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第二部
44.幸せの涙
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再びRがつきます。ご注意下さい。
********************************************
「いっ・・・はぁっ・・・!!」
声にならない悲鳴をあげて、酸素を求めるように口を開閉する。これは想像以上に痛い・・・!
ゆっくりと押し入ってくる東条さんは私の体を気遣ってくれていると十分に伝わってきたけど、それでも無意識のうちに力が入ってしまって。声はおろか呼吸もつまり、痛みを逃がすようにぎゅうっと口を引き結んだ。
苦しげな声で東条さんがそっと頬に触れながら囁く。
「麗、力抜いて」
「む・・・りぃ・・・!」
はあ、と息を吐いた東条さんの呼吸も荒い。小さく息を呑む声が聞こえて、そっと瞼を押し上げた。普段見せる穏やかな微笑が苦笑に変わり、安心させるように何度も名前を呼んでくれる東条さんには、いつもの余裕が見えない。痛がる私に気付いて途中で動きを止めて、私を安心させるために顔にキスを落としてくれる。
決して自分中心で動かない東条さんの優しさに、胸の奥がキュウと締め付けられた。
自分だって苦しいはずなのに。このままの体勢は辛いはずなのに、私を労わってくれる。私を一番に考えてくれる東条さんに、どうしようもない位愛おしさが増す。瞼や額、頬に柔らかくてちょっと湿った感触が伝わった後。唇についばむようなキスをされた。強張っていた体が少しだけ解れて、力が抜けていく。緊張していた状態が、東条さんから与えられるキスによって徐々にリラックスした状態に戻っていくようだ。力が抜けたところで再び唇にキスをされた。今度は先ほどのように貪るような激しく濃厚なキスを。その熱さに蕩けそうなくらい翻弄されながら、片手で胸を弄られ、東条さんが侵入を再開する。
「っんん・・・!?」
ずず、と奥へ奥へと入り込み、串刺しにされるような痛みが襲い生理的な涙が眦から溢れた。抗議する声も悲鳴も嬌声も全て東条さんの口に飲み込まれて、抗う術がない。それでもキスは止まなくて、聞こえてくる水音が口からか、それとも接合部分からか。室内に響く生々しい音に羞恥心が煽られて、熱に浮かされたような感覚に陥る。
「はっ・・・麗・・・っ」
吐息混じりに呼ばれてドクンと心臓が再び高鳴った。東条さんが発した喘ぎ声が正直言ってエロい・・・!我慢して苦しさを耐えている声が荒い呼吸と共に零れて、耳がその美声に犯されるかも・・・。クラクラと眩暈に襲われて、きっと私の顔は耳まで真っ赤だろう。今の声で完璧に体から力が抜けた。
「ふぁあっ・・・ん!」
ずん、と奥深くを突かれて、声が漏れる。裂けるような痛みがじんじんと私を襲うと同時に、電流が走ったかのような痺れが駆け巡った。
「大丈夫ですか・・・?」
そっと顔を覗きこまれて、額に張り付く前髪を手でどけられた。東条さんの顔には汗が浮かんでいる。ぎゅうっと力強く抱きしめられて、東条さんの体温を直に感じる。全身を東条さんで満たされて、私はそっと息を吐いた。
「だいじょうぶ・・・」
喘ぎ疲れて掠れ気味の声で答えると、安堵したかのような溜息が漏れる。
「痛かったでしょう?すみません・・・麗は痛がりなのに」
痛がりだなんていつ言ったっけ?
