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19、後悔
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優司は由梨のいない生徒会準備室でバレッタを握りしめたまま立ち尽くしていた。
その顔からは表情が消えて顔色は青白く優司自体が今にも倒れそうに見えた。
そこにいつものように圭一郎が入って来ると優司の目の前で一度大きく手を叩いた。
バンッ
「おい!優司!しっかりしろよ!お前にはまだやる事がある!!今は由梨ちゃんの事は考えずに学園の生徒会長としてキチンと学園の秩序と安全を守れ!!今回の事はあってはならない事だった。情報までは掴んでいたのに出し抜かれたんだぞ。こいつのおかげでな!!」
そう言って圭一郎が差し出したのは先程男からの情報の裏を取った書類だった。
そこには先程の女子生徒の親の名前が書いてあった。その親はこの学園の理事の一人であり、事業は鏑木家とはライバル関係にあり、最近資金繰りに苦戦して何とか優司の家との提携を働きかけて来ていた人物だった。
「こいつが娘を焚きつけて由梨ちゃんの排除に走らせたので間違いない。鏑木家の三男はやり手だからな。今回の件でまたヨーロッパに帰ってもらう予定だったんだろう。あの家族は由梨ちゃんの為に日本に帰ってきたのは有名だから、由梨ちゃんの為にまたヨーロッパに帰ることもあり得ると踏んだんだろう。」
優司の目に生気が戻り圭一郎が差し出した紙を握りしめた。
「子供の喧嘩を親が煽ったのか。そんな事に由梨を利用したのは許せる事じゃないな。ましてや自分勝手な利益の為など絶対許せないな、、、。」
怪しく光る優司の目をまともに見てしまった圭一郎は怒らせちゃいけない人間を怒らせた親子に十字をきった。
暫し思考を巡らせた優司は顔を上げると圭一郎に指示を出した。
「人手がたりないな。須藤を連れてさっきの女達のところに行ってくれ。あいつなら嫌とは言わないだろう。そして今回の件で今すぐ親を呼び出すから連絡しろと伝えろ。素直に連絡した者は事の真相はは知らずただ踊らされただけだから別室に移動させるんだ。勿論生徒会としての処罰は行うが社会的制裁は免除とする。親への連絡を渋った女はまず間違いなく嫌がらせの後に何が起こるのかを知っていたに違いない。失敗を親に知られたくないから連絡を渋るだろうからな。そいつらをリストアップして知らせてくれ。」
そこまで言うと優司は携帯を取り出して会社関連の側近や親と連絡をとり今後の方針を話し始めた。圭一郎はそのまま退出し途中健と合流してから、生徒指導室に向かった。
程なくして走ってきた健からリストを受け取ると優司はざっと目を通してから頷いた。
「須藤、すまないな。後でどんな叱責でも受けるからと言ってこの場所に海斗くんを連れてきてもらえないか?やはり彼も自分の目で見たいだろうしな。勿論由梨の容体第一に考えるように伝えてくれ。あと、、これは保険だが、、、、」
優司が健に何か囁くと健は目を見開いて、少し考えてから頷いた。それを見てから優司は圭一郎の待つ指導室へ向かった。
圭一郎がドアの前で待っていると優司が超然と歩いてきた。顔には先程の青ざめた様子はなく薄く笑みさえ浮かべていた。
笑ってるけど、、もう二度と見たくない顔だな。
圭一郎は優司のその顔から人間的な感情を読み取る事が出来ず背筋がゾッとしたのだった。
「待たせたてすまないな。こちらは全て整った。そっちはどうだ?」
優司が圭一郎に尋ねる。
「リストにあった通りハ人中三人が黒だな。後の五人は一緒に騒いで日頃の不満をぶつけたって所だ。そっちは既に校則に乗っとって反省文と停学処分を親子共々伝えてある。あと、親の方には相手が鏑木家のお嬢様で秋里家のお坊ちゃまがお怒りだと伝えたから後で謝罪合戦だろうなぁ。顔を真っ青にして娘達を叱ってたよ。」
「そうか、、、。まぁいいだろう。後で由梨には直接謝らせる。で、後の三人の様子はどうだ?」
「あっちは手強いねぇ。親への連絡は渋り、自分が気に入らなかったから由梨ちゃんを呼び出して制裁を加えたんだの一点張りだよ。子供の喧嘩で終わらしたいんだろうな。」
「だろうな、、、。確認した所あの三人の親の居所は掴んである。ご丁寧に今日はアリバイの為なのか三人一緒にパーティに出席中だよ。しかも、、、うちの主催だ。」
「なんとまぁ、、。用意周到と言うべきか、ただの馬鹿なのか、、、。馬鹿なんだろうな。そのパーティなら俺の親も出てるな。きっと由梨ちゃん達の所もだよな?由梨ちゃんにトラブルがあって慌てて帰る鏑木夫婦を確認しに行ったのか、成功の連絡を受けて直ぐに秋里家に近づく為か。何にせよ、、、馬鹿だな。」
圭一郎はそう言うと呆れたように肩をすくめた。
「うちの親には連絡を取って由梨の事を症状を含めて鏑木さんには伝えてもらったよ。その上でその場に残ってもらっているから、あいつらの親は成否の連絡がない事にやきもきしているだろうな。じゃあ圭一郎はここに残ってあいつらを上手く喋らせてくれ。俺はパーティ会場に行ってくる。あと、、、、、、。よろしくな。」
