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シリウスside
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あっ、また、逃げられた
僕の婚約者は最近めっきり近くに来てくれなくなった。昔はよく僕の前にも立って守ってくれていたのに、、、。
僕はこの国で二番目に大きな公爵家の嫡男でこの春十七歳になった。嫡男は十七歳になると同時に婚約を発表するのがこの国のスタンダードという事で一つ上の幼馴染の伯爵令嬢のエリザベスと無事に婚約を発表したまでは上手くいっていたのに。
どうしてしまったのだろう?
僕が君に夢中で君と離れないために色々していたことがバレてしまっのかもしれない。
僕は幼い頃から童顔で可愛らしい顔つきをしていた為、よく女の子に間違われていた。但し、性格は自分で言うのも何だがとても優秀で常に自分を客観的に見ている様な子供だった。勿論そんな大人びた感じの子供は嫌われる。僕もその方程式で子供の貴族が集まる会があるたびにいじめられていた。まぁ、僕自身が子供のイジメなど相手にしていなかったので無視していたが、それを黙って見ている事が出来なかったのがエリザベスだった。
いつも僕がいじめられていると急いでやってきて僕を後ろ手に庇っていじめっ子達に立ち向かうのだ。僕自身はいじめっ子達のプロフィールを把握するために色々話をさせているのにエリザベスはいじめっ子達に何かしらの暴言を吐いて追い払うのが常だった。
僕は直接的なものよりも謀略が好きだった。だからいつもいじめっ子達について後日しっかり調べ上げ弱みを握って、もう二度と逆らわない様にしていたのだ。それでも僕の地位と外見は妬まれやすい様で毎回誰かしらがいじめてきて、エリザベスがやり返して、僕が後からやり込めると言うことが続いていた。
「シリウスさま、大丈夫でございますか?」
エリザベスはいじめっ子達を追い払うと自身も怖かったのか少し震えて目に涙を溜めながらそう聞いてくるのだ。
それがなんとも可愛らしい。
僕はそのエリザベスが見たいが故に次回のいじめっ子が現れるように調整する様になった。
弱みを握っていつでもストップできるように準備はしているが常にいじめっ子と同じパーティで絡まれる様な状況を作り出すのは難しかった。しかし、あの可愛いエリザベスを愛でるためならばそれさえも喜びだった。まぁたまに失敗してエリザベスの来ていないパーティでいじめられるといじめっ子達に八つ当たりしてまったがそれもいい思い出だ。
そうして僕はいじめられながらもほくそ笑む変な子供になっていった。
もちろんエリザベスには一度も気づかれなかったけど、、、、。
そんな感じで僕が十三歳になる頃までは僕的に平和に過ごしていた。
エリザベスは僕を助けた後必ず少し雑談をしてくれるのが僕には何よりの楽しみだった。
たまに、少し難しい質問をするとわからないことを恥じて真っ赤になったエリザベスは格段に可愛らしいのだ。
それでも次に会った時にはその質問より高度な内容を話しているのでしっかりとわからないことは勉強する姿勢も好感がもてた。
始めは僕よりも大きかったエリザベスが段々と小さく感じるのもとても嬉しい変化だったが、流石に高くなる身長と多少は鍛えている身体はあっという間にエリザベスを追い越して背後に隠れきれなくなったのでいじめられるのは終わりにした。
今までいじめてくれた奴らには感謝を込めて一生僕の駒となってもらうようお願いしました。弱みを見せたら皆んな喜んで了承してくれたよ?
いじめられなくなるとエリザベスとの交流が途切れてしまい僕はとても寂しかった。
更に、今度はエリザベスにちょっかいをかけてくる輩が増えてきたのだ。その為其奴らを全て潰して回るのが日課となった。
なんといってもエリザベスはそれはそれは可愛らしく成長してしまったのだ。
元々整った顔立ちに明るい栗色の巻き毛と魅力的なエメラルドの瞳を持っていたが成長期を過ぎてスラリとしているにも関わらず女性らしいラインをもつようになってしまったのだ。これは僕的に大誤算だった。僕だけのエリザベスにしたかったのにその外見ではどうしても人目を引いてしまうのだ。
更にエリザベスはその誠実で優しい性格が雰囲気にも滲み出て異性だけではなく、同性からも好かれていた。
僕は僕だけのエリザベスにすべく努力を重ねた。
まずはエリザベスに見合う外見だ。元々僕も両親から整った顔立ちを貰っており、日を透かすような金髪と深い海のような青い瞳はよく人から褒められていた。
いじめられていた頃はわざと弱々しい外見を保つよう金色の巻き毛は長めにして、目元を隠すようにしていた。
どうも目がはっきり見えるといじめられなくなってしまうんだよね?怯えられちゃうみたいだった。
いじめられっ子を解消すると今まで隠していた目元を見せて、髪を後ろに流すようにした。身長も十四歳くらいで180センチは超えて手足の長いスタイルとなった。その頃はやはり女性は鍛えられた身体がいいかと剣術を学び、身長見合った筋肉をつけるのに夢中になったのが悪かったのか今度は女性に追いかけられるようになってしまったんだ。
ただでさえエリザベスに群がる男どもを散らすのに忙しいのに、今度は自分に群がる女性をどうにかするのは骨だった。
ほら、エリザベスは同性にも人気があったからあんまり邪険に断るとエリザベスからも嫌われかねないじゃない?
