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アルタリア大陸編
33話 第2階層『遺跡』③
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頭上から振り下ろされるサビの浮いた蛮刀を、両の手の間に張った鎖で受け止めると同時に、左腕を引き衝撃を受け流す。
するとスケルトンは蛮刀を振る下ろした格好のまま姿勢を崩した。
「はっ!」
私は不用心にも目の前に晒された頸椎を目掛けて右手の鎌を一閃する。
それでもなお、蛮刀を振るおうとするスケルトンだったが、足下に落ちて来た髑髏を踏み抜くとガラガラと音を立てて崩れて行った。
「あと何体くらいだ?」
「4~5体ってところね」
息も絶え絶えに問うマルクに代わり、数を数えてあげた。
「…………⁉︎」
「モルド⁉︎」
突然、モルドが私達の前に飛び出すと腰を落として盾を構える。
直後、モルドの前方から大きな爆発音と激しい熱風が私達の方へと押し寄せて来た。
「ぐっ!」
「な、なに?」
「これは……魔法?」
見れば残りのスケルトンの中心に杖を構えたスケルトンが居る。
「何だ?魔法を使うスケルトンなんて聞いたことないぜ?」
「まさか……死の魔術師⁉︎」
「…………Dランクダンジョンで……あり得ない」
ソニア達が驚愕の声を上げる。
リッチと言えば、魔法を使うアンデットと言われて1番初めに思い浮かぶものだろう。
リッチとは高位の魔術師が死霊術の禁術や邪悪な呪いなどで不死者へと堕ちた存在だ。
それは、例え“下位”であったとしても駆け出しに毛の生えた程度の冒険者が勝てる相手ではない。
しかし……私には見えていた。
「落ち着いて!アレはリッチなんかではないわ!
“聖なる光”」
ホーリーライトに照らされてスケルトンは動きを止める。
だが、その光の中であって、中央の杖持ちのスケルトンはガタガタと震え出していた。
そして、杖持ちのスケルトンはとうとう崩れ落ちてしまった。
「あ、あれは!」
「あいつが魔法を使った正体よ!」
『ウィル・オ・ウィスプ 』
○クラス
【魔法使い】
○スキル
【騒霊】
ホーリーライトでスケルトンの骨から引き剥がされたのは青白く燃える火の玉、ウィル・オ・ウィスプ だった。
おそらく【騒霊】とか言うスキルでスケルトンの骨を操っていたのだろう。
ウィル・オ・ウィスプ の種族固有のスキルかも知れない。
私は【鑑定】で見抜く事が出来たが、冒険者の中にはDランクダンジョンである《始まりの洞窟》でリッチと遭遇したと勘違いしてパニックに陥る者も居るのではないかと思う。
如何にも最終関門然とした問題を正解した直後、大量のスケルトンの襲撃に加えて偽リッチとは、実に嫌らしい。
このダンジョンを創った神とやらは性格が悪いに違いない。
ウィル・オ・ウィスプ は怪しく揺らめくその身を翻して先程のダメージが残るモルドへと襲い掛かった。
「モルド!」
「不味い!」
ソニアとマルクがモルドのカバーへと走る。
「防壁」
私は地面に手を置くと魔力を込めてモルドとスケルトンの間に土壁を作り上げる。
「うぉぉお!」
マルクはモルドの盾を足場に跳躍するとウィル・オ・ウィスプ を真っ二つに斬りつける。
しかし、ウィル・オ・ウィスプ は一度霧のように霧散したかと思うと、何事も無かったかのように再び現れる。
「だ、ダメだ。効いてねぇ!」
それでもマルクは剣を振りモルドがポーションを飲む時間を稼ぐ。
「マルク!ウィル・オ・ウィスプ に物理攻撃は効かないわ!