注射や血液検査すら嫌だと言ったのを思い出した。あれはまだ出会ってすぐの頃じゃなかったか。そんな前に話したことを覚えていてくれるだなんて。ある意味記憶力の良さに脱帽する。
「大丈夫・・・白夜だから、大丈夫」
貴方は特別な人だから。
こんな痛みを与えてくれたのが東条さんで、それが嬉しい。だってそれは私の初めてがこんな幸せな形で大好きな人と結ばれた証だから。ちょっと・・・いやかなり、痛すぎてどうしようかと思ったけれど。今もじんじんと繋がっている場所が痛いけれど、それも大分落ち着いてきた。
へにゃりと説得力のない笑顔を見せると、東条さんが息を呑んで私の頭を抱きしめた。顔が肩口にあたり、おずおずと両手を抱きしめるように回す。
「すみません、そろそろ私も限界です・・・」
そう耳元で囁かれた直後。一言「動きますよ」と告げた東条さんが腰を動かしてギリギリまで抜くと、先ほどより勢いよく中を突いた。その衝撃に火花が散ったような刺激が襲う。
「ぁあっ・・・!あ、や・・・奥そんな突いちゃ・・・だ、っめ・・・!」
痛みに混じってじわりと快楽が押し寄せてくるようだ。
さんざん体中をキスされて熱を高められた後なのに、もっと体の奥から快楽の波に飲まれそうになる。徐々に激しさを増して、呼吸が苦しい。口から絶え間なく息と共に言葉にならない嬌声が漏れて、自分の声にすら敏感に反応してしまう。
思考が奪われて熱に飲み込まれる。目の奥がちかちかと点滅するかのような錯覚に陥り、東条さんが与える波に溺れそうだ。
ひっきりなしに零れる甘い声と耳を塞ぎたくなるような水音が響いて、視覚も聴覚も触覚全部、東条さんに支配されてしまう。私の体を触れてくる指先の微かな刺激すら、既に毒のようで。体中が甘い毒に侵されて行くみたいに、思考は麻痺して体の自由もきかないのに、感覚だけは敏感だ。
何を言っているのか自分でもわからない声がひっきりになしに上がって、高まる鼓動と刺激に限界が近いと察する。それは東条さんも同じようで。一際大きく突かれた直後、小さく呻いた東条さんが私をしっかりと抱きしめた。頭が白く染まる直前に呟かれたのは、「愛している」の一言。そして体の奥深くに熱い飛沫を感じ、私は初めて言葉にできない幸福感に包まれて。自然と零れた涙が一筋、頬を伝った。
◆ ◆ ◆
ゆらゆらと夢と現実の狭間を浮遊するように、まどろむ。暖かくて心地いい温度がさらに睡魔を誘い、私はその気持ちよさについ甘えるように寝返りをうとうとした。
・・・が、いつもならうてるはずの寝返りがうてない。
柔らかい枕に顔を埋めて惰眠を貪りたい。今日はまだ週末のはずだよね。それなら仕事はないし、寝坊をしても大丈夫――。そんないつも通りのどうしようもない事を考えながら、生暖かいブランケットを引きずり上げて・・・
そこではっと目を覚ます。
違う、違うよここは。
ブランケットだと思っていたのはやけに隙がなく体に纏わりついている。そしてお腹に回されたがっちりした男の人の腕に気付き、夢の世界からいっきに覚醒した。ここは一体どこだ!?
がばり、と上半身を起こせば、後ろから聞こえてきたのはひどく上機嫌なこの家の主の声で。その声にびくり、と体が反応してしまった。
「おや、起きたのですか。体の調子はどうですか?」
優しげな手つきでお湯に濡れて温まった手で頬を触れられて。私は真後ろの人物を確認すると、今置かれている状況を頭の中で整理した。
大人が2人、下手すれば3人は余裕に入れるほど広い浴槽。乳白色に染まったお湯に、後ろには東条さんが。
・・・これって、まさか・・・。
「ぎゃー!?」
ばしゃばしゃとお湯が跳ねるのも構わず、出来るだけ体をお湯から出さずに遠くへ移動した。それこそ東条さんと最大に距離を置ける場所まで。いきなり叫んだ私に驚いた隙に腕の拘束から逃げ出して、逆毛立った猫みたいに警戒を露にしながら東条さんを真っ赤に染まった顔で見つめた。
「ななな、何で一緒にお風呂ー!?」
「何故って、それは勿論、麗が先に寝てしまったので。1人より2人で入ったほうが、同時にさっぱりできて好都合でしょう?」
先ほどまでの苦しげな顔はどこへ行ったのやら。
今じゃすっかり端正な顔に喜色の笑みを浮かべて、じっと見つめてくる。適度に鍛えられた胸筋が覗き、鎖骨や肩までもが薄っすらと薄紅色に染まりつつある。
お湯の温度はぬるま湯程度の一番心地いい熱さなのに。
今はその心地よさが少しだけ恨めしい。気絶して寝てしまった自分をしかりつけたい気分でもある。でも・・・。
一緒にお風呂って一体何の拷問ですかー!!