最後に何か圭一郎に囁くと優司は黒幕の待つパーティへと向かった。
その顔からは表情が消えて顔色は青白く優司自体が今にも倒れそうに見えた。
そこにいつものように圭一郎が入って来ると優司の目の前で一度大きく手を叩いた。
バンッ
「おい!優司!しっかりしろよ!お前にはまだやる事がある!!今は由梨ちゃんの事は考えずに学園の生徒会長としてキチンと学園の秩序と安全を守れ!!今回の事はあってはならない事だった。情報までは掴んでいたのに出し抜かれたんだぞ。こいつのおかげでな!!」
そう言って圭一郎が差し出したのは先程男からの情報の裏を取った書類だった。
そこには先程の女子生徒の親の名前が書いてあった。その親はこの学園の理事の一人であり、事業は鏑木家とはライバル関係にあり、最近資金繰りに苦戦して何とか優司の家との提携を働きかけて来ていた人物だった。
「こいつが娘を焚きつけて由梨ちゃんの排除に走らせたので間違いない。鏑木家の三男はやり手だからな。今回の件でまたヨーロッパに帰ってもらう予定だったんだろう。あの家族は由梨ちゃんの為に日本に帰ってきたのは有名だから、由梨ちゃんの為にまたヨーロッパに帰ることもあり得ると踏んだんだろう。」
優司の目に生気が戻り圭一郎が差し出した紙を握りしめた。
「子供の喧嘩を親が煽ったのか。そんな事に由梨を利用したのは許せる事じゃないな。ましてや自分勝手な利益の為など絶対許せないな、、、。」
怪しく光る優司の目をまともに見てしまった圭一郎は怒らせちゃいけない人間を怒らせた親子に十字をきった。
暫し思考を巡らせた優司は顔を上げると圭一郎に指示を出した。
「人手がたりないな。須藤を連れてさっきの女達のところに行ってくれ。あいつなら嫌とは言わないだろう。そして今回の件で今すぐ親を呼び出すから連絡しろと伝えろ。素直に連絡した者は事の真相はは知らずただ踊らされただけだから別室に移動させるんだ。勿論生徒会としての処罰は行うが社会的制裁は免除とする。親への連絡を渋った女はまず間違いなく嫌がらせの後に何が起こるのかを知っていたに違いない。失敗を親に知られたくないから連絡を渋るだろうからな。そいつらをリストアップして知らせてくれ。」
そこまで言うと優司は携帯を取り出して会社関連の側近や親と連絡をとり今後の方針を話し始めた。圭一郎はそのまま退出し途中健と合流してから、生徒指導室に向かった。
程なくして走ってきた健からリストを受け取ると優司はざっと目を通してから頷いた。
「須藤、すまないな。後でどんな叱責でも受けるからと言ってこの場所に海斗くんを連れてきてもらえないか?やはり彼も自分の目で見たいだろうしな。勿論由梨の容体第一に考えるように伝えてくれ。あと、、これは保険だが、、、、」
優司が健に何か囁くと健は目を見開いて、少し考えてから頷いた。それを見てから優司は圭一郎の待つ指導室へ向かった。
圭一郎がドアの前で待っていると優司が超然と歩いてきた。顔には先程の青ざめた様子はなく薄く笑みさえ浮かべていた。
笑ってるけど、、もう二度と見たくない顔だな。
圭一郎は優司のその顔から人間的な感情を読み取る事が出来ず背筋がゾッとしたのだった。
「待たせたてすまないな。こちらは全て整った。そっちはどうだ?」
優司が圭一郎に尋ねる。
「リストにあった通りハ人中三人が黒だな。後の五人は一緒に騒いで日頃の不満をぶつけたって所だ。そっちは既に校則に乗っとって反省文と停学処分を親子共々伝えてある。あと、親の方には相手が鏑木家のお嬢様で秋里家のお坊ちゃまがお怒りだと伝えたから後で謝罪合戦だろうなぁ。顔を真っ青にして娘達を叱ってたよ。」
「そうか、、、。まぁいいだろう。後で由梨には直接謝らせる。で、後の三人の様子はどうだ?」
「あっちは手強いねぇ。親への連絡は渋り、自分が気に入らなかったから由梨ちゃんを呼び出して制裁を加えたんだの一点張りだよ。子供の喧嘩で終わらしたいんだろうな。」
「だろうな、、、。確認した所あの三人の親の居所は掴んである。ご丁寧に今日はアリバイの為なのか三人一緒にパーティに出席中だよ。しかも、、、うちの主催だ。」
「なんとまぁ、、。用意周到と言うべきか、ただの馬鹿なのか、、、。馬鹿なんだろうな。そのパーティなら俺の親も出てるな。きっと由梨ちゃん達の所もだよな?由梨ちゃんにトラブルがあって慌てて帰る鏑木夫婦を確認しに行ったのか、成功の連絡を受けて直ぐに秋里家に近づく為か。何にせよ、、、馬鹿だな。」
圭一郎はそう言うと呆れたように肩をすくめた。
「うちの親には連絡を取って由梨の事を症状を含めて鏑木さんには伝えてもらったよ。その上でその場に残ってもらっているから、あいつらの親は成否の連絡がない事にやきもきしているだろうな。じゃあ圭一郎はここに残ってあいつらを上手く喋らせてくれ。俺はパーティ会場に行ってくる。あと、、、、、、。よろしくな。」
最後に何か圭一郎に囁くと優司は黒幕の待つパーティへと向かった。
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