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別れ
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私達は十歳になった。
「ユーデット! ユアン! こっちだ」
シャール兄様に呼ばれて私達はトコトコと歩いていった。
もう十歳だというのに私達は相変わらず双子コーデを着せられている。
今日はブルーと白のストライプのドレスでユアンは同じ生地のスーツだ。
もう十歳なので私のドレスも足首くらいの長さになり、ユアンも長ズボンになった。
今日は貴族を招いてのガーデンパーティに二人で出席している。
相変わらず私の金髪は注目の的だった。
「ユーデット姫様、御機嫌よう」
「許された金に祝福を!」
私がユアンにエスコートされて歩いているとあっという間に囲まれる。
私がいることでこの国は長年のコンプレックスを払拭したのだ。
「皆様、ありがとうざいます。お兄様に呼ばれておりますので失礼いたします」
私は長年の姫様教育の成果を披露しつつシャール兄様の元に急いだ。
「兄上、お待たせしました」
「シャール兄様、御機嫌よう」
私達が近くにやってくるとシャール兄様が両手を広げる。
なるほど、仲良し兄弟アピールですね!
私はユアンと顔を見合わせるとよしっと走った。
「兄様!」
「兄上」
二人でシャール兄様の胸に飛び込むと周りから感嘆の声が上がる。
皇太子の秘蔵の弟妹として認識されているのだ。
「いい子だ」
耳元で兄様のニヤリとした声が聞こえるが、私は顔色を変えること無く笑顔を作った。
もうシャール兄様の腹黒にも慣れたものだ。
「さぁ、皆、今日は許された姫も参加している。祝福されたパーティを楽しんでくれ」
私は周りを見渡した。エリー姉様はさすがの姫様スタイルで笑顔を振りまいている。ただし、このパーティは王太子側の人達を集めているため、第二王妃や双子兄様達は参加していない。
もうそろそろシャール兄様の立場も固まっているのにまだ諦めていないらしい。
その時、入口の方がザワザワし始める。
「なに?」
「なんだろう?」
すると人混みが二つに分かれて見慣れた顔が歩いてくる。ジェイクだ。
そして、その隣には相変わらず不機嫌な顔をしたウスマール公爵がいる。
少し前だとジェイクはウスマール公爵の後ろを歩いていたが最近は隣を堂々と歩いている。十四歳のジェイクは既にウスマール公爵と同じくらいの身長があるので見劣りしない。
「王太子殿下、エリー姫、ユーデット姫、ユアン王子、お招きありがとうございます」
ウスマール公爵はそう言うと膝をついて挨拶する。
元夫人は相変わらずジェイクの失脚を画策しているが、ウスマール公爵自身はもうジェイクを廃嫡する気はないようだった。
なんといっても許された姫の婚約者という立場は得難いものだからだ。
ウスマール公爵の隣で同じように膝をついたジェイクに私は手を差し出した。
するとジェイクは心得たようにその手に軽くキスを落とすと立ち上がって私の隣に立つ。この立ち位置こそ、この国の貴族が最も欲するものだった。
「公子、会えて嬉しいわ」
「勿体無うございます。ユーデット姫」
私がにっこりと微笑むとジェイクも口角を上げる。
もう昔のようににっこりは笑わないが、ジェイクの表情が変わるのは私と一緒の時だけらしい。
「よ!」
ユアンが軽く手を上げると会釈を返すが既に無表情に戻っている。
そんな私達を満足そうに見て頷くウスマール公爵とシャール兄様は何かを話しながら行ってしまった。
「ジェイク、久しぶりだね」
もう私達の授業はなくなり、会うのはこう言うパーティーの時だけなのだ。
「はい」
「元気だった?」
「ええ」
あまり会わなくなってからジェイクとの会話はあまり続かない。別に嫌いじゃないし、客観的に見てもジェイクはイケメンだとは思う。だけど、幼馴染という感覚からは抜け出せない。
それに神殿の弱みだって結局は見つけられなかった。このままではジェイクとの婚約だって破棄できそうにない。
「どうしよ……」
「ユーデット姫、どうされましたか?」