「照れなくてもいいのに」
くすりと微笑んだ東条さんに思わず噛み付いた。
「そんなの無理だし!寝室と違ってこんな明るいところで、全部見られたとか・・・!うわ、ダメだ・・・恥ずかしい!!」
「もうとっくに全部見ていますが?」
だから、何でそーゆー事を・・・!!
けろりとしてじっと見据えてくる東条さんの視線の強さに耐えられなくなり、限界まで丸くなってお湯の中に潜む。
ふいに東条さんが身じろぎをして腕を伸ばすと、床に置いてあったのだろうか、程よく冷えたミネラルウォーターを持ち上げて一口嚥下した。よくよく見れば、半分弱は凍っている・・・?
「麗もお水どうですか?散々喘いでいましたからね、喉が渇いたでしょう」
散々だったかどうかは置いておいて。
確かに喉がからからだ。適温だけどお風呂に浸かっているから尚更喉が渇く。水分補給をしたいと体が訴えていたから、ありがたく頂戴しようと思っていた。
・・・が、ここへ来て東条さんがとんでもないことを言い出した。
浴槽の淵に肘を立てて、軽く頬杖しながら目を細めて私を見つめる。少し湿った前髪が一筋、頬にかかった。
「これが欲しいのなら奪いなさい、私から」
「・・・へ?」
め、命令形来たー!?
目覚めた直後に大慌てで東条さんの腕から逃げ出したことが気に食わなかったのか、東条さんは実に楽しげに私を試すような発言をして、再び自分の所に私から戻るよう提案した。
ようやく二人の初めてを迎えた直後に明るい浴室で一緒にお風呂は、ハードル高すぎですよ東条さん~!!!
「さあ、おいで?麗」
エサ(水)をちらつかせて私を誘い出す東条さんは、実に生き生きしていた。
体を見られたくないため近くに移動するのを躊躇った私は、半泣き状態で東条さんを睨み上げるが、逆にもっと嬉しそうな顔で笑みを深めてくる。
うわーん!白夜はやっぱりドSだ・・・!!
************************************************
次回、白夜の暴走が続きます・・・誰か止めてください・・・。
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「いっ・・・はぁっ・・・!!」
声にならない悲鳴をあげて、酸素を求めるように口を開閉する。これは想像以上に痛い・・・!
ゆっくりと押し入ってくる東条さんは私の体を気遣ってくれていると十分に伝わってきたけど、それでも無意識のうちに力が入ってしまって。声はおろか呼吸もつまり、痛みを逃がすようにぎゅうっと口を引き結んだ。
苦しげな声で東条さんがそっと頬に触れながら囁く。
「麗、力抜いて」
「む・・・りぃ・・・!」
はあ、と息を吐いた東条さんの呼吸も荒い。小さく息を呑む声が聞こえて、そっと瞼を押し上げた。普段見せる穏やかな微笑が苦笑に変わり、安心させるように何度も名前を呼んでくれる東条さんには、いつもの余裕が見えない。痛がる私に気付いて途中で動きを止めて、私を安心させるために顔にキスを落としてくれる。
決して自分中心で動かない東条さんの優しさに、胸の奥がキュウと締め付けられた。
自分だって苦しいはずなのに。このままの体勢は辛いはずなのに、私を労わってくれる。私を一番に考えてくれる東条さんに、どうしようもない位愛おしさが増す。瞼や額、頬に柔らかくてちょっと湿った感触が伝わった後。唇についばむようなキスをされた。強張っていた体が少しだけ解れて、力が抜けていく。緊張していた状態が、東条さんから与えられるキスによって徐々にリラックスした状態に戻っていくようだ。力が抜けたところで再び唇にキスをされた。今度は先ほどのように貪るような激しく濃厚なキスを。その熱さに蕩けそうなくらい翻弄されながら、片手で胸を弄られ、東条さんが侵入を再開する。
「っんん・・・!?」
ずず、と奥へ奥へと入り込み、串刺しにされるような痛みが襲い生理的な涙が眦から溢れた。抗議する声も悲鳴も嬌声も全て東条さんの口に飲み込まれて、抗う術がない。それでもキスは止まなくて、聞こえてくる水音が口からか、それとも接合部分からか。室内に響く生々しい音に羞恥心が煽られて、熱に浮かされたような感覚に陥る。
