58 / 66
1人と1振り
血飛沫に笑う男
しおりを挟む
ヴァインは必死に抵抗しているが数の不利は覆す事が出来ず、ジリジリと押されて来ている。
「クソ、ここまでか……」
盗賊の猛攻撃にヴァインが諦めかけた時だった。
盗賊の背後から1人の男が現れた。
「いひひひ」
その男は先程の冒険者だった。
しかし、様子がおかしい。
赤く染め抜いた革鎧などの身に付けている物は同じだが、先程まで太陽の様な金髪だったはずだが、今は病気的な白髪である。
そして、その顔にはニタニタとした笑みが貼り付けられている。
「ああん?
なんだぁさっきの雑魚じゃねぇか、まだ生きてやがったのか」
「はん、大人しく死んだフリをしてりゃいい物をわざわざ死にに来るとはな」
冒険者を小馬鹿にした様に盗賊は剣を振り上げる。
「いひ、うるせぇヨ」
冒険者が手にしていた細身の剣を軽く振るう。
腕が霞む程の剣速で振るわれた細剣は甲高い風切り音を引き連れて盗賊の命を刈り取る。
「な、なんだこいつ!」
「てめぇ!」
「いひひひ」
冒険者が不気味な笑い声を上げながら盗賊の間をすり抜ける様に走り抜けると、盗賊が次々と血を吹き出し倒れて行く。
「な、なんなんだ⁉︎」
ヴァインは目の前の光景に驚愕する。
彼はついさっきまでの盗賊に手も足も出なかった男と同一人物なのか?
白髪の冒険者は次々に盗賊を殺し周囲を血で染めて行く。
「この野郎!」
先程、冒険者を吹き飛ばした盗賊の頭目が再び戦鎚を振り下ろす。
ガシッ!
「いひ」
「な、な、馬鹿な⁉︎」
何と、白髪の冒険者は頭目の戦鎚を片手で受け止めて見せた。
バキッ!
白髪の冒険者は片手で掴んでいた戦鎚の頭を素手で握り潰す。
「そ、そんな、ありえねぇ!」
「かははは!」
驚愕する頭目の腕が一瞬で切り飛ばされた。
「ひっ、や、やめ、があぁぁあ!」
白髪の冒険者は盗賊の頭目をじわじわと嬲り殺す。
やがて頭目が死に動かず、悲鳴を上げなくなった頃、白髪の冒険者は頭目への興味を無くしヴァインの方へと歩いて来る。
一瞬、白髪の冒険者の身体が沈む。
「 ⁉︎ 」
ヴァインは咄嗟にサークルシールドを構える。
ギギギ!
「ほう、俺様の剣を止めるとはやるナ」
「な、何なんだお前は!
加勢に来てくれた冒険者じゃないのか⁉︎」
「冒険者?
ああ、この身体の持ち主の馬鹿の事カ。
奴なら俺様の奥で眠っているゾ。
もっとも、二度と表に出てくる事は無いだろうがナ」
「ぐっ!」
「ははは!」
高速で繰り出される剣をギリギリの所でガードする。
「いひひ、楽しいじゃねぇカ」
「ぐぁ!」
荒々しいが確かな剣技によってヴァインの剣を弾き飛ばした。
「いひひひ、あばヨ」
ヴァインは自らに迫る刃に死を覚悟する。
しかし、ヴァインに死が訪れる事は無かった。
「うぅ、ぐっがぁぁ」
剣はヴァインの目の前で止められた。
そして、白髪の冒険者は急に苦しみだす。
「ぐっ、馬鹿ナ、何だてめぇが、クソ大人しく、がぁ、いいから僕に代われ!
ぎぃ、大人しくしろ!話なら後で聞いてやる!」
冒険者が1人で騒いでいると段々と髪の色も元の金髪に戻る。
「ふぅ、まったく、このアークの身体を乗っ取るとはなんて奴だ!」(額に手を当て片足立ちになる)
「お、おい、どうした?」
ヴァインは素早く剣を拾うと警戒しながら話しかける。
「ああ、すまない。
どうやらあの遺跡で見つけた剣が呪われていたみたいでね。
ちょっと身体を乗っ取られていたんだよ。
はっはっはっ!」
「はぁ?」
ヴァインはこの訳のわからない男を不思議な物を見る目で見つめるのだった。
「クソ、ここまでか……」
盗賊の猛攻撃にヴァインが諦めかけた時だった。
盗賊の背後から1人の男が現れた。
「いひひひ」
その男は先程の冒険者だった。
しかし、様子がおかしい。
赤く染め抜いた革鎧などの身に付けている物は同じだが、先程まで太陽の様な金髪だったはずだが、今は病気的な白髪である。
そして、その顔にはニタニタとした笑みが貼り付けられている。
「ああん?
