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エリザベスside
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「シリウスさま!大丈夫でございますか?」
わたくしより一つ下の公爵家嫡男のシリウス様はそれはそれは麗しい方でした。くるくるの金の巻き毛は陽の光を浴びると銀色にキラキラと輝き、その瞳は済んだ海のように吸い込まれそうでいつもドキドキしていました。シリウス様が五つでわたくしが六つの頃に初めてお会いしてからわたしくはいつもシリウス様を視線で追っていました。
そして、そんなある日わたくしが偶然シリウス様を見つめているとその可愛らしい外見と公爵家嫡男への嫉妬なのか数人の男の子がシリウス様に絡んでいるのを見てしまいましたの。シリウス様は俯いて何も言い返せないのか言われるままにされていました。その姿をとても見ていられず、わたくしはシリウス様の前に立って男の子達に言い返しました。
「貴方達、お辞めになって!こんなに小さなシリウス様に寄ってたかって卑怯ですわ!人呼びますわよ!」
相手は年下とはいえ複数だし、意地悪そうな外見をしていたので本音を言えばとても怖かったし、足は震えていたけれどわたくしは勇気を出して頑張りました。
男の子達が諦めて行ってしまってから振り返るとまだ怖いのか何も言えない小さなシリウス様に安心するように気持ちを込めて話しかけたのです。
「シリウスさま、大丈夫ですか?」
わたくしでも怖くて震えて目にも涙が溜まるくらいですもの、小さなシリウス様はもっと怖かったに違いないと頭一つ小さなシリウスさまを覗き込んで聞いてみたら、いつも前髪で隠れている綺麗な瞳を輝かせてこう言ってくれました。
「ありがとうございます。エリザベス嬢。貴方は僕の女神様です。」
わたくしは女神なんて恐れ多いとは思ってもその真っ直ぐに向けられる賛辞の瞳と、可愛らしい笑顔が大好きでシリウス様が絡まれるといつでも助けに入っていました。その笑顔が見たかったからと言っても過言ではありませんてました。
シリウス様は大人しく物静かな性格でいつも一人静かに過ごしていました。そのせいもあってお茶会やパーティではいつも誰かに絡まれてしまうのでわたくしは心配でいつもシリウス様を見つめるようにしていました。
そうしてわたくしのシリウス様観察は始まりましたの。
シリウス様は確かに物静かで引っ込み思案な所もあるけれど、とても聡明でいつもわたくしよりも年上の教授と呼ばれるような方と楽しそうに話していました。ただ、わたくしと目が合うといつでもにっこり笑ってくださるのでそれが嬉しくて見つめてしまうのです。
それでも同年代の男の子は相変わらずシリウス様に絡み、わたくしが止めるという一連の流れは常に起こりその時だけがわたくしがシリウス様と直接お話しする貴重な時間となっておりました。
「シリウス様はどんな本をお読みになっているの?」
「僕は星の本を読んだり、歴史の本を読んだりしています。後は政治、経済の本もまだ難しいですが先生に聞きながら理解しようとしています。」
十歳のシリウス様に聞いた本のお話はわたくしに衝撃をあたえました。だってわたくしが読んでいるのは長編の物語やファンタジーだったんですもの。わたくしは次の日から嫌いな勉強に力を入れました。一つ下のシリウス様に負けたくなかったんです。
「シリウス様、わたくしも歴史のお勉強を始めましたの。どの時代がお好き?」
「僕は今から150年程前のカイザー時代がいいと思います。カイザーのやってきた政策や改革は今に繋がっていますしその側近達が貴族の模範やマナーを確立したと考えています。エリザベス嬢はどう思われますか?」
十一歳のシリウス様は歴史的な出来事だけを覚えたわたくしの更に上をいっていました。わたくしは今はもうほとんど身長が変わらなくなったシリウス様のその美しい瞳を見て顔を赤くしてしまいました。
「ごめんなさい。わたくし勉強不足のようですわ。」
恥ずかしくて泣きそうになったわたくしを普段あまり表情を変えられないシリウス様が優しく笑いながら慰めてくださいました。
それでも、シリウス様はコミュニケーションが苦手なようで仲の良いお友達はいらっしゃるように見えませんでした。
ただ、流石にシリウス様が十三歳になると身長もわたくしより頭一つは高くなり身体つきもしっかりしてきた為絡まれることはなくなましたの。残念ながらわたくしとシリウス様のお話する機会は段々と減ってきて少し寂しいと感じておりました。
そうすると不思議な事に今まで話しかけて来なかった同年代の男性から次々と話しかけられてあぁ男の子に絡まれるシリウス様の気持ちが少しわかった気がしました。面倒なのですね。
