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マーリンさんの学業奮闘記

シンシアさん、取引する

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  遠征が終わり、学院に戻って数ヶ月が経ちました。
  あの後、平原に戻ったわたくし達はランスロット様の非道な行いを先生に報告致しました。
  非常時の行為だった為、ランスロット様は罰則を受ける事は有りませんでしたが信用は最低まで落ちた様です。
  それにマーリンさんに殴られていました。



「やっぱり、パーティじゃない?
  シアの誕生日の時みたいに」

「ふむ、寮の部屋を借りられるか確認しておこう」

  わたくし達はユウ先生の送別会の相談をしております。
  短い間ではありましたがユウ先生には多くの事を教わりました。
  その感謝を込め送別会を開く事になったのです。
  それにわたくしにはユウ先生とお話ししたい理由があるのですわ。

「料理に関してはわたくしにお任せ下さい」

「何か考えがあるのか?」

「はい、早速準備致しますわ」

  ユウ先生に予定を確認したところ、次の休みは1日あいているとのお返事を頂きました。
  あと3日で準備しなければなりません。
  わたくしは準備の為、談話室をでて、自室に戻って来ました。
  いつも身につけている大容量のマジックバックをベッドに置くと椅子に座り、一息着きます。
  そして、アイテムボックスからマジックアイテム《星々の地図》をとりだしました。
  このマジックアイテムはわたくしがこの世界に生まれる……いえ、生まれ変わる時に、神様から頂いたものです。


  わたくしには、前世の記憶が有ります。
  前世でのわたくしは、ごく普通のOLとして暮らしていました。
  しかし、ある日の午後、横断歩道を渡っていたわたくしは、信号を無視したトラックに轢かれ命を落としてしまったのです。
  そして、どこまでも広がる白い部屋で神様から異世界に転生させて貰い、この世界に生まれたのです。
  その際に数々のチートを頂きました。
  そして、転生者に与えられる共通のチートとは別に、農民スキル、契約魔法、星々の地図の3つを貰いました。
  わたくしはもともと持っていた商人スキルと頂いた農民スキルを使い、領地の発展に貢献し、自分の商会を作り、大きくして行きました。
  戦闘には役に立ちませんでしたが契約魔法は商売では大きな力となりました。
  ある日わたくしは教会で神様とお話しし、この世界に来た日本人が、わたくしを含めて3人いる事を知りました。
  わたくしはその3人を見つける事が出来ました。
  1人はわたくし。
  もう1人はあの怪人108面相と名乗る義賊。
  そしてもう1人、あの人は、恐らくわたくしが転生者であると、気づいているでしょうし、わたくしが『気づいている』事にも気づいているでしょう。
  しかし、あの人は何も言わないので、わたくしから何かを言うつもりはありません。

  ここで問題なのは、ユウ先生ですわ。
  彼女の風貌はまさに日本人のそれです。
  しかし、日本人の顔立ちのまま、この世界に生きていると言う事は彼女はわたくしやあの人と違い、転移して来たと言う事です。
  しかし、神様の話では今の時代に生きている日本人は3人だと伺いました。
  この矛盾を考えた時、わたくしが出した回答はユウ先生はこの世界の人間だと言う事です。
  今の神様がこの世界を管理し始める前に別の神様により、多くの異世界転移が行われていたそうです。
  しかし、この大陸にはそれ程、日本人の痕跡が残っていなかった。
  それは恐らく、この大陸の外にある別の大陸に多くの日本人が転移、転生したのではないかと考えたのです。
  つまり、ユウ先生はかつて、この世界にやって来た日本人の子孫だと言うことです。
  そして、魔法遺跡の事故でこの大陸にやって来たのでしょう。
  わたくしは星々の地図を起動致しました。
  この地図は、わたくしの魔力を込めたアミュレットの位置を表示する事ができるのです。
  地図が表示されるのは、わたくしが訪れた事のある場所だけですが、定期的にアミュレットに魔力を込めることで、わたくしの商会に所属するアミュレットを渡した商人の現在位置が分かる便利なアイテムですわ。
  地図で位置を確認した、商人に手紙を書きます。
  わたくしは送別会でユウ先生に刺身をお出しするつもりなのです。
  日本人の文化が濃い国の出身なら喜んで頂けるのでは無いかと思いますわ。
  念のため他の料理も用意しなければいけませんわね。
  

  

  こうした努力により、わたくしは送別会の後、ユウ先生との商談により、とうとう醤油と味噌の製法を手に入れる事が出来たのです。







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