なんだぁさっきの雑魚じゃねぇか、まだ生きてやがったのか」
「はん、大人しく死んだフリをしてりゃいい物をわざわざ死にに来るとはな」
冒険者を小馬鹿にした様に盗賊は剣を振り上げる。
「いひ、うるせぇヨ」
冒険者が手にしていた細身の剣を軽く振るう。
腕が霞む程の剣速で振るわれた細剣は甲高い風切り音を引き連れて盗賊の命を刈り取る。
「な、なんだこいつ!」
「てめぇ!」
「いひひひ」
冒険者が不気味な笑い声を上げながら盗賊の間をすり抜ける様に走り抜けると、盗賊が次々と血を吹き出し倒れて行く。
「な、なんなんだ⁉︎」
ヴァインは目の前の光景に驚愕する。
彼はついさっきまでの盗賊に手も足も出なかった男と同一人物なのか?
白髪の冒険者は次々に盗賊を殺し周囲を血で染めて行く。
「この野郎!」
先程、冒険者を吹き飛ばした盗賊の頭目が再び戦鎚を振り下ろす。
ガシッ!
「いひ」
「な、な、馬鹿な⁉︎」
何と、白髪の冒険者は頭目の戦鎚を片手で受け止めて見せた。
バキッ!
白髪の冒険者は片手で掴んでいた戦鎚の頭を素手で握り潰す。
「そ、そんな、ありえねぇ!」
「かははは!」
驚愕する頭目の腕が一瞬で切り飛ばされた。
「ひっ、や、やめ、があぁぁあ!」
白髪の冒険者は盗賊の頭目をじわじわと嬲り殺す。
やがて頭目が死に動かず、悲鳴を上げなくなった頃、白髪の冒険者は頭目への興味を無くしヴァインの方へと歩いて来る。
一瞬、白髪の冒険者の身体が沈む。
「 ⁉︎ 」
ヴァインは咄嗟にサークルシールドを構える。
ギギギ!
「ほう、俺様の剣を止めるとはやるナ」
「な、何なんだお前は!
加勢に来てくれた冒険者じゃないのか⁉︎」
「冒険者?
ああ、この身体の持ち主の馬鹿の事カ。
奴なら俺様の奥で眠っているゾ。
もっとも、二度と表に出てくる事は無いだろうがナ」
「ぐっ!」
「ははは!」
高速で繰り出される剣をギリギリの所でガードする。
「いひひ、楽しいじゃねぇカ」
「ぐぁ!」
荒々しいが確かな剣技によってヴァインの剣を弾き飛ばした。
「いひひひ、あばヨ」
ヴァインは自らに迫る刃に死を覚悟する。
しかし、ヴァインに死が訪れる事は無かった。
「うぅ、ぐっがぁぁ」
剣はヴァインの目の前で止められた。
そして、白髪の冒険者は急に苦しみだす。
「ぐっ、馬鹿ナ、何だてめぇが、クソ大人しく、がぁ、いいから僕に代われ!
ぎぃ、大人しくしろ!話なら後で聞いてやる!」
冒険者が1人で騒いでいると段々と髪の色も元の金髪に戻る。
「ふぅ、まったく、このアークの身体を乗っ取るとはなんて奴だ!」(額に手を当て片足立ちになる)
「お、おい、どうした?」
ヴァインは素早く剣を拾うと警戒しながら話しかける。
「ああ、すまない。
どうやらあの遺跡で見つけた剣が呪われていたみたいでね。
ちょっと身体を乗っ取られていたんだよ。
はっはっはっ!」
「はぁ?」
ヴァインはこの訳のわからない男を不思議な物を見る目で見つめるのだった。
0
お気に入りに追加
247
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
あの人たちのその後(旦那様、わたくし家出します!登場人物のサイドストーリー)
さくらもち
恋愛
【旦那様、わたくし家出します!】に出てくる様々な人たちのサイドストーリー集になります。
気になるあの人のその後があれば読んで見てくださいm(*_ _)m
転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて
ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記
大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。
それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。
生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、
まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。
しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。
無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。
これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?
