師なので少し容体を見せて頂きたいのです」

「薬師…….しかし、恥ずかしながら当院には報酬を、お支払いする余裕は……」

「お金は要りませんよ、気にしないでください」

「え、しかし……」

「まぁまぁ」
  
  オロオロしているシスターさんを押し切り、わたしはマールちゃんと面会するのでした。









しおりを挟む
感想 890

あなたにおすすめの小説

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

精霊さんと一緒にスローライフ ~異世界でも現代知識とチートな精霊さんがいれば安心です~

ファンタジー
かわいい精霊さんと送る、スローライフ。 異世界に送り込まれたおっさんは、精霊さんと手を取り、スローライフをおくる。 夢は優しい国づくり。 『くに、つくりますか?』 『あめのぬぼこ、ぐるぐる』 『みぎまわりか、ひだりまわりか。それがもんだいなの』 いや、それはもう過ぎてますから。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!

まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。 そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。 その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する! 底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる! 第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

処理中です...