「はっ・・・麗・・・っ」
吐息混じりに呼ばれてドクンと心臓が再び高鳴った。東条さんが発した喘ぎ声が正直言ってエロい・・・!我慢して苦しさを耐えている声が荒い呼吸と共に零れて、耳がその美声に犯されるかも・・・。クラクラと眩暈に襲われて、きっと私の顔は耳まで真っ赤だろう。今の声で完璧に体から力が抜けた。
「ふぁあっ・・・ん!」
ずん、と奥深くを突かれて、声が漏れる。裂けるような痛みがじんじんと私を襲うと同時に、電流が走ったかのような痺れが駆け巡った。
「大丈夫ですか・・・?」
そっと顔を覗きこまれて、額に張り付く前髪を手でどけられた。東条さんの顔には汗が浮かんでいる。ぎゅうっと力強く抱きしめられて、東条さんの体温を直に感じる。全身を東条さんで満たされて、私はそっと息を吐いた。
「だいじょうぶ・・・」
喘ぎ疲れて掠れ気味の声で答えると、安堵したかのような溜息が漏れる。
「痛かったでしょう?すみません・・・麗は痛がりなのに」
痛がりだなんていつ言ったっけ?
注射や血液検査すら嫌だと言ったのを思い出した。あれはまだ出会ってすぐの頃じゃなかったか。そんな前に話したことを覚えていてくれるだなんて。ある意味記憶力の良さに脱帽する。
「大丈夫・・・白夜だから、大丈夫」
貴方は特別な人だから。
こんな痛みを与えてくれたのが東条さんで、それが嬉しい。だってそれは私の初めてがこんな幸せな形で大好きな人と結ばれた証だから。ちょっと・・・いやかなり、痛すぎてどうしようかと思ったけれど。今もじんじんと繋がっている場所が痛いけれど、それも大分落ち着いてきた。
へにゃりと説得力のない笑顔を見せると、東条さんが息を呑んで私の頭を抱きしめた。顔が肩口にあたり、おずおずと両手を抱きしめるように回す。
「すみません、そろそろ私も限界です・・・」
そう耳元で囁かれた直後。一言「動きますよ」と告げた東条さんが腰を動かしてギリギリまで抜くと、先ほどより勢いよく中を突いた。その衝撃に火花が散ったような刺激が襲う。
「ぁあっ・・・!あ、や・・・奥そんな突いちゃ・・・だ、っめ・・・!」
痛みに混じってじわりと快楽が押し寄せてくるようだ。
さんざん体中をキスされて熱を高められた後なのに、もっと体の奥から快楽の波に飲まれそうになる。徐々に激しさを増して、呼吸が苦しい。口から絶え間なく息と共に言葉にならない嬌声が漏れて、自分の声にすら敏感に反応してしまう。
思考が奪われて熱に飲み込まれる。目の奥がちかちかと点滅するかのような錯覚に陥り、東条さんが与える波に溺れそうだ。
ひっきりなしに零れる甘い声と耳を塞ぎたくなるような水音が響いて、視覚も聴覚も触覚全部、東条さんに支配されてしまう。私の体を触れてくる指先の微かな刺激すら、既に毒のようで。体中が甘い毒に侵されて行くみたいに、思考は麻痺して体の自由もきかないのに、感覚だけは敏感だ。
何を言っているのか自分でもわからない声がひっきりになしに上がって、高まる鼓動と刺激に限界が近いと察する。それは東条さんも同じようで。一際大きく突かれた直後、小さく呻いた東条さんが私をしっかりと抱きしめた。頭が白く染まる直前に呟かれたのは、「愛している」の一言。そして体の奥深くに熱い飛沫を感じ、私は初めて言葉にできない幸福感に包まれて。自然と零れた涙が一筋、頬を伝った。
◆ ◆ ◆
ゆらゆらと夢と現実の狭間を浮遊するように、まどろむ。暖かくて心地いい温度がさらに睡魔を誘い、私はその気持ちよさについ甘えるように寝返りをうとうとした。
・・・が、いつもならうてるはずの寝返りがうてない。
柔らかい枕に顔を埋めて惰眠を貪りたい。今日はまだ週末のはずだよね。それなら仕事はないし、寝坊をしても大丈夫――。そんないつも通りのどうしようもない事を考えながら、生暖かいブランケットを引きずり上げて・・・
そこではっと目を覚ます。
違う、違うよここは。
ブランケットだと思っていたのはやけに隙がなく体に纏わりついている。そしてお腹に回されたがっちりした男の人の腕に気付き、夢の世界からいっきに覚醒した。ここは一体どこだ!?