私が呟いたひと言にジェイクは直ぐに反応してくれる。
「ううん、なんでもないよ。ジェイク、アダムスさんは元気?」
私は神殿のことを調べていた時に知り合ったジェイクの護衛について聞いてみる。
「はい、今日も外で待っているはずです」
「そっかー。元気なようで良かったわ」
私達の後ろから両手を回して肩にもたれてきたのはユアンだった。
ユアンも最近背が伸びてきて、今まで一緒だった身長に少し差が出始めている。
「よ! 何暗い顔してんだよ」
「いいの! 放っておいてよ!」
「お前は黙ってろよ。ジェイク、最近の奴らの様子はどうなんだ」
奴らとは元公爵夫人の子供だ。
「いつもと変わりませんよ。ユアン王子」
「えーー。それって未だに毒盛られてるってことか?」
「私が毒を扱えると聞いてからなくなりましたよ。今はもっぱら父を説得しているようです」
「ウスマール公爵を?」
「ええ、でもそれでいいんです。母は王太子殿下の領地で安心して過ごせてますし、父も今さら私を追いやるとは思えません。それに弟とはいえ、あいつは到底爵位を継げるとも思えません」
「え? そんなに酷いの?」
「はい、父親と母親の悪い所だけを受け継いでいるのでしょう」
「それって超残念じゃん」
「父も流石にあいつには爵位を相続させないでしょう」
そう言ってジェイクは心底くだらない話題のようにため息を吐く。
「まぁ、ジェイクが大丈夫なら私は良いんだけどね」
「お飲み物はいかがですか?」
パーティー会場を回っているウエイターがやってきて私達に飲み物を差し出した。
「ありがとう」
私は赤いグラスを手に取った。ジェイクは白、ユアンは青いグラスをそれぞれ手に取る。
「取り敢えず、皆元気に大きくなったよね。乾杯しよ」
「なんだそれ」
「はい、姫様も最近は熱を出されることも減ったと聞いています。本当によかったです」
「そうでしょ? 健康体ももうすぐよ!」
「何いってんだよ。一週間前だって寝込んでたじゃないか」
「え? そうなんですか?」
私はハハハと笑顔を引きつらせた。
「まぁ、季節の変わり目だけよ。あっやっぱり白がいいわ。ジェイク交換して!」
私は気まずさを誤魔化すためにジェイクのグラスを強引に交換する。
「姫様……。どうぞ」
笑いを噛み殺すようにしてジェイクが私とグラスを交換してくれた。
「まっ、乾杯」
「かんぱーい」
「乾杯」
私達は三人でグラスを合わせる。
カチンといい音がした。光が降り注ぐティーパーティーに気が置けない仲間。私は自然と笑顔になってグラスを傾けた。
白いグラスの中身はマスカットジュースだったようだ。
喉を通る爽やかな香りを楽しむ。
「美味し……ゴボッ」
突然喉を突き刺さる痛み。そして、胸から上がってくる不快感。そして、口からあふれる液体。
「え?」
ポタポタとドレスに染みる赤……。
「ユーデット?」
ユアンの信じられないという顔。
「ゴボッ。ゴボゴボゴボ…」
口からあふれる何かが止まらない。体から力が抜ける……。もう、立って……いられ……ない。
パリーンという音が響く。
バターンという音と衝撃を最後に私は意識を手放した。
「ユーデット! ユアン! こっちだ」
シャール兄様に呼ばれて私達はトコトコと歩いていった。
もう十歳だというのに私達は相変わらず双子コーデを着せられている。
今日はブルーと白のストライプのドレスでユアンは同じ生地のスーツだ。
もう十歳なので私のドレスも足首くらいの長さになり、ユアンも長ズボンになった。
今日は貴族を招いてのガーデンパーティに二人で出席している。
相変わらず私の金髪は注目の的だった。
「ユーデット姫様、御機嫌よう」
「許された金に祝福を!」
私がユアンにエスコートされて歩いているとあっという間に囲まれる。
私がいることでこの国は長年のコンプレックスを払拭したのだ。
「皆様、ありがとうざいます。お兄様に呼ばれておりますので失礼いたします」
私は長年の姫様教育の成果を披露しつつシャール兄様の元に急いだ。
「兄上、お待たせしました」
「シャール兄様、御機嫌よう」
私達が近くにやってくるとシャール兄様が両手を広げる。
なるほど、仲良し兄弟アピールですね!