依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、
いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。
誰かこの悪循環、何とかして!
まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて
異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー
紫電のチュウニー
ファンタジー
第四部第一章 新大陸開始中。 開始中(初投稿作品)
転生前も、転生後も 俺は不幸だった。
生まれる前は弱視。
生まれ変わり後は盲目。
そんな人生をメルザは救ってくれた。
あいつのためならば 俺はどんなことでもしよう。
あいつの傍にずっといて、この生涯を捧げたい。
苦楽を共にする多くの仲間たち。自分たちだけの領域。
オリジナルの世界観で描く 感動ストーリーをお届けします。
王家から追放された貴族の次男、レアスキルを授かったので成り上がることにした【クラス“陰キャ”】
時沢秋水
ファンタジー
「恥さらしめ、王家の血筋でありながら、クラスを授からないとは」
俺は断崖絶壁の崖っぷちで国王である祖父から暴言を吐かれていた。
「爺様、たとえ後継者になれずとも私には生きる権利がございます」
「黙れ!お前のような無能が我が血筋から出たと世間に知られれば、儂の名誉に傷がつくのだ」
俺は爺さんにより谷底へと突き落とされてしまうが、奇跡の生還を遂げた。すると、谷底で幸運にも討伐できた魔獣からレアクラスである“陰キャ”を受け継いだ。
俺は【クラス“陰キャ”】の力で冒険者として成り上がることを決意した。
主人公:レオ・グリフォン 14歳 金髪イケメン
群青の軌跡
花影
ファンタジー
ルークとオリガを主人公とした「群青の空の下で」の外伝。2人の過去や本編のその後……基本ほのぼのとした日常プラスちょっとした事件を描いていきます。
『第1章ルークの物語』後にタランテラの悪夢と呼ばれる内乱が終結し、ルークは恋人のオリガを伴い故郷のアジュガで10日間の休暇を過ごすことになった。家族や幼馴染に歓迎されるも、町長のクラインにはあからさまな敵意を向けられる。軋轢の発端となったルークの過去の物語。
『第2章オリガの物語』即位式を半月後に控え、忙しくも充実した毎日を送っていたオリガは2カ月ぶりに恋人のルークと再会する。小さな恋を育みだしたコリンシアとティムに複雑な思いを抱いていたが、ルークの一言で見守っていこうと決意する。
『第3章2人の物語』内乱終結から2年。平和を謳歌する中、カルネイロ商会の残党による陰謀が発覚する。狙われたゲオルグの身代わりで敵地に乗り込んだルークはそこで思わぬ再会をする。
『第4章夫婦の物語』ルークとオリガが結婚して1年。忙しいながらも公私共に充実した生活を送っていた2人がアジュガに帰郷すると驚きの事実が判明する。一方、ルークの領主就任で発展していくアジュガとミステル。それを羨む者により、喜びに沸くビレア家に思いがけない不幸が降りかかる。
『第5章家族の物語』皇子誕生の祝賀に沸く皇都で開催された夏至祭でティムが華々しく活躍した一方で、そんな彼に嫉妬したレオナルトが事件を起こしてミムラス家から勘当さる。そんな彼を雷光隊で預かることになったが、激化したミムラス家でのお家騒動にルーク達も否応なしに巻き込まれていく。「小さな恋の行方」のネタバレを含みますので、未読の方はご注意下さい。
『第6章親子の物語』エルニアの内乱鎮圧に助力して無事に帰国したルークは、穏やかな生活を取り戻していた。しかし、ミムラス家からあらぬ疑いで訴えられてしまう。
小説家になろう、カクヨムでも掲載
俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
我慢してきた令嬢は、はっちゃける事にしたようです。
和威
恋愛
侯爵令嬢ミリア(15)はギルベルト伯爵(24)と結婚しました。ただ、この伯爵……別館に愛人囲ってて私に構ってる暇は無いそうです。本館で好きに過ごして良いらしいので、はっちゃけようかな?って感じの話です。1話1500~2000字程です。お気に入り登録5000人突破です!有り難うございまーす!2度見しました(笑)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる