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15、告白

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海斗が出て行ったドアを見つめて優司は明日学校で突っ込まれる事を覚悟したが、今は由梨との時間を楽しもうと向き直った。

今日の由梨の服装は初めて見る青いワンピースでとても良く似合っていた。由梨が動く度に胸元の白いリボンが揺れるのが、何とも可愛らしい。更に先ほど見せたあの笑顔!いつもは海斗に向ける笑顔を横から見るだけだったのが真っ直ぐ向けられるとその破壊力は数倍に膨らんでいた。

あれは可愛すぎだ!!!天使が降りてきたと思ったよ!!

優司は海斗が、退出してからまた下を向いてしまった由梨を見つめてにっこりと微笑んだ。

「まだ僕と二人だと怖くなってしまうかな?僕は由梨ちゃんとメールではなく直接話せるのが凄く嬉しいよ。」

すると由梨が少し上を向いて答える。

「わ、、わたしも、秋里様とお話できて幸せです。」

由梨に上目遣いで見られた優司は思わす口を手で覆った。自分の顔が崩れているように感じたのだ。

くっそ~可愛すぎだぞ!!

優司は抱きしめたい欲求を何とか抑えると下心は全て隠して由梨を再度見つめた。

二人の会話は殆どは優司が話して由梨が相槌を打つという形で進んでいった。
それでも由梨は逃げなかったし、暴言も言わなかった。更に時には顔を上げて目を合わせて質問することさえあったのだ。それは由梨にとってとても嬉しく自信に繋がる瞬間だったし、優司の顔を更に蕩けさせる効果を生んだ。

二人はメールでは書ききれなかった事を全て話尽くすかのように話題は尽きず時には笑い声まで上げながら話し続けた。
二人でケーキを食べ、話をしているとあっという間に時間が経ちそろそろお開きという時に優司が意を決したように話し始めた。

「由梨ちゃん、君に聞いて欲しい事があるんだ。君に友人として、先輩として信頼してもらえてとても嬉しく感じているよ。
ただ、僕はただの後輩や友人には何度もメールしないし、こんなに優しくは出来ない。
君には怖がられてしまうとは思うけど、これだけはきちんと話しておきたいんだ。
僕は君の事が好きだよ。
この好きは友人や先輩としてではなくて君を異性として好きなんだ。君が怖くないように守りたいし、ずっと楽しそうにしている君を見ていたいと思うんだ。
今日のお茶会で君を見て、話してこの思い更に強まったんだよ。
返事はまだ由梨ちゃんの心の準備が整うまでは待つつもりだけど、僕をそういう対象として意識して欲しいんだ。
じっくり考えて欲しいからそれまでは僕からはメールも送らない。
君が自分と向き合って答えを出して欲しい。」

そう言った優司の真剣な表情と声を聞いて自分も真剣に考えて答えを出さないといけないと由梨は心に決めた。

由梨がわずがに頷いたのを確認すると優司はお礼を言って帰っていった。
去り際に優司は由梨に小さな箱を渡して、もし受け入れてもらえるならこれを付けて学校に来て欲しいと言った。

優司が帰った後に中を確認すると、そこには控えめにながらも上質な真珠をあしらった可愛らしいバレッタが入っていた。

由梨は一人部屋に戻り自分の心と向き合う事にしたのだった。

由梨にとって優司は優しい先輩だった。その上友達のようにメールや挨拶をするだけで心が浮き立つ、とても嬉しい存在だ。
今まで友人どころか家族以外の人間が恐怖の対象だった由梨にとってそれは凄く特別なことだった。
では、優司が離れていったらどうだろう、、、。海斗が友達を作り楽しそうにしているのを見るのと同じように嬉しいだろうか?
優司が生徒会室から居なくなり二年生のクラスで楽しそうにしているのを想像してみた。

それは、、、いや!!

海斗に置き換えて同じ状況を想像しても嫌ではない、むしろ海斗に居場所が出来てとても嬉しいと感じるのだ。なのに何故海斗は良くて優司だと嫌なんだろう?

こ、、これが好きって事なのかしら?
この自分だけを見ていて欲しいという気持ちが恋なのかしら?
だったら、私は秋里様に恋しているという事なのかしら?

初めての事で全てにおいて戸惑ってしまうが、初恋を自覚するとそれはとても幸せな気持ちにしてくれた。
今日の優司の笑顔を思い出す度に胸の奥がふんわりと暖かくなるのだ。
由梨の顔は自然と笑顔になり、思わず踊りだしたくなる気持ちだった。

こうなると早く自分の初恋を誰かに伝えたくて部屋を飛び出し海斗の部屋に向かったのだった。
ノックもなく突然部屋に現れた由梨の顔を見て、とうとう自分の兄弟としての役割が終わりを迎えた事を悟った。きっと優司はあの赤くなった顔で由梨に思いを伝えたのだろう。あの優司なら由梨を任せられるそう海斗は自分に言い聞かせ、最後の仕上げだと手を広げて由梨を迎え入れた。

「海斗!!聞いて私恋したみたいなの!!私がよ!!」

海斗の胸に遠慮なく飛び込んでいかに恋が素晴らしいかを語り始めた由梨の上気した嬉しそうな笑顔を少し寂しげに見つめた後、精一杯の笑顔を作って祝福したのだった。

「姉さん、おめでとう!!」
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