それでもブーム的なものなのかしばらくするとまた誰も話しかけてこなくなり、中には怯えたようにわたくしを見てくるので、きっと何か粗相をしてしまったのでしょう。まぁ楽になったので構わないのですが。
そして、しばらくぶりに見たシリウス様は素晴らしい男性になられていました。
十五歳のシリウス様は背も更に伸びて、きっと頭二つ分は高くて見上げないとならなそうでした。そして、十五歳らしくその透けるような金髪を頭の後ろに流して今まで隠れていたあの美しい瞳を見せると年頃の令嬢がわらわらを集まるようになりました。
「シリウス様、ご機嫌麗しゅうございます。今度我が家のパーティにご招待してもよらしいでしょうか?」
「まぁそれなら私の主催のお茶会にもいらして頂きたいわ。」
「今度父が是非シリウス様のご意見を伺いたいと申しておりました。」
令嬢達に囲まれたシリウス様は見覚えのある表情をしていましたの。それは昔男の子達に絡まれていた時のものでした。
わたくしは令嬢達とシリウス様の間に立って言いました。
「ちょっと皆さま!シリウスさまがお困りですわ!離れていただける?」
勿論これは令嬢間に於いてはタブーとされる事なのでこれから先わたくしはこちらの令嬢方とは仲良くしてもらえなくなるのですが、シリウス様を助ける為ならばと口を挟んだのです。
令嬢達は突然登場したわたくしにびっくりされて居なくなってくれました。
そうして、わたくしは今度は顔を見上げながらまた同じ質問をしたのです。
「大丈夫ですか?シリウスさま?」
それからわたくし達は昔のようにおしゃべりするようになり、博識なシリウスさ様は一つ下とは思えないお話を沢山教えてくださいました。
でも、やはり人見知りと引っ込み思案は治らないようで女性に囲まれると助けを求める視線を送って下さるのでいつも間に入っていたのです。
そうして周りからもシリウス様のパートナーとして認めて頂き、シリウス様が十七歳になる少し前にシリウス様はお父上の公爵様といらして、婚約する事となりました。わたくしとっても嬉しくて嬉しくて思わず叫んでしまいそうでした。そして、シリウス様十七歳の誕生パーティーにて婚約発表したんですの。
わたくしが一つ上であることをとやかくいう方もいらしたのですが、問題はそこではありませんでした。
わたくしシリウス様の秘密をしってしまったんですの!
わたくしより一つ下の公爵家嫡男のシリウス様はそれはそれは麗しい方でした。くるくるの金の巻き毛は陽の光を浴びると銀色にキラキラと輝き、その瞳は済んだ海のように吸い込まれそうでいつもドキドキしていました。シリウス様が五つでわたくしが六つの頃に初めてお会いしてからわたしくはいつもシリウス様を視線で追っていました。
そして、そんなある日わたくしが偶然シリウス様を見つめているとその可愛らしい外見と公爵家嫡男への嫉妬なのか数人の男の子がシリウス様に絡んでいるのを見てしまいましたの。シリウス様は俯いて何も言い返せないのか言われるままにされていました。その姿をとても見ていられず、わたくしはシリウス様の前に立って男の子達に言い返しました。
「貴方達、お辞めになって!こんなに小さなシリウス様に寄ってたかって卑怯ですわ!人呼びますわよ!」
相手は年下とはいえ複数だし、意地悪そうな外見をしていたので本音を言えばとても怖かったし、足は震えていたけれどわたくしは勇気を出して頑張りました。
男の子達が諦めて行ってしまってから振り返るとまだ怖いのか何も言えない小さなシリウス様に安心するように気持ちを込めて話しかけたのです。
「シリウスさま、大丈夫ですか?」
わたくしでも怖くて震えて目にも涙が溜まるくらいですもの、小さなシリウス様はもっと怖かったに違いないと頭一つ小さなシリウスさまを覗き込んで聞いてみたら、いつも前髪で隠れている綺麗な瞳を輝かせてこう言ってくれました。
「ありがとうございます。エリザベス嬢。貴方は僕の女神様です。」
わたくしは女神なんて恐れ多いとは思ってもその真っ直ぐに向けられる賛辞の瞳と、可愛らしい笑顔が大好きでシリウス様が絡まれるといつでも助けに入っていました。その笑顔が見たかったからと言っても過言ではありませんてました。
シリウス様は大人しく物静かな性格でいつも一人静かに過ごしていました。そのせいもあってお茶会やパーティではいつも誰かに絡まれてしまうのでわたくしは心配でいつもシリウス様を見つめるようにしていました。
そうしてわたくしのシリウス様観察は始まりましたの。
