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アルタリア大陸編
28話 第1階層『森 』②
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「この洞窟もハズレだな」
崖に出来た亀裂の様な洞窟の中を伺ってマルクが言った。
この洞窟で3本目だ。
1本目は同じように一目で全容がわかる浅い洞窟……いや窪みと言ったろうが正しいか。
2本目は10分程で探索が終わる程度の洞窟だった。
「今日はもうこの辺で休みましょう。
日が落ちるわ」
なんでダンジョンの中で夕日が見えるのか、不思議だ。
幸い、小川が近くに有った為、3本目の洞窟で野営する事になった。
魔法を使い手早く火を起こすと干し肉や乾燥野菜を鍋で煮る。
味を整えた後はソニアに鍋を任せて軽く採取を行う。
小さな果実を付けた木から取りすぎない様に採取する。
「それも薬草なのか?」
「ええ、これはケンポナシよ。
二日酔いに効果的な解毒薬が作れるし、花柄は食べられるわ」
「へぇ……甘いな」
花柄を口に含んだマルクがモソモソと言う。
「他には薬草はないの?」
マルクを押し退ける様にソニアがやって来る。
鍋の方はモルドに押し付けた様だ。
私は周囲を見回して目に入った薬草をいくつか教える。
「ゲンノショウコ、煎じて飲めば腹痛にきくわね。
こっちはクサノオウね。
乾燥させた物を煎じた液は湿疹に効くし、生の茎葉の絞り汁は虫刺されに効果的だわ。
ただし、食べると痙攣や酷いと呼吸困難を起こすから食べちゃダメよ」
「へぇ、意外と薬草って多いのね」
「買い取って貰える物なのか?」
「う~ん?
医療ギルドで買い取ってはくれるだろうけど、その辺に生えている物がほとんどだからあまり高くは売れないわよ?」
「そうなのか?」
「ええ、基本的に高く買い取って貰えるのは魔法薬の材料になる薬草よ。
この辺の薬草は生薬に使う物ばかりね」
魔法薬とは読んで字の如く魔法のお薬だ。
使用すればすぐに効果があるもので、汎用性が高い為、常に需要がある。
「でも基本的な物だけでも覚えておけばいざという時に役に立つかも知れないわ」
ソニアは私が説明する薬草の特徴や用法をしっかりとメモし始めた。
「変ね」
そのまま、しばらく薬草の説明を続けていると不自然な事に気がついた。
「どうしたの」
「不自然なのよ。
この辺りの薬草……いえ、薬草だけじゃないわ。
このダンジョンの植物はどれも季節や棲息地域がバラバラなのよ」
「そうなの?」
「ええ、どうなっているのかしら?」
「そんなのダンジョンだからだろ?」
…………マルクとソニアはキョトンとしていた。
え?この世界では『ダンジョンだから』で納得されるの?
異世界ギャップに驚く私を他所に鍋が完成したらしく2人ともモルドの方に戻って行った。
なんだかな~?
食後は大人しく体を休める。
見張りはマルクとモルド、私とソニアの2交代制だ。
始めにマルクとモルドが見張りを始め、私とソニアは眠りに就いた。
「⁉︎」
眠りに就いてからしばらく、私は突然目を覚ました。
一瞬遅れてマルクとモルドが駆け寄って来た。
「ソニア、リン、起きろ!森の様子が変だ!」
マルクの声にソニアも飛び起きる。
「何が有ったの?」
「…………わからない。だが……森から妙な視線を感じる」
モルドが出会ってから1番長文を話した。
【索敵】を使うと野営地の周囲に複数の反応を見つけた。
「囲まれてるわ。数は……15体……少し離れて1体、多分群の統率者ね」
「16体か……気を付けろ!来るぞ!」
マルクの声に応えるかの様に森から魔物の群れが飛び出してきた。
崖に出来た亀裂の様な洞窟の中を伺ってマルクが言った。
この洞窟で3本目だ。
1本目は同じように一目で全容がわかる浅い洞窟……いや窪みと言ったろうが正しいか。
2本目は10分程で探索が終わる程度の洞窟だった。
「今日はもうこの辺で休みましょう。
日が落ちるわ」
なんでダンジョンの中で夕日が見えるのか、不思議だ。
幸い、小川が近くに有った為、3本目の洞窟で野営する事になった。
魔法を使い手早く火を起こすと干し肉や乾燥野菜を鍋で煮る。
味を整えた後はソニアに鍋を任せて軽く採取を行う。
小さな果実を付けた木から取りすぎない様に採取する。
「それも薬草なのか?」
「ええ、これはケンポナシよ。
二日酔いに効果的な解毒薬が作れるし、花柄は食べられるわ」
「へぇ……甘いな」
花柄を口に含んだマルクがモソモソと言う。
「他には薬草はないの?」
マルクを押し退ける様にソニアがやって来る。
鍋の方はモルドに押し付けた様だ。
私は周囲を見回して目に入った薬草をいくつか教える。
「ゲンノショウコ、煎じて飲めば腹痛にきくわね。
こっちはクサノオウね。
乾燥させた物を煎じた液は湿疹に効くし、生の茎葉の絞り汁は虫刺されに効果的だわ。
ただし、食べると痙攣や酷いと呼吸困難を起こすから食べちゃダメよ」
「へぇ、意外と薬草って多いのね」
「買い取って貰える物なのか?」
「う~ん?
医療ギルドで買い取ってはくれるだろうけど、その辺に生えている物がほとんどだからあまり高くは売れないわよ?」
「そうなのか?」
「ええ、基本的に高く買い取って貰えるのは魔法薬の材料になる薬草よ。
この辺の薬草は生薬に使う物ばかりね」
魔法薬とは読んで字の如く魔法のお薬だ。
使用すればすぐに効果があるもので、汎用性が高い為、常に需要がある。
「でも基本的な物だけでも覚えておけばいざという時に役に立つかも知れないわ」
ソニアは私が説明する薬草の特徴や用法をしっかりとメモし始めた。
「変ね」
そのまま、しばらく薬草の説明を続けていると不自然な事に気がついた。
「どうしたの」
「不自然なのよ。
この辺りの薬草……いえ、薬草だけじゃないわ。
このダンジョンの植物はどれも季節や棲息地域がバラバラなのよ」
「そうなの?」
「ええ、どうなっているのかしら?」
「そんなのダンジョンだからだろ?」
…………マルクとソニアはキョトンとしていた。
え?この世界では『ダンジョンだから』で納得されるの?
異世界ギャップに驚く私を他所に鍋が完成したらしく2人ともモルドの方に戻って行った。
なんだかな~?
食後は大人しく体を休める。
見張りはマルクとモルド、私とソニアの2交代制だ。
始めにマルクとモルドが見張りを始め、私とソニアは眠りに就いた。
「⁉︎」
眠りに就いてからしばらく、私は突然目を覚ました。
一瞬遅れてマルクとモルドが駆け寄って来た。
「ソニア、リン、起きろ!森の様子が変だ!」
マルクの声にソニアも飛び起きる。
「何が有ったの?」
「…………わからない。だが……森から妙な視線を感じる」
モルドが出会ってから1番長文を話した。
【索敵】を使うと野営地の周囲に複数の反応を見つけた。
「囲まれてるわ。数は……15体……少し離れて1体、多分群の統率者ね」
「16体か……気を付けろ!来るぞ!」
マルクの声に応えるかの様に森から魔物の群れが飛び出してきた。
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