私が倒すから3人はスケルトンをお願い!」
「わかった!」
「気を付けて!」
「…………」
3人は壁の向こう側のスケルトンを倒しに行ってもらう。
向こうはスケルトンが4体、3人なら問題なく倒せる相手だろう。
「さて、私は火の玉退治と行きましょうか」
まさか異世界でゴーストバスターをする事になるとは予想外だったわ。
するとスケルトンは蛮刀を振る下ろした格好のまま姿勢を崩した。
「はっ!」
私は不用心にも目の前に晒された頸椎を目掛けて右手の鎌を一閃する。
それでもなお、蛮刀を振るおうとするスケルトンだったが、足下に落ちて来た髑髏を踏み抜くとガラガラと音を立てて崩れて行った。
「あと何体くらいだ?」
「4~5体ってところね」
息も絶え絶えに問うマルクに代わり、数を数えてあげた。
「…………⁉︎」
「モルド⁉︎」
突然、モルドが私達の前に飛び出すと腰を落として盾を構える。
直後、モルドの前方から大きな爆発音と激しい熱風が私達の方へと押し寄せて来た。
「ぐっ!」
「な、なに?」
「これは……魔法?」
見れば残りのスケルトンの中心に杖を構えたスケルトンが居る。
「何だ?魔法を使うスケルトンなんて聞いたことないぜ?」
「まさか……死の魔術師⁉︎」
「…………Dランクダンジョンで……あり得ない」
ソニア達が驚愕の声を上げる。
リッチと言えば、魔法を使うアンデットと言われて1番初めに思い浮かぶものだろう。
リッチとは高位の魔術師が死霊術の禁術や邪悪な呪いなどで不死者へと堕ちた存在だ。
それは、例え“下位”であったとしても駆け出しに毛の生えた程度の冒険者が勝てる相手ではない。
しかし……私には見えていた。
「落ち着いて!アレはリッチなんかではないわ!
“聖なる光”」
ホーリーライトに照らされてスケルトンは動きを止める。
だが、その光の中であって、中央の杖持ちのスケルトンはガタガタと震え出していた。
そして、杖持ちのスケルトンはとうとう崩れ落ちてしまった。
「あ、あれは!」
「あいつが魔法を使った正体よ!」
『ウィル・オ・ウィスプ 』
○クラス
【魔法使い】
○スキル
【騒霊】
ホーリーライトでスケルトンの骨から引き剥がされたのは青白く燃える火の玉、ウィル・オ・ウィスプ だった。
おそらく【騒霊】とか言うスキルでスケルトンの骨を操っていたのだろう。
ウィル・オ・ウィスプ の種族固有のスキルかも知れない。
私は【鑑定】で見抜く事が出来たが、冒険者の中にはDランクダンジョンである《始まりの洞窟》でリッチと遭遇したと勘違いしてパニックに陥る者も居るのではないかと思う。
如何にも最終関門然とした問題を正解した直後、大量のスケルトンの襲撃に加えて偽リッチとは、実に嫌らしい。
このダンジョンを創った神とやらは性格が悪いに違いない。
ウィル・オ・ウィスプ は怪しく揺らめくその身を翻して先程のダメージが残るモルドへと襲い掛かった。
「モルド!」
「不味い!」
ソニアとマルクがモルドのカバーへと走る。
「防壁」
私は地面に手を置くと魔力を込めてモルドとスケルトンの間に土壁を作り上げる。
「うぉぉお!」
マルクはモルドの盾を足場に跳躍するとウィル・オ・ウィスプ を真っ二つに斬りつける。
しかし、ウィル・オ・ウィスプ は一度霧のように霧散したかと思うと、何事も無かったかのように再び現れる。
「だ、ダメだ。効いてねぇ!」
それでもマルクは剣を振りモルドがポーションを飲む時間を稼ぐ。
「マルク!ウィル・オ・ウィスプ に物理攻撃は効かないわ!
私が倒すから3人はスケルトンをお願い!」
「わかった!」
「気を付けて!」
「…………」
3人は壁の向こう側のスケルトンを倒しに行ってもらう。
向こうはスケルトンが4体、3人なら問題なく倒せる相手だろう。
「さて、私は火の玉退治と行きましょうか」
まさか異世界でゴーストバスターをする事になるとは予想外だったわ。
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