がばり、と上半身を起こせば、後ろから聞こえてきたのはひどく上機嫌なこの家の主の声で。その声にびくり、と体が反応してしまった。
「おや、起きたのですか。体の調子はどうですか?」
優しげな手つきでお湯に濡れて温まった手で頬を触れられて。私は真後ろの人物を確認すると、今置かれている状況を頭の中で整理した。
大人が2人、下手すれば3人は余裕に入れるほど広い浴槽。乳白色に染まったお湯に、後ろには東条さんが。
・・・これって、まさか・・・。
「ぎゃー!?」
ばしゃばしゃとお湯が跳ねるのも構わず、出来るだけ体をお湯から出さずに遠くへ移動した。それこそ東条さんと最大に距離を置ける場所まで。いきなり叫んだ私に驚いた隙に腕の拘束から逃げ出して、逆毛立った猫みたいに警戒を露にしながら東条さんを真っ赤に染まった顔で見つめた。
「ななな、何で一緒にお風呂ー!?」
「何故って、それは勿論、麗が先に寝てしまったので。1人より2人で入ったほうが、同時にさっぱりできて好都合でしょう?」
先ほどまでの苦しげな顔はどこへ行ったのやら。
今じゃすっかり端正な顔に喜色の笑みを浮かべて、じっと見つめてくる。適度に鍛えられた胸筋が覗き、鎖骨や肩までもが薄っすらと薄紅色に染まりつつある。
お湯の温度はぬるま湯程度の一番心地いい熱さなのに。
今はその心地よさが少しだけ恨めしい。気絶して寝てしまった自分をしかりつけたい気分でもある。でも・・・。
一緒にお風呂って一体何の拷問ですかー!!
「照れなくてもいいのに」
くすりと微笑んだ東条さんに思わず噛み付いた。
「そんなの無理だし!寝室と違ってこんな明るいところで、全部見られたとか・・・!うわ、ダメだ・・・恥ずかしい!!」
「もうとっくに全部見ていますが?」
だから、何でそーゆー事を・・・!!
けろりとしてじっと見据えてくる東条さんの視線の強さに耐えられなくなり、限界まで丸くなってお湯の中に潜む。
ふいに東条さんが身じろぎをして腕を伸ばすと、床に置いてあったのだろうか、程よく冷えたミネラルウォーターを持ち上げて一口嚥下した。よくよく見れば、半分弱は凍っている・・・?
「麗もお水どうですか?散々喘いでいましたからね、喉が渇いたでしょう」
散々だったかどうかは置いておいて。
確かに喉がからからだ。適温だけどお風呂に浸かっているから尚更喉が渇く。水分補給をしたいと体が訴えていたから、ありがたく頂戴しようと思っていた。
・・・が、ここへ来て東条さんがとんでもないことを言い出した。
浴槽の淵に肘を立てて、軽く頬杖しながら目を細めて私を見つめる。少し湿った前髪が一筋、頬にかかった。
「これが欲しいのなら奪いなさい、私から」
「・・・へ?」
め、命令形来たー!?
目覚めた直後に大慌てで東条さんの腕から逃げ出したことが気に食わなかったのか、東条さんは実に楽しげに私を試すような発言をして、再び自分の所に私から戻るよう提案した。
ようやく二人の初めてを迎えた直後に明るい浴室で一緒にお風呂は、ハードル高すぎですよ東条さん~!!!
「さあ、おいで?麗」
エサ(水)をちらつかせて私を誘い出す東条さんは、実に生き生きしていた。
体を見られたくないため近くに移動するのを躊躇った私は、半泣き状態で東条さんを睨み上げるが、逆にもっと嬉しそうな顔で笑みを深めてくる。
うわーん!白夜はやっぱりドSだ・・・!!
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次回、白夜の暴走が続きます・・・誰か止めてください・・・。
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