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アルタリア大陸編
25話 盗賊の拠点
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「あそこが盗賊の拠点みたいね」
木陰や背の高い草陰に身を隠した私達の視線の先には洞窟の前で酒を煽り、下品な笑い声をあげる数人の盗賊と酌をさせられている若い女性がいる。
「1……2……3人、あの盗賊の話だと5人の女性が捕らえられているはずだから残りの2人は洞窟の中かしら?」
「ちょっと待って……“探索”」
と言いつつ使うのは【索敵】スキルだ。
「中に6人居るわ」
洞窟の中には6人分の気配がある。
多分、その内の2人が捕らえられている女性だろう。
一緒にいるのは盗賊のボスと幹部かな?
「よし、行くぞ!」
マルクの言葉に頷くと私達は一斉に飛び出した。
「なんだ⁉︎」
「て、敵しぶっ!」
慌てて立ち上がろうとしていた男の眉間にソニアの矢が突き刺さる。
「ふっ!」
私の投げた分銅が盗賊の足に巻き付く。
鎖を掴み、盗賊の足を払うと、ひっくり返った盗賊の喉を鎌で割く。
「え⁉︎ え⁉︎ え⁉︎」
「落ち着いて!助けに来たわ」
私はパニックになっている女性に声をかける。
「た、助けて……くれるの?」
「ええ、もう大丈夫よ」
涙を流す女性をモルドに任せて次の盗賊へ向かう。
こうして物の数十分で洞窟前の盗賊を一掃し、3人の女性を助け出した私達は、これから洞窟へと突入する。
「モルドとソニアは入り口で助けた人達を護衛してくれ、中に入るのは俺とリンだけだ」
「洞窟の中では弓は不利だしね、仕方ないわ」
私とマルクは洞窟の中に滑り込んだ。
洞窟の中は狭く武器を振るうには窮屈だが、駆けるくらいには問題はない。
少し入った場所で洞窟は二股に分岐していた。
「こっちよ」
しかし、私の【索敵】スキルによると、片方の道の先には誰も居ない。
「止まって!」
通路の先の部屋の前で立ち止まった私達は部屋の中を伺う。
中には4人の偉そうな盗賊共と2人の若い女性が居る。
「どうする?」
「…………女性から離れている2人は私が魔法で吹き飛ばす。
盗賊が怯んだ隙に私達2人で生き残りを仕留めるって言うのはどう?」
「どうって……かなり雑だが、細かいことを詰めている時間もないか」
私はマルクとタイミングを計り同時に部屋の中へと飛び込んだ。
「“爆発球”」
私が放った野球ボール程の火球が少し離れた所に居た盗賊達の方に飛ぶと部屋を揺らすような爆発を起こす。
その戦果を見ないまま私はマルクと共に慌てている盗賊に迫る。
女性達を人質に取られる前に速やかに始末しなければならない。
「ちっ!敵襲だ!」
慌てて剣に手を伸ばす盗賊よりも早く私が投げた分銅が剣を取り上げる。
「なっ!」
驚く盗賊の脇腹に鋭く鎌を突き立てる。
マルクの方は盗賊の剣を払い落とし、その動きから流れるような切り上げで盗賊の首を落としていた。
木陰や背の高い草陰に身を隠した私達の視線の先には洞窟の前で酒を煽り、下品な笑い声をあげる数人の盗賊と酌をさせられている若い女性がいる。
「1……2……3人、あの盗賊の話だと5人の女性が捕らえられているはずだから残りの2人は洞窟の中かしら?」
「ちょっと待って……“探索”」
と言いつつ使うのは【索敵】スキルだ。
「中に6人居るわ」
洞窟の中には6人分の気配がある。
多分、その内の2人が捕らえられている女性だろう。
一緒にいるのは盗賊のボスと幹部かな?
「よし、行くぞ!」
マルクの言葉に頷くと私達は一斉に飛び出した。
「なんだ⁉︎」
「て、敵しぶっ!」
慌てて立ち上がろうとしていた男の眉間にソニアの矢が突き刺さる。
「ふっ!」
私の投げた分銅が盗賊の足に巻き付く。
鎖を掴み、盗賊の足を払うと、ひっくり返った盗賊の喉を鎌で割く。
「え⁉︎ え⁉︎ え⁉︎」
「落ち着いて!助けに来たわ」
私はパニックになっている女性に声をかける。
「た、助けて……くれるの?」
「ええ、もう大丈夫よ」
涙を流す女性をモルドに任せて次の盗賊へ向かう。
こうして物の数十分で洞窟前の盗賊を一掃し、3人の女性を助け出した私達は、これから洞窟へと突入する。
「モルドとソニアは入り口で助けた人達を護衛してくれ、中に入るのは俺とリンだけだ」
「洞窟の中では弓は不利だしね、仕方ないわ」
私とマルクは洞窟の中に滑り込んだ。
洞窟の中は狭く武器を振るうには窮屈だが、駆けるくらいには問題はない。
少し入った場所で洞窟は二股に分岐していた。
「こっちよ」
しかし、私の【索敵】スキルによると、片方の道の先には誰も居ない。
「止まって!」
通路の先の部屋の前で立ち止まった私達は部屋の中を伺う。
中には4人の偉そうな盗賊共と2人の若い女性が居る。
「どうする?」
「…………女性から離れている2人は私が魔法で吹き飛ばす。
盗賊が怯んだ隙に私達2人で生き残りを仕留めるって言うのはどう?」
「どうって……かなり雑だが、細かいことを詰めている時間もないか」
私はマルクとタイミングを計り同時に部屋の中へと飛び込んだ。
「“爆発球”」
私が放った野球ボール程の火球が少し離れた所に居た盗賊達の方に飛ぶと部屋を揺らすような爆発を起こす。
その戦果を見ないまま私はマルクと共に慌てている盗賊に迫る。
女性達を人質に取られる前に速やかに始末しなければならない。
「ちっ!敵襲だ!」
慌てて剣に手を伸ばす盗賊よりも早く私が投げた分銅が剣を取り上げる。
「なっ!」
驚く盗賊の脇腹に鋭く鎌を突き立てる。
マルクの方は盗賊の剣を払い落とし、その動きから流れるような切り上げで盗賊の首を落としていた。
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