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アルタリア大陸編
22話 ソニアの誘い
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「それじゃあ、これが私の買い取りで、こっちが薬の調合、こっちは売却でいいわね?」
「ああ、頼む」
私が尋ねると《大樹の雫》のリーダー、マルクはそう答えた。
今日は何度目かになる合同の薬草採取を行っていた。
《大樹の雫》の3人は私に雇われている訳ではない。
護衛の必要も無いのに報酬なんか貰えないと言われたのだ。
ただ一緒に採取に来ただけだ。
彼らの採取した薬草を優先的に売ってもらい、代金でポーションなどを調合してあげる。
とてもwin-winな取引だ。
「ねぇ、リンはずっとダラスの街で暮らすの?」
そんな小さな冒険の帰り道、辺りを警戒しながらソニアが話を振ってきた。
「いつまでとは決めてないけどその内旅に出るつもりよ。
自分の目で世界を見てから気に入った場所に根を下ろそうかと思っているわ」
「そう……」
「?」
ソニアはマルクとモルトに素早く視線をやり、なにやら無言のやり取りの後、全員が頷いた。
「リン、もし良かったら私達と一緒にダンジョンに行かない?」
「ダンジョン?」
「ああ、ダラスの街から王都に向かう途中に神創のダンジョンがあるんだ」
「え、でも神創のダンジョンなんて危険でしょ?」
たしか、神創のダンジョンは難易度が高いと何かに書いていたと思う。
「いや、そこは神創のダンジョンとしては珍しいDランクダンジョンなんだ」
マルスとソニアの説明によると、ダンジョンにはダンジョンランクと言う物があるらしい。
そしてダンジョンランクはそのまま冒険者の攻略適正ランクとなる。
そのダンジョンがDランクダンジョンだと言うなら適正ランクはDランクだ。
そして《大樹の雫》はついこの前Dランクに上がったばかりだったはず。
そこで活動の拠点を王都に移すついでに神創のダンジョンに挑戦しようか、となったらしい。
「それでなんで私に声をかける事になったのよ?」
「いや、ほら、私達って魔法が使えないじゃない?
本格的なダンジョンは初めてだし強い魔法使いに助っ人を頼みたいのよ」
「頼むリン!王都までの野営の見張りは俺たちが引き受けるし、馬車のレンタル代も俺たちが持つ。
後は~、え~と……」
「もういいわよ。
分かったわ、一緒にダンジョンに行きましょ」
「おお!」
「やった!」
「…………(こくん)」
いや、モルドも喋りなさいよ。
「それで、そのダンジョンは何処にあるの?」
「王都に近いアルリカの街よ」
「アルリカ?」
「ええ、勇者生誕の地、アルリカよ」
勇者……そう、この世界には勇者が存在する。
ただし、勇者がいたのは数百年前の話だ。
なんでも数百年前、人類は人間、獣人、エルフ、ドワーフ、魔族、その為の種族を含め数多くの勢力が争う時代があったらしい。
その時代にある1人の魔族が名を上げる。
【魔王】のクラスを持っていたその魔族は、瞬く間に一大勢力を築き上げた。
魔王の勢力に脅威を感じた人々は団結し、魔王を打ち倒す事に成功した。
その中心となったのが勇者と3人の勇士らしい。
つまり、昔の英雄だね。
坂本龍馬とか織田信長的な存在よ、勇者って。
どうもその勇者の誕生の地に行く事になりそう。
「ああ、頼む」
私が尋ねると《大樹の雫》のリーダー、マルクはそう答えた。
今日は何度目かになる合同の薬草採取を行っていた。
《大樹の雫》の3人は私に雇われている訳ではない。
護衛の必要も無いのに報酬なんか貰えないと言われたのだ。
ただ一緒に採取に来ただけだ。
彼らの採取した薬草を優先的に売ってもらい、代金でポーションなどを調合してあげる。
とてもwin-winな取引だ。
「ねぇ、リンはずっとダラスの街で暮らすの?」
そんな小さな冒険の帰り道、辺りを警戒しながらソニアが話を振ってきた。
「いつまでとは決めてないけどその内旅に出るつもりよ。
自分の目で世界を見てから気に入った場所に根を下ろそうかと思っているわ」
「そう……」
「?」
ソニアはマルクとモルトに素早く視線をやり、なにやら無言のやり取りの後、全員が頷いた。
「リン、もし良かったら私達と一緒にダンジョンに行かない?」
「ダンジョン?」
「ああ、ダラスの街から王都に向かう途中に神創のダンジョンがあるんだ」
「え、でも神創のダンジョンなんて危険でしょ?」
たしか、神創のダンジョンは難易度が高いと何かに書いていたと思う。
「いや、そこは神創のダンジョンとしては珍しいDランクダンジョンなんだ」
マルスとソニアの説明によると、ダンジョンにはダンジョンランクと言う物があるらしい。
そしてダンジョンランクはそのまま冒険者の攻略適正ランクとなる。
そのダンジョンがDランクダンジョンだと言うなら適正ランクはDランクだ。
そして《大樹の雫》はついこの前Dランクに上がったばかりだったはず。
そこで活動の拠点を王都に移すついでに神創のダンジョンに挑戦しようか、となったらしい。
「それでなんで私に声をかける事になったのよ?」
「いや、ほら、私達って魔法が使えないじゃない?
本格的なダンジョンは初めてだし強い魔法使いに助っ人を頼みたいのよ」
「頼むリン!王都までの野営の見張りは俺たちが引き受けるし、馬車のレンタル代も俺たちが持つ。
後は~、え~と……」
「もういいわよ。
分かったわ、一緒にダンジョンに行きましょ」
「おお!」
「やった!」
「…………(こくん)」
いや、モルドも喋りなさいよ。
「それで、そのダンジョンは何処にあるの?」
「王都に近いアルリカの街よ」
「アルリカ?」
「ええ、勇者生誕の地、アルリカよ」
勇者……そう、この世界には勇者が存在する。
ただし、勇者がいたのは数百年前の話だ。
なんでも数百年前、人類は人間、獣人、エルフ、ドワーフ、魔族、その為の種族を含め数多くの勢力が争う時代があったらしい。
その時代にある1人の魔族が名を上げる。
【魔王】のクラスを持っていたその魔族は、瞬く間に一大勢力を築き上げた。
魔王の勢力に脅威を感じた人々は団結し、魔王を打ち倒す事に成功した。
その中心となったのが勇者と3人の勇士らしい。
つまり、昔の英雄だね。
坂本龍馬とか織田信長的な存在よ、勇者って。
どうもその勇者の誕生の地に行く事になりそう。
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