120 / 418
神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第1部 《漆黒の少女》
114話 死闘とわたし
しおりを挟む
振り回されるグランアイズの腕を避けていると、攻撃が当たらない事にイラついたのか、身体を大きく沈めたと思うと、身体を勢いよく降り、右回りに回転し、尻尾を叩きつけて来ました。
尾斬では無く、普通の身体強化された打撃です。
まぁ、普通のストーンドレイクは身体強化なんて出来ないのですが……
コレもわたしが戦った影響でしょうか?
身を屈めて尻尾の薙ぎ払いをやり過ごしたわたしは、グランアイズの左の膝裏に狙いを定めて、水龍の戦斧を振りかぶります。
「魔装《鱗戦斧》」
わたしの周りに漂っていた光の鱗の内の3分の1程が水龍の戦斧に殺到します。
あらかじめ小さく凝縮しておいた魔力を集める方が、1から魔力を凝縮するよりも精神的な負担が少なく、タメも短く済むのです。
膝裏の皮の薄い場所に、5層の魔力を纏った戦斧を叩きつけます。
水龍の戦斧は弾かれる事無く、グランアイズの膝裏に傷を付ける事が出来ました。
「ぐるるるぅ!」
何度も有効打を与えたわたしを、獲物では無く、排除するべき敵であると認識したのでしょう。
魔力を凝縮し、淡く光る爪をただわたしを殺す為だけに振るいます。
魂を刈り取る死神の大鎌の如き爪の一薙ぎを後方に跳び、紙一重で躱すと、爪の一振りの勢いのまま左に回転し、尾斬を繰り出して来ました。
速いですね。
まだ、空中に居るわたしはかわす事が出来ません。
狙ってやっているのならとんでも無く頭が良いです。
「魔装《鱗盾》」
光の鱗が集り、わたしの前に輝く盾を形作ります。
光の盾は、膨大な魔力が凝縮された尾斬を受けると砕け散ってしまいました。
しかし、尾斬もかなり勢いを殺され、金剛の剣を使い、防御力を上げる事で何とか耐える事が出来ました。
ダメージはあまり有りませんが、大きく弾き飛ばされました。
これは体格差からくる物です。
流石にあれ程の質量のある攻撃をその場で受け止める事は出来ません。
「光鱗」
残り僅かになっていた光鱗を補充します。
精神的な負担が少ないとは言え、長時間は無理ですね。
修行中は半日くらいは特に気にせずに維持出来ましたが、戦闘で激しく動いたり、光鱗を消費したりすると、思ったよりも消耗が激しいです。
やはり、短期決戦は避けられません。
そもそも、長期戦は不利です。
スタミナが違い過ぎます。
水龍の戦斧を双斧に持ち替えると、グランアイズの攻撃を避けながら懐に潜り込みます。
「魔装《鱗戦斧》」
両手の戦斧で、グランアイズの腹に裂傷を量産して行きます。
「ぐるらぁぁあ!」
「くっ!」
大ダメージを受けたグランアイズが身体を捩り、わたしを振り払おうとします。
特に強化された攻撃では有りませんでしたが、グランアイズの巨体からの一撃は人間から見ればその全てが必殺技です。
夜天のローブと光鱗鎧のお陰で、耐えられますが、その衝撃はわたしの体力をガンガン削ります。
周囲の光鱗が集り、先程、砕けてしまった光鱗鎧を修復して行きます。
わたしの体力も減って来ましたが、グランアイズの方もかなりのダメージを受けている様です。
「ぐるらあっ!」
「今です!」
グランアイズが威嚇の咆哮を上げた時に見せた僅かな隙に、魔力を込めて影縫いの刃を投擲します。
影縫いの刃はグランアイズの身体を外れ、後ろの岩山に突き立ちます。
外れた訳では有りません。
わたしの狙いは、初めから背後の岩山に写っていたグランアイズの影です。
影を固定されたグランアイズは動きを止めます。
長くは持ちませんね。
「魔装《鱗戦斧》」
もう1度、双斧の連撃をグランアイズのボディに叩き込みます。
影縫いの刃の効果が消える直前、水龍の戦斧の1撃で大きな傷を作っていた左の膝裏に右手の灰被りを叩き付け、魔力を込めます。
灰被りから生み出された炎がグランアイズの脚を焼きます。
わたしには火属性の適性が無い為、焼き払うと言う程の威力は有りませんが、それでも与えたダメージは小さくは有りません。
「ぐぉお!」
「あだだだ!」