私はユアンと顔を見合わせるとよしっと走った。
「兄様!」
「兄上」
二人でシャール兄様の胸に飛び込むと周りから感嘆の声が上がる。
皇太子の秘蔵の弟妹として認識されているのだ。
「いい子だ」
耳元で兄様のニヤリとした声が聞こえるが、私は顔色を変えること無く笑顔を作った。
もうシャール兄様の腹黒にも慣れたものだ。
「さぁ、皆、今日は許された姫も参加している。祝福されたパーティを楽しんでくれ」
私は周りを見渡した。エリー姉様はさすがの姫様スタイルで笑顔を振りまいている。ただし、このパーティは王太子側の人達を集めているため、第二王妃や双子兄様達は参加していない。
もうそろそろシャール兄様の立場も固まっているのにまだ諦めていないらしい。
その時、入口の方がザワザワし始める。
「なに?」
「なんだろう?」
すると人混みが二つに分かれて見慣れた顔が歩いてくる。ジェイクだ。
そして、その隣には相変わらず不機嫌な顔をしたウスマール公爵がいる。
少し前だとジェイクはウスマール公爵の後ろを歩いていたが最近は隣を堂々と歩いている。十四歳のジェイクは既にウスマール公爵と同じくらいの身長があるので見劣りしない。
「王太子殿下、エリー姫、ユーデット姫、ユアン王子、お招きありがとうございます」
ウスマール公爵はそう言うと膝をついて挨拶する。
元夫人は相変わらずジェイクの失脚を画策しているが、ウスマール公爵自身はもうジェイクを廃嫡する気はないようだった。
なんといっても許された姫の婚約者という立場は得難いものだからだ。
ウスマール公爵の隣で同じように膝をついたジェイクに私は手を差し出した。
するとジェイクは心得たようにその手に軽くキスを落とすと立ち上がって私の隣に立つ。この立ち位置こそ、この国の貴族が最も欲するものだった。
「公子、会えて嬉しいわ」
「勿体無うございます。ユーデット姫」
私がにっこりと微笑むとジェイクも口角を上げる。
もう昔のようににっこりは笑わないが、ジェイクの表情が変わるのは私と一緒の時だけらしい。
「よ!」
ユアンが軽く手を上げると会釈を返すが既に無表情に戻っている。
そんな私達を満足そうに見て頷くウスマール公爵とシャール兄様は何かを話しながら行ってしまった。
「ジェイク、久しぶりだね」
もう私達の授業はなくなり、会うのはこう言うパーティーの時だけなのだ。
「はい」
「元気だった?」
「ええ」
あまり会わなくなってからジェイクとの会話はあまり続かない。別に嫌いじゃないし、客観的に見てもジェイクはイケメンだとは思う。だけど、幼馴染という感覚からは抜け出せない。
それに神殿の弱みだって結局は見つけられなかった。このままではジェイクとの婚約だって破棄できそうにない。
「どうしよ……」
「ユーデット姫、どうされましたか?」
私が呟いたひと言にジェイクは直ぐに反応してくれる。
「ううん、なんでもないよ。ジェイク、アダムスさんは元気?」
私は神殿のことを調べていた時に知り合ったジェイクの護衛について聞いてみる。
「はい、今日も外で待っているはずです」
「そっかー。元気なようで良かったわ」
私達の後ろから両手を回して肩にもたれてきたのはユアンだった。
ユアンも最近背が伸びてきて、今まで一緒だった身長に少し差が出始めている。
「よ! 何暗い顔してんだよ」
「いいの! 放っておいてよ!」
「お前は黙ってろよ。ジェイク、最近の奴らの様子はどうなんだ」
奴らとは元公爵夫人の子供だ。
「いつもと変わりませんよ。ユアン王子」
「えーー。それって未だに毒盛られてるってことか?」
「私が毒を扱えると聞いてからなくなりましたよ。今はもっぱら父を説得しているようです」
「ウスマール公爵を?」
「ええ、でもそれでいいんです。母は王太子殿下の領地で安心して過ごせてますし、父も今さら私を追いやるとは思えません。それに弟とはいえ、あいつは到底爵位を継げるとも思えません」
「え? そんなに酷いの?」
「はい、父親と母親の悪い所だけを受け継いでいるのでしょう」
「それって超残念じゃん」
「父も流石にあいつには爵位を相続させないでしょう」
そう言ってジェイクは心底くだらない話題のようにため息を吐く。
「まぁ、ジェイクが大丈夫なら私は良いんだけどね」
「お飲み物はいかがですか?」
パーティー会場を回っているウエイターがやってきて私達に飲み物を差し出した。
「ありがとう」
私は赤いグラスを手に取った。ジェイクは白、ユアンは青いグラスをそれぞれ手に取る。
「取り敢えず、皆元気に大きくなったよね。乾杯しよ」
「なんだそれ」
「はい、姫様も最近は熱を出されることも減ったと聞いています。本当によかったです」
「そうでしょ? 健康体ももうすぐよ!」
「何いってんだよ。一週間前だって寝込んでたじゃないか」
「え? そうなんですか?」
私はハハハと笑顔を引きつらせた。
「まぁ、季節の変わり目だけよ。あっやっぱり白がいいわ。ジェイク交換して!」
私は気まずさを誤魔化すためにジェイクのグラスを強引に交換する。
「姫様……。どうぞ」
笑いを噛み殺すようにしてジェイクが私とグラスを交換してくれた。
「まっ、乾杯」
「かんぱーい」
「乾杯」
私達は三人でグラスを合わせる。
カチンといい音がした。光が降り注ぐティーパーティーに気が置けない仲間。私は自然と笑顔になってグラスを傾けた。
白いグラスの中身はマスカットジュースだったようだ。
喉を通る爽やかな香りを楽しむ。
「美味し……ゴボッ」
突然喉を突き刺さる痛み。そして、胸から上がってくる不快感。そして、口からあふれる液体。
「え?」
ポタポタとドレスに染みる赤……。
「ユーデット?」
ユアンの信じられないという顔。
「ゴボッ。ゴボゴボゴボ…」
口からあふれる何かが止まらない。体から力が抜ける……。もう、立って……いられ……ない。
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