僕は細心の注意を払って女性達を追い払った。勿論エリザベス以外のね。
エリザベスには昔のいじめを持ち出して女性も苦手なんだと匂わせていたので優しい彼女も女性を遠ざける手伝いまでしてくれたのだ。
「ちょっと皆さま!シリウスさまがお困りですわ!離れていただける?」
そう言ってまた僕を守ってくれる姿は悪役令嬢って感じだったけど、それまた可愛かったから僕的にはよし!って感じだね。そして、彼女はまた僕に聞いてくれるんだ。
「大丈夫ですか?シリウスさま?」
本当に彼女は、最高だ。
そんな彼女と引っ込み思案と思われている僕はいつしかお似合いのカップル扱いとなり、
まぁ僕が彼女以外の女性とはまともに話さなかったし、エリザベスに近づく男どもは僕が排除していたのだから当然の成り行きだけど
そのまま両親の了承のもとエリザベスに婚約を申し込んでこの春正式に婚約者となったのだ。
そして、今僕は愛しい婚約者に逃げられている。
婚約者として伯爵家を訪れると申し訳なさそうな家令に居留守を伝えられ、パーティで見かけてさりげなく近くに行ってもあっという間にいなくなる。挙句には僕達の不仲が噂になってしまったのだ。
解せん!何故なんだ?
僕の婚約者は最近めっきり近くに来てくれなくなった。昔はよく僕の前にも立って守ってくれていたのに、、、。
僕はこの国で二番目に大きな公爵家の嫡男でこの春十七歳になった。嫡男は十七歳になると同時に婚約を発表するのがこの国のスタンダードという事で一つ上の幼馴染の伯爵令嬢のエリザベスと無事に婚約を発表したまでは上手くいっていたのに。
どうしてしまったのだろう?
僕が君に夢中で君と離れないために色々していたことがバレてしまっのかもしれない。
僕は幼い頃から童顔で可愛らしい顔つきをしていた為、よく女の子に間違われていた。但し、性格は自分で言うのも何だがとても優秀で常に自分を客観的に見ている様な子供だった。勿論そんな大人びた感じの子供は嫌われる。僕もその方程式で子供の貴族が集まる会があるたびにいじめられていた。まぁ、僕自身が子供のイジメなど相手にしていなかったので無視していたが、それを黙って見ている事が出来なかったのがエリザベスだった。
いつも僕がいじめられていると急いでやってきて僕を後ろ手に庇っていじめっ子達に立ち向かうのだ。僕自身はいじめっ子達のプロフィールを把握するために色々話をさせているのにエリザベスはいじめっ子達に何かしらの暴言を吐いて追い払うのが常だった。
僕は直接的なものよりも謀略が好きだった。だからいつもいじめっ子達について後日しっかり調べ上げ弱みを握って、もう二度と逆らわない様にしていたのだ。それでも僕の地位と外見は妬まれやすい様で毎回誰かしらがいじめてきて、エリザベスがやり返して、僕が後からやり込めると言うことが続いていた。
「シリウスさま、大丈夫でございますか?」
エリザベスはいじめっ子達を追い払うと自身も怖かったのか少し震えて目に涙を溜めながらそう聞いてくるのだ。
それがなんとも可愛らしい。
僕はそのエリザベスが見たいが故に次回のいじめっ子が現れるように調整する様になった。
弱みを握っていつでもストップできるように準備はしているが常にいじめっ子と同じパーティで絡まれる様な状況を作り出すのは難しかった。しかし、あの可愛いエリザベスを愛でるためならばそれさえも喜びだった。まぁたまに失敗してエリザベスの来ていないパーティでいじめられるといじめっ子達に八つ当たりしてまったがそれもいい思い出だ。
そうして僕はいじめられながらもほくそ笑む変な子供になっていった。
もちろんエリザベスには一度も気づかれなかったけど、、、、。
そんな感じで僕が十三歳になる頃までは僕的に平和に過ごしていた。
エリザベスは僕を助けた後必ず少し雑談をしてくれるのが僕には何よりの楽しみだった。
たまに、少し難しい質問をするとわからないことを恥じて真っ赤になったエリザベスは格段に可愛らしいのだ。
それでも次に会った時にはその質問より高度な内容を話しているのでしっかりとわからないことは勉強する姿勢も好感がもてた。
始めは僕よりも大きかったエリザベスが段々と小さく感じるのもとても嬉しい変化だったが、流石に高くなる身長と多少は鍛えている身体はあっという間にエリザベスを追い越して背後に隠れきれなくなったのでいじめられるのは終わりにした。
今までいじめてくれた奴らには感謝を込めて一生僕の駒となってもらうようお願いしました。弱みを見せたら皆んな喜んで了承してくれたよ?
