神々の間では異世界転移がブームらしいです。

神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第1部 《漆黒の少女》

127話 帝国とわたし

  ミッシェル様の検診も終わり、ユーリア様を交えて3人でお茶を飲んでいたのですが、突如、フレイド様が部屋にやって来ました。

「ユウ殿、すまないが王宮からの使いに会ってやってくれないか？」

「王宮からの使いですか？」

「ああ、先程、使いの竜騎士が来たのだが、要約するとユウ殿に治療を依頼したいとの事だ」

「治療の依頼ですか……王宮の使いという事は王族の誰かですか？」

「詳しくは使いの者から説明がある。
  私も先程聞いたばかりなのだ」

「分かりました、お会いしましょう」

  わたしは王宮から来たと言う竜騎士に会いう為にフレイド様について行きます。
  案内された部屋に入ると中に居たのは20代後半くらいの騎士です。
  なかなか鍛え上げていますね。
  
「シグル殿、こちらが娘のユーリアを治療して頂いた薬師のユウ殿だ」

「初めまして、薬師兼冒険者のユウです」

「お初にお目にかかります、私はシグル・フォン・ビートン、ミルミット王国飛竜騎士団の者です。
  この度は国王陛下の命により、ユウ殿に治療を依頼する為、参上致しました」

「わたしはまだ詳しい依頼内容は聞いていないのですが、誰が、どんな、病気にかかったのですか？」

「依頼主はミルミット王国の同盟国であるグリント帝国の皇帝ハイランド・フォン・グリント様です。
  先日、ダイン公爵家の後継であるルクス・フォン・ダイン氏が何者かに襲撃を受け、負傷を負ったそうなのですが、傷自体は治癒魔法で治療されたのですが、刃に毒を仕込まれていたらしいのです。
  今は治癒魔法でなんとか持ちこたえている様ですが、長くは持たないそうです。
  依頼は毒の解毒、成功報酬は望む物を与えるとの事です。
  もし、解毒が不可能でも診察して頂けるなら相応の報酬を用意するとお聞きしています」

「何で公爵家の後継を治療する報酬を皇帝が支払うのですか？」

「公爵家は皇族の縁戚だからだな、それに現在のダイン公爵は皇帝の弟にあたるからその縁も有るのだろう」

  フレイド様がわたしの疑問に答えてくれました。

「そう言う事ですか……お話は分かりましたが、帝国までは結構遠いんですよねぇ」

「そこをどうか、ミルミット王国とグリント帝国は現在は非常に友好的な関係を結んでいます。
  国王陛下もハイランド皇帝やダイン公爵とは親交が有るのです」

「ユウ殿、私からもお願いする。
  実は今回の患者であるルクスの母、ダイン公爵の奥方は私や国王陛下の学院生時代のクラスメイトなんだ」

「う～む、そうですね。
  まぁ、フレイド様にはお世話になっていますからね」

「では⁉︎」

「分かりました、お引き受けしましょう」

  こうしてわたしの帝国行きが決まったのです。
  シグルさんはわたしの了承を得たことを国王様に伝える為、ワイバーンに乗ると直ぐに飛び立って行きました。
  王宮には同盟国である帝国と連絡をとることが出来るマジックアイテムが有るそうです。
  長旅になるかもしれませんし、わたしも準備をしなければいけませんね。


  
  わたしは数日、ガストの街で準備を整え、帝国を目指し飛び立ったのです。