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アルタリア大陸編
15話 原因探し
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「どうしたんだ、急に怖い顔をして?」
呑気な事を言いながらコップに口をつけようとするテオロさんの腕を掴んで止める。
「お、おい、なんなんだ?」
テオロさんの水を鑑定すると、やはり毒が混ざっている。
「見つけたわ。病気の原因はこの水よ」
「な、なんだって⁉︎」
「この水はどこで?」
「村長の屋敷の水瓶だ。水瓶の水は毎朝、井戸から汲んでいる筈だ」
「患者の看病に使う水は私が魔法で出します。
テオロさんは、今晩は水を飲まない様にすぐに村人に知らせて」
「わかった!」
テオロさんは慌てて部屋を飛び出して行った。
翌日、村長や村の主な人物を集めた。
「では村の水に毒が……」
「はい、朝一で各家の水瓶と井戸を調べたのですが、全て汚染されていました」
「全てが……だ、誰かが井戸に毒を投げ込んだと言う事か⁉︎」
「いえ、テオロさん。
最初の女の子が発病してからもう1週間近く経ちます。
しかし、井戸の毒が薄まった様子は有りません。
戦争などで井戸を潰すつもりで使う猛毒とは違い、今回の毒は主に子供や老人が体調を崩していますが、体力のある男性には全く効いていません。
あまり強い毒ではないか、既にかなり薄まった状態だと思われます」
「じゃあ、毒は何処から?」
「おそらく、水源に何かあったのではないかと……」
私が予想を伝えると村人達は暗い顔になる。
水源が汚染されて井戸が使えないとなると死活問題だ。
半日以上掛けて街に水を買いに行く訳には行かない。
今後井戸が使えないとなると村を捨てる事になるだろう。
「……だから私はこれから水源を確認しに行ってくるわ」
私の言葉に村人達は驚く。
「し、しかし、薬師殿にそこまでして頂く訳には……」
「今回私が受けた依頼は病人の治療と病気の原因究明。
原因が水源にあるなら少々様子を見てくるぐらいは依頼のうちよ」
「だが、水源がある山にはゴブリン以上の魔物も出るんだぞ?」
テオロさんが心配そうに言う。
「問題ないわ。無理そうならギルドからの応援を待つし、私1人なら逃げる事だって出来るから大丈夫よ」
「………………リン殿、何から何まで頼ってしまって申し訳ない。
どうかよろしくお願いします」
私は頭を下げる村長に然りと頷いた。
「テオロさん、この手紙をダラスの街の医療ギルドへと届けて貰えますか?
伝染病では無いと分かったので王都からの人員を待たなくても人を回して貰えるかも知れないわ」
「分かった。直ぐに届ける!」
それから村中の水瓶を魔法で出した水で満たした私は、村長に聞いた水源のある山を目指して村を出たのだった。
呑気な事を言いながらコップに口をつけようとするテオロさんの腕を掴んで止める。
「お、おい、なんなんだ?」
テオロさんの水を鑑定すると、やはり毒が混ざっている。
「見つけたわ。病気の原因はこの水よ」
「な、なんだって⁉︎」
「この水はどこで?」
「村長の屋敷の水瓶だ。水瓶の水は毎朝、井戸から汲んでいる筈だ」
「患者の看病に使う水は私が魔法で出します。
テオロさんは、今晩は水を飲まない様にすぐに村人に知らせて」
「わかった!」
テオロさんは慌てて部屋を飛び出して行った。
翌日、村長や村の主な人物を集めた。
「では村の水に毒が……」
「はい、朝一で各家の水瓶と井戸を調べたのですが、全て汚染されていました」
「全てが……だ、誰かが井戸に毒を投げ込んだと言う事か⁉︎」
「いえ、テオロさん。
最初の女の子が発病してからもう1週間近く経ちます。
しかし、井戸の毒が薄まった様子は有りません。
戦争などで井戸を潰すつもりで使う猛毒とは違い、今回の毒は主に子供や老人が体調を崩していますが、体力のある男性には全く効いていません。
あまり強い毒ではないか、既にかなり薄まった状態だと思われます」
「じゃあ、毒は何処から?」
「おそらく、水源に何かあったのではないかと……」
私が予想を伝えると村人達は暗い顔になる。
水源が汚染されて井戸が使えないとなると死活問題だ。
半日以上掛けて街に水を買いに行く訳には行かない。
今後井戸が使えないとなると村を捨てる事になるだろう。
「……だから私はこれから水源を確認しに行ってくるわ」
私の言葉に村人達は驚く。
「し、しかし、薬師殿にそこまでして頂く訳には……」
「今回私が受けた依頼は病人の治療と病気の原因究明。
原因が水源にあるなら少々様子を見てくるぐらいは依頼のうちよ」
「だが、水源がある山にはゴブリン以上の魔物も出るんだぞ?」
テオロさんが心配そうに言う。
「問題ないわ。無理そうならギルドからの応援を待つし、私1人なら逃げる事だって出来るから大丈夫よ」
「………………リン殿、何から何まで頼ってしまって申し訳ない。
どうかよろしくお願いします」
私は頭を下げる村長に然りと頷いた。
「テオロさん、この手紙をダラスの街の医療ギルドへと届けて貰えますか?
伝染病では無いと分かったので王都からの人員を待たなくても人を回して貰えるかも知れないわ」
「分かった。直ぐに届ける!」
それから村中の水瓶を魔法で出した水で満たした私は、村長に聞いた水源のある山を目指して村を出たのだった。
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