いじめられなくなるとエリザベスとの交流が途切れてしまい僕はとても寂しかった。
更に、今度はエリザベスにちょっかいをかけてくる輩が増えてきたのだ。その為其奴らを全て潰して回るのが日課となった。
なんといってもエリザベスはそれはそれは可愛らしく成長してしまったのだ。
元々整った顔立ちに明るい栗色の巻き毛と魅力的なエメラルドの瞳を持っていたが成長期を過ぎてスラリとしているにも関わらず女性らしいラインをもつようになってしまったのだ。これは僕的に大誤算だった。僕だけのエリザベスにしたかったのにその外見ではどうしても人目を引いてしまうのだ。
更にエリザベスはその誠実で優しい性格が雰囲気にも滲み出て異性だけではなく、同性からも好かれていた。
僕は僕だけのエリザベスにすべく努力を重ねた。
まずはエリザベスに見合う外見だ。元々僕も両親から整った顔立ちを貰っており、日を透かすような金髪と深い海のような青い瞳はよく人から褒められていた。
いじめられていた頃はわざと弱々しい外見を保つよう金色の巻き毛は長めにして、目元を隠すようにしていた。
どうも目がはっきり見えるといじめられなくなってしまうんだよね?怯えられちゃうみたいだった。
いじめられっ子を解消すると今まで隠していた目元を見せて、髪を後ろに流すようにした。身長も十四歳くらいで180センチは超えて手足の長いスタイルとなった。その頃はやはり女性は鍛えられた身体がいいかと剣術を学び、身長見合った筋肉をつけるのに夢中になったのが悪かったのか今度は女性に追いかけられるようになってしまったんだ。
ただでさえエリザベスに群がる男どもを散らすのに忙しいのに、今度は自分に群がる女性をどうにかするのは骨だった。
ほら、エリザベスは同性にも人気があったからあんまり邪険に断るとエリザベスからも嫌われかねないじゃない?
僕は細心の注意を払って女性達を追い払った。勿論エリザベス以外のね。
エリザベスには昔のいじめを持ち出して女性も苦手なんだと匂わせていたので優しい彼女も女性を遠ざける手伝いまでしてくれたのだ。
「ちょっと皆さま!シリウスさまがお困りですわ!離れていただける?」
そう言ってまた僕を守ってくれる姿は悪役令嬢って感じだったけど、それまた可愛かったから僕的にはよし!って感じだね。そして、彼女はまた僕に聞いてくれるんだ。
「大丈夫ですか?シリウスさま?」
本当に彼女は、最高だ。
そんな彼女と引っ込み思案と思われている僕はいつしかお似合いのカップル扱いとなり、
まぁ僕が彼女以外の女性とはまともに話さなかったし、エリザベスに近づく男どもは僕が排除していたのだから当然の成り行きだけど
そのまま両親の了承のもとエリザベスに婚約を申し込んでこの春正式に婚約者となったのだ。
そして、今僕は愛しい婚約者に逃げられている。
婚約者として伯爵家を訪れると申し訳なさそうな家令に居留守を伝えられ、パーティで見かけてさりげなく近くに行ってもあっという間にいなくなる。挙句には僕達の不仲が噂になってしまったのだ。
解せん!何故なんだ?
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