グランアイズが魔力を纏った爪を地面に思いっきり叩きつけました。
砕けた地面は、無数の石飛礫となりわたしのなけなしの体力を削って行きます。
グランアイズは全身から血を流し、満身創痍と言った様子です。
対するわたしも体力も魔力も殆ど残っていません。
光鱗の負担はわたしの予想より重かった様です。
「ぐぉぉぉぉおん!」
グランアイズの右の爪に魔力が凝縮されて行きます。
輝きが今までの物と違います。
グランアイズの残りの魔力の大半をつぎ込んだのでしょう。
まさに全力の1撃を放とうとしている様です。
「いいでしょう、受けて立ちます!」
わたしも残りの魔力を水龍の戦斧に集めます。
周囲の光鱗だけでなく、光鱗鎧も分解して全魔力を注ぎ込みます。
恐らくこの攻撃を放つとわたしは魔力切れで倒れるでしょう。
後の事はオリオンに任せます。
わたしは上空を飛んで様子を伺っているオリオンの姿をチラリと見ると、グランアイズに向けて水龍の戦斧を構えます。
魔力は今までで最高の11層です。
「さぁ、これが最後の「ぐるらぁぁあ!」です!」
最後の最後まで…………許しません!
尾斬では無く、普通の身体強化された打撃です。
まぁ、普通のストーンドレイクは身体強化なんて出来ないのですが……
コレもわたしが戦った影響でしょうか?
身を屈めて尻尾の薙ぎ払いをやり過ごしたわたしは、グランアイズの左の膝裏に狙いを定めて、水龍の戦斧を振りかぶります。
「魔装《鱗戦斧》」
わたしの周りに漂っていた光の鱗の内の3分の1程が水龍の戦斧に殺到します。
あらかじめ小さく凝縮しておいた魔力を集める方が、1から魔力を凝縮するよりも精神的な負担が少なく、タメも短く済むのです。
膝裏の皮の薄い場所に、5層の魔力を纏った戦斧を叩きつけます。
水龍の戦斧は弾かれる事無く、グランアイズの膝裏に傷を付ける事が出来ました。
「ぐるるるぅ!」
何度も有効打を与えたわたしを、獲物では無く、排除するべき敵であると認識したのでしょう。
魔力を凝縮し、淡く光る爪をただわたしを殺す為だけに振るいます。
魂を刈り取る死神の大鎌の如き爪の一薙ぎを後方に跳び、紙一重で躱すと、爪の一振りの勢いのまま左に回転し、尾斬を繰り出して来ました。
速いですね。
まだ、空中に居るわたしはかわす事が出来ません。
狙ってやっているのならとんでも無く頭が良いです。
「魔装《鱗盾》」
光の鱗が集り、わたしの前に輝く盾を形作ります。
光の盾は、膨大な魔力が凝縮された尾斬を受けると砕け散ってしまいました。
しかし、尾斬もかなり勢いを殺され、金剛の剣を使い、防御力を上げる事で何とか耐える事が出来ました。
ダメージはあまり有りませんが、大きく弾き飛ばされました。
これは体格差からくる物です。
流石にあれ程の質量のある攻撃をその場で受け止める事は出来ません。
「光鱗」
残り僅かになっていた光鱗を補充します。
精神的な負担が少ないとは言え、長時間は無理ですね。
修行中は半日くらいは特に気にせずに維持出来ましたが、戦闘で激しく動いたり、光鱗を消費したりすると、思ったよりも消耗が激しいです。
やはり、短期決戦は避けられません。
そもそも、長期戦は不利です。
スタミナが違い過ぎます。
水龍の戦斧を双斧に持ち替えると、グランアイズの攻撃を避けながら懐に潜り込みます。
「魔装《鱗戦斧》」
両手の戦斧で、グランアイズの腹に裂傷を量産して行きます。
「ぐるらぁぁあ!」
「くっ!」
大ダメージを受けたグランアイズが身体を捩り、わたしを振り払おうとします。
特に強化された攻撃では有りませんでしたが、グランアイズの巨体からの一撃は人間から見ればその全てが必殺技です。
夜天のローブと光鱗鎧のお陰で、耐えられますが、その衝撃はわたしの体力をガンガン削ります。
周囲の光鱗が集り、先程、砕けてしまった光鱗鎧を修復して行きます。
わたしの体力も減って来ましたが、グランアイズの方もかなりのダメージを受けている様です。
「ぐるらあっ!」
「今です!」
グランアイズが威嚇の咆哮を上げた時に見せた僅かな隙に、魔力を込めて影縫いの刃を投擲します。
影縫いの刃はグランアイズの身体を外れ、後ろの岩山に突き立ちます。