シリウス様は確かに物静かで引っ込み思案な所もあるけれど、とても聡明でいつもわたくしよりも年上の教授と呼ばれるような方と楽しそうに話していました。ただ、わたくしと目が合うといつでもにっこり笑ってくださるのでそれが嬉しくて見つめてしまうのです。
それでも同年代の男の子は相変わらずシリウス様に絡み、わたくしが止めるという一連の流れは常に起こりその時だけがわたくしがシリウス様と直接お話しする貴重な時間となっておりました。
「シリウス様はどんな本をお読みになっているの?」
「僕は星の本を読んだり、歴史の本を読んだりしています。後は政治、経済の本もまだ難しいですが先生に聞きながら理解しようとしています。」
十歳のシリウス様に聞いた本のお話はわたくしに衝撃をあたえました。だってわたくしが読んでいるのは長編の物語やファンタジーだったんですもの。わたくしは次の日から嫌いな勉強に力を入れました。一つ下のシリウス様に負けたくなかったんです。
「シリウス様、わたくしも歴史のお勉強を始めましたの。どの時代がお好き?」
「僕は今から150年程前のカイザー時代がいいと思います。カイザーのやってきた政策や改革は今に繋がっていますしその側近達が貴族の模範やマナーを確立したと考えています。エリザベス嬢はどう思われますか?」
十一歳のシリウス様は歴史的な出来事だけを覚えたわたくしの更に上をいっていました。わたくしは今はもうほとんど身長が変わらなくなったシリウス様のその美しい瞳を見て顔を赤くしてしまいました。
「ごめんなさい。わたくし勉強不足のようですわ。」
恥ずかしくて泣きそうになったわたくしを普段あまり表情を変えられないシリウス様が優しく笑いながら慰めてくださいました。
それでも、シリウス様はコミュニケーションが苦手なようで仲の良いお友達はいらっしゃるように見えませんでした。
ただ、流石にシリウス様が十三歳になると身長もわたくしより頭一つは高くなり身体つきもしっかりしてきた為絡まれることはなくなましたの。残念ながらわたくしとシリウス様のお話する機会は段々と減ってきて少し寂しいと感じておりました。
そうすると不思議な事に今まで話しかけて来なかった同年代の男性から次々と話しかけられてあぁ男の子に絡まれるシリウス様の気持ちが少しわかった気がしました。面倒なのですね。
それでもブーム的なものなのかしばらくするとまた誰も話しかけてこなくなり、中には怯えたようにわたくしを見てくるので、きっと何か粗相をしてしまったのでしょう。まぁ楽になったので構わないのですが。
そして、しばらくぶりに見たシリウス様は素晴らしい男性になられていました。
十五歳のシリウス様は背も更に伸びて、きっと頭二つ分は高くて見上げないとならなそうでした。そして、十五歳らしくその透けるような金髪を頭の後ろに流して今まで隠れていたあの美しい瞳を見せると年頃の令嬢がわらわらを集まるようになりました。
「シリウス様、ご機嫌麗しゅうございます。今度我が家のパーティにご招待してもよらしいでしょうか?」
「まぁそれなら私の主催のお茶会にもいらして頂きたいわ。」
「今度父が是非シリウス様のご意見を伺いたいと申しておりました。」
令嬢達に囲まれたシリウス様は見覚えのある表情をしていましたの。それは昔男の子達に絡まれていた時のものでした。
わたくしは令嬢達とシリウス様の間に立って言いました。
「ちょっと皆さま!シリウスさまがお困りですわ!離れていただける?」
勿論これは令嬢間に於いてはタブーとされる事なのでこれから先わたくしはこちらの令嬢方とは仲良くしてもらえなくなるのですが、シリウス様を助ける為ならばと口を挟んだのです。
令嬢達は突然登場したわたくしにびっくりされて居なくなってくれました。
そうして、わたくしは今度は顔を見上げながらまた同じ質問をしたのです。
「大丈夫ですか?シリウスさま?」
それからわたくし達は昔のようにおしゃべりするようになり、博識なシリウスさ様は一つ下とは思えないお話を沢山教えてくださいました。
でも、やはり人見知りと引っ込み思案は治らないようで女性に囲まれると助けを求める視線を送って下さるのでいつも間に入っていたのです。
そうして周りからもシリウス様のパートナーとして認めて頂き、シリウス様が十七歳になる少し前にシリウス様はお父上の公爵様といらして、婚約する事となりました。わたくしとっても嬉しくて嬉しくて思わず叫んでしまいそうでした。そして、シリウス様十七歳の誕生パーティーにて婚約発表したんですの。
わたくしが一つ上であることをとやかくいう方もいらしたのですが、問題はそこではありませんでした。
わたくしシリウス様の秘密をしってしまったんですの!
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