外れた訳では有りません。
わたしの狙いは、初めから背後の岩山に写っていたグランアイズの影です。
影を固定されたグランアイズは動きを止めます。
長くは持ちませんね。
「魔装《鱗戦斧》」
もう1度、双斧の連撃をグランアイズのボディに叩き込みます。
影縫いの刃の効果が消える直前、水龍の戦斧の1撃で大きな傷を作っていた左の膝裏に右手の灰被りを叩き付け、魔力を込めます。
灰被りから生み出された炎がグランアイズの脚を焼きます。
わたしには火属性の適性が無い為、焼き払うと言う程の威力は有りませんが、それでも与えたダメージは小さくは有りません。
「ぐぉお!」
「あだだだ!」
グランアイズが魔力を纏った爪を地面に思いっきり叩きつけました。
砕けた地面は、無数の石飛礫となりわたしのなけなしの体力を削って行きます。
グランアイズは全身から血を流し、満身創痍と言った様子です。
対するわたしも体力も魔力も殆ど残っていません。
光鱗の負担はわたしの予想より重かった様です。
「ぐぉぉぉぉおん!」
グランアイズの右の爪に魔力が凝縮されて行きます。
輝きが今までの物と違います。
グランアイズの残りの魔力の大半をつぎ込んだのでしょう。
まさに全力の1撃を放とうとしている様です。
「いいでしょう、受けて立ちます!」
わたしも残りの魔力を水龍の戦斧に集めます。
周囲の光鱗だけでなく、光鱗鎧も分解して全魔力を注ぎ込みます。
恐らくこの攻撃を放つとわたしは魔力切れで倒れるでしょう。
後の事はオリオンに任せます。
わたしは上空を飛んで様子を伺っているオリオンの姿をチラリと見ると、グランアイズに向けて水龍の戦斧を構えます。
魔力は今までで最高の11層です。
「さぁ、これが最後の「ぐるらぁぁあ!」です!」
最後の最後まで…………許しません!
2
お気に入りに追加
2,354
あなたにおすすめの小説
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
地獄の手違いで殺されてしまったが、閻魔大王が愛猫と一緒にネット環境付きで異世界転生させてくれました。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作、面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
高橋翔は地獄の官吏のミスで寿命でもないのに殺されてしまった。だが流石に地獄の十王達だった。配下の失敗にいち早く気付き、本来なら地獄の泰広王(不動明王)だけが初七日に審理する場に、十王全員が勢揃いして善後策を協議する事になった。だが、流石の十王達でも、配下の失敗に気がつくのに六日掛かっていた、高橋翔の身体は既に焼かれて灰となっていた。高橋翔は閻魔大王たちを相手に交渉した。現世で残されていた寿命を異世界で全うさせてくれる事。どのような異世界であろうと、異世界間ネットスーパーを利用して元の生活水準を保証してくれる事。死ぬまでに得ていた貯金と家屋敷、死亡保険金を保証して異世界で使えるようにする事。更には異世界に行く前に地獄で鍛錬させてもらう事まで要求し、権利を勝ち取った。そのお陰で異世界では楽々に生きる事ができた。
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ユウ
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
器用さんと頑張り屋さんは異世界へ 〜魔剣の正しい作り方〜
白銀六花
ファンタジー
理科室に描かれた魔法陣。
光を放つ床に目を瞑る器用さんと頑張り屋さん。
目を開いてみればそこは異世界だった!
魔法のある世界で赤ちゃん並みの魔力を持つ二人は武器を作る。
あれ?武器作りって楽しいんじゃない?
武器を作って素手で戦う器用さんと、武器を振るって無双する頑張り屋さんの異世界生活。
なろうでも掲載中です。
俺は善人